結局、好きは変わらない。
新しいシーズンを楽しむ上で、新鮮さを求める事は当たり前の感覚だと思うが、経験が物を言うという言葉があるように、一度や二度、自分自身が良いなと思えた事はそうそう塗り替えられず、他に代用が無い事も理解していると尚更抜けられない。
その上で、相も変わらない安堵感とスタイルに与える少しばかりの変化に心惹かれ、今季も縋る思いで「あるシリーズ」を仕入れたので是非ご案内させて頂きたい。
blurhmsが手掛けているコットンシルクネップのシリーズは、単純に上質な素材感でリラックスフィットのカットソーを製作している訳では無く、色々と紐解いていくと難題を簡単にやってのけている。
蚕が自ら繭を割って出てくる事で得られるローシルクは、繊維の断面から生まれる独特のネップが生地に表情を与える反面、その滑らかさが故にダレ感も発生してしまうデリケートな扱いが求められる高級繊維。
そういった特性を考慮し、単純にコットンを混在させる手法では無く、シルクを支えるように綿を走らせ、生地の表情に繋がるネップ感と滑らかな質感を残しながらもしっかりと耐性を持たせている。
コットンの柔らかさとシルクの滑らかなタッチ感やネップ故の素朴な表情感。
まずはこういった素材の良さを損わせる事なく見事に1つの生地へ落とし込ませている事に驚かされる。
そして今季は、その魅力ある素材で2型の展開。
プレーンTeeは、全体的にゆとりある幅感で緩さを演出しながらも丈は出過ぎずで、ネックは程よく詰まる設計。夏の1枚としても当然優秀だが、生地の落ち感から決して羽織りの邪魔にはならず、むしろネップの表情が全体のトーンバランスに奥行きを与えてくれる分、差しとしても同色の組み合わせとしても楽しめる。
そして懐かしい空気感が漂うラグラン仕様のベースボールTeeは、アームホールと身幅はゆとりを与えつつ、袖はほぼ10分丈で裾は緩やかなラウンド型。俯瞰して見ると、これもまた不思議とオーバー過ぎない絶妙なバランス。加えて、肌との接着度が高いリブは驚愕のシルク100%でゴワツキは皆無。裾は丁寧にパイピング処理が施され、しっかりとした収まりを見せる。
春夏の気候にしっかりと順応してくれる贅沢な素材感を細かなディティールワークで上手く1着へ落とし込み、そして薄らと漂う90年代頃のアメリカな空気感をモダンに仕上げたblurhmsのコットンシルクネップシリーズ。
トラウザーを軸とした綺麗なスタイリングを上手く崩してくれる遊びある一手に。
チノやデニムといったカジュアルなテイストを崩さず鮮度を与える一手に。
是非、ご自身が今求めている「一手」に投じてみてはいかがだろうか。
4.11(木)
18:00 - Web Store release
筆者
nariwai store manager
橋場 祐人
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