飾り気のない拘り
古着問わずの話、ふと目に留まり手を伸ばしてしまう洋服の大半は生地に惹かれていると自覚しているのですが、OUTILのプロダクトは特にその感覚が強くて、ここまでデザイナー自身の飾り気の無い強い意志が生地に宿っているブランドはそうそう多くはありません。
ヴィンテージというある種で歴史の痕跡とも言える物が、ブランドの確かな拘りと妥協を許さないプロセスを経たことで、数年後には新たな痕跡として成り立っていいてもおかしくない。
OUTILの洋服と対峙すると、そんな事を感じてしまうんです。
対峙した瞬間に走る感覚や袖を通した時の湧き上がる高揚感といった、紛れも無い至ってピュアな部分こそが大切に思わないといけない本質なのかもしれません。
この生地感、個人的にはずば抜けて好きです。
天然藍を特殊な手法で染め上げた上質なスーピマコットンを縦糸に、ヘンプを緯糸に打ち込んで製作した渾身のコットンヘンプデニム。
異なる濃度の「青」が見せる藍染の独特なムラ感と、大小様々なヘンプネップが混在している生地は素朴ながらに力強さも感じる素晴らしい生地と言えます。
素材の特性上、通気性に優れ柔らかいこと、上下共にリラックス感のあるサイジングであること、特に組下に関してはたっぷりと取られた分量感から熱気が籠り難いかつ肌離れが良好であるために、夏場でも軽快な着心地を感じて頂ける筈です。
ジャケットは1950〜60年代頃にフランス海軍の作業用として支給されていた物から着想し制作されています。
大まかなデザインやシルエット感はオリジナルを踏襲しつつも、本来のコンパクトな設計とは異なり、身幅は少し余白を持たせながら裏地を省いた一重仕立て。
インナーのキャパを広げつつも軽快さがあり、こういった汎用性の高い上物は日中の温度差がある今時期からかなり重宝しそうな気がします。
所謂デニムジャケットですが、生地の肉感や色合いから印象としては不思議とクリーンな片鱗もあり、下記のように小綺麗なシャツやトラウザーあたりとも馴染みすい良いバランスです。
そして組下はフランスは30-40s初頭に生産されていたメルトンのトラウザースをベースに製作されています。
シルエットも腰回りから裾にかけてストンと落ちる綺麗なワイドストレートシルエットが特徴的で、採寸地からも予想が出来る通り全体的に多く分量が設けられている分、ウエストは思いっきり絞ったりサスペンダーで吊るす、そして裾は捲って少し足下に被せるといった見せ方がこのデニムの「らしい穿き方」かと感じています。
ボリュームはありますが、先述通りの着方であれば着用写真のように綺麗にまとまるので、合わせ方としては無理に捻らずにジャケット同様の考えでシャツ等の小綺麗なアイテムと合わせてみてください。
単調であればある程この主張感は活きてくる筈なので、親和性の中に生まれる良い塩梅のギャップ感に気が付くと色々試してみたくなると思いますよ。
トラウザーは既に店頭とWEB共に販売が始まっており、ジャケットに関しては下記日時にてWEB掲載を予定としております。
どちらも一部のサイズで在庫が怪しい状況ではありますが、気になられた方は是非ご覧になって頂けると嬉しく思います。
5月17日(水) 18:00 - WEB release
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nariwai - Yuto Hashiba