目標は舞台化!!!――2020年4月の今だからこそ、でかい夢を語ろう
でかいことを言う
目標は舞台化!!!
デビュー作である時代小説『姉上は麗しの名医』が刊行される5日前、Twitterで夢を語った。夢を目標と呼んで、お立ち台の上で大声で叫ぶ気持ちで語ってみた。
直木賞や本屋大賞のように、既刊の小説が対象となる賞がある。それらの受賞が目標かと尋ねられたことがあるが、ピンとこなかった。
何か、そうじゃないんだ。小説家として目標や夢や野心を語るなら、もっと違うことを私は考えている。
目標は舞台化。
これから何度だって言おう。この目標が誰かの目に留まって実現するまで、言い続けようと思っている。
◇
メディアミックスへの憧れはもともとあった。自分の小説が原作となるエンターテインメント作品が、小説を読まない人にまで届くこと。原作者として名前を知ってもらうこと。それが実現すればいいなとは、ずっと思っていた。
有言実行でありたい。だから、達成できると見込んだ目標しか語らないようにしてきた。
でも、今、どうしても言いたい。叶うかどうかわからない夢を、大声で語りたい。
舞台がいい。劇場の中、舞台の上、一期一会のなまもののコンテンツとして、私の書く小説で芝居をしてほしい。
◇
2020年3月初旬頃から徐々に、多くの舞台芸術が公演中止を余儀なくされてきた。2020年4月の今、劇場はどこも閉鎖されている。
演劇やミュージカルは、大半が「延期」ではなく「中止」だ。
応援していた劇団や企画が、プロアマ含めていくつもあった。どんどん公演中止が発表された。
ひどく事務的な文言、あるいは謝罪、そしてチケット払い戻しの案内。常とは違う様子のツイートの数々。そこに関わる人々の無念さが伝わってきた。
私はたぶん、観客の立場で観に行けなくて残念だと感じる気持ちより、エンターテインメントを提供する立場への共感が大きい。悲しくて悔しくて涙が出る。
購入したチケットをどうするのが演劇に関わる人々の役に立つのか、と調べてみる一方で、全く別の大それたことを考えている。
いつか私の小説が舞台化されるならば、私が彼らに仕事と居場所を提供できるかもしれない。
◇
『姉上は麗しの名医』が発売されたのと同日、緊急事態宣言が出された。これに伴い、都市部の大型書店は軒並み、最低でも約1ヶ月間、臨時休業されることとなった。
本は売れづらくなるだろう。
でも、発売中止ではない。
大切に稽古してきた公演が丸ごと中止になってしまった舞台芸術、そこに携わる人々の無念さを思えば、今どうにかあがくことができる私は幸せだ。
だから嘆きたくない。
でかい夢でも何でも語って、ここから走り出すんだぞと高らかに表明して、コロナ禍に見舞われる日々を乗り切りたい。
◇
だから、お願いです。
一緒にあがいてください。
2020年春の苦しい状況で本を出している私たちを応援してください。
将来、きっと明るい話題を世の中に還元してみせるので、今、どうか私たちを支えてください。
◇
そして、この春に本を出すお仲間の皆さん。
よかったら一緒に、でかい夢を語りましょう。楽しい話をしましょう。
主人公は誰に演じてほしいなとか、イメージソングは誰が歌う何という曲なんですとか、作中の景色がどんなふうなのかお見せしますよとか。
負けたくないよね。
私の目標は舞台化です!!!
いつかこの目標を共有してくれる人のところへ、届け!!!
◇
今の気分は
BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」
会いたい誰かと面と向かって話すことができない日々に、じわじわと染みてくる。
それともう1曲。
WANIMA「Drive」
ひりひりする歌詞と疾走感抜群のサウンド。いちばん苦しかったときに支えになってくれた曲。