これに全てを賭けようと思います。
noteでの報告が遅くなってしまったが、一人でやっていた演劇ユニット「エンニュイ」が新しくメンバーを迎えて新体制で動き出した。
今年40歳になった。僕にとっては最後の大きな挑戦になるだろう。
コイツらなら、最後に一緒に馬鹿やってもいいかなと思えるメンバーに出会えた。今の自分なら、これまでみたく失敗せずに上手くやれるかなと思えたから、新しいエンニュイを作った。まだまだ上手くできないけど、この仲間と徐々に成長していけたらなと思う。
青木省二
市川フー
zzzpeaker
高畑陸
土肥遼馬
二田絢乃
全員イカれていて、イカしている。自慢のメンバー。全員、なにかしでかしてくれそうな感じがある。
僕が演劇を始めるきっかけとなった、サンプルの越後妻有でのワークショップで出会った青木君。廃校になった学校をリノベーションした施設があり、その上の階にアーティスト用のレジテンスがあり、そこに1週間泊り、その期間中にみんなで作品を作るというワークショップだった。期間中は、たまに話したがそこまで深くは話していなかったのだが、最終日近くになって「大喜利を教えてほしい」と言われて彼の部屋に行った。どうやら、彼の作る作品に大喜利の答えっぽいものが必要らしく、芸人にリスペクトがあるから、ちゃんと大喜利というものを知りたかったらしい。部屋の彼のベッドの上には、到底1週間では読み切れないであろう分厚さの本が置いてあった。凄いスピードで物凄い情報量を話すし、変なやつだなと思い気になりだした。その後から、エンニュイ設立当初から現在まで、ドラマトゥルクというカタチで僕の相談を聞いてくれている。青木君が僕の作品を肯定してくれていなかったら、とっくの昔に演劇を辞めていただろう。彼は、様々なカルチャーの知識があり、僕の瞬発的で感覚的な発想を言語化し、尚且つ厚みを出してくれる。観劇三昧とう演劇を発信する会社の社員という一面もある。常に周りを見て自分がどう居るべきかを考え、最悪のケースも常に想定して動く。僕は彼を忍者のようだと思っている。しかし、すごくドジな一面もある。なんとなくハットリくん的なイメージがあった。すると、ある時LINEでハットリくんのスタンプを送ってきた。自分でもハットリくんを意識しているのかもしれない。話が逸れたが、彼はきっと今後、演劇界にとって重要な存在になると思う。そして、エンニュイの頭脳であり、エンニュイの活動を言語化し存在意義をあたえてくれる最重要人物である。
僕は元々お笑い芸人だ。以前は、吉本興業に所属していた。市川フーは、その時の後輩だ。僕が東京NSC7期生で、彼は10期生。オリエンタルラジオ、フルポン、はんにゃなどが同期だ。吉本にいるときは、ほとんど話した記憶はない。数年前に、インポッシブルの井元と呑んでいる時に井元と一緒に市川君がいて再会した。「こいつ同期なんですけど、芸人辞めて俳優始めたんですよ。はせさんの演劇に呼んであげてくださいよ」と、井元に言われ、連絡先を交換した。頭の片隅にずっとあったがタイミングがなく、連絡はしなかったが、去年せとたけおさん主催の石川県の公演の演出の仕事をいただき、キャスティングを考えている時に、「あ!あいつだ!」と思い連絡し出演してもらった。元芸人としての瞬発力と、彼の持っている真面目さが融合していて、凄く良いパフォーマンスだったし、演出としてもやりやすかった。市川君はかなりの酒好きで、よく飲みながら話した。同い年だったこともあり、もう何十年来の友人みたいな感じだ。気にしいな性格も似ていたので、感覚的な話もできて嬉しかった。2月のエンニュイの公演の帰り道に、1番初めにエンニュイに入らないかと声をかけた。断られるかと思ったが、快く了承してくれた。お互い40歳。きっと最後の大きな挑戦になる。多くは語らない男(酔うとちゃんと愚痴ります。ご安心を)だが、きっとエンニュイに賭けているいるのだと思う。僕もそうだが、お笑いでできなかったことを全てここに注ぎ込むはずだ。40歳からでも人生は変えられる。彼はのようにふくよかなな体系で、器用な演技ができて、笑いもとれる俳優は稀だ。きっと売れてテレビや映画に引っ張りだこになる。僕の芸人独特の演出を一番体現してくれて、エンニュイというものを親しみやすくしてくれている人物。それでいて、メンバーを引っ張ってくれる兄貴的な存在でもある。
zzzpeakerことグルパリ君を知ったのは、山下澄人さんの小説『コルバトントリ』を原作とし、飴屋法水さんが演出、上演台本、音響、美術を手掛けた舞台作品『コルバトントリ、』をDVDで観た時である。その作品に出演していた彼は独特な発話をしており、「なんだこいつは?」と思ったのを覚えている。そこから気になり、Twitterで調べてみると、俳優ではなくミュージシャンだと知った。尖ってそうなのに、自身のTwitterで仕事募集のツイートをしているのを見て、なんか好感が持てて、そこに記載されていたメールアドレスに連絡した。その頃やっていた『瞬間を紡ぐ時間』という即興イベントにゲストとしてオファーしたのだ。そこから、あれよあれよと5年くらいの付き合いになる。毎日路上で歌っている彼から出てくる歌声からは悲しみも、喜びも、怒りも、全て同時に感じることができる。テコの原理というバンドもやっていて、こちらも凄く素敵だ。僕の瞬発的で感覚的なものを瞬時に感覚で理解してくれる唯一の存在かもしれない。逆もしかりで、僕も彼の瞬発的なものを瞬時に理解できる。でも、それはパフォーマンス中であって、言葉で伝えるとお互い伝わらない時もある。変な関係だ。僕は自分の描いたものを出演者にぶっ壊して欲しい。彼は、僕の描いたものの上に大胆にそれでいて繊細に色を塗ってくれる。エンニュイの作風は伝わりづらいことが多い。しかし、彼が入ってくれたおかげで、舞台美術や彼の存在感のおかげでエンニュイは急激にポップになった。そして、彼の音楽のおかげで伝わりやすくなった。核の部分を覆っているような重要な存在だ。
高畑君とはいつ出会ったのかは、はっきり覚えていないが、おそらく僕がまだ阿佐ヶ谷で劇場運営をしていた頃に、その場所でなにかのライブをした時に観に来てくれて、後輩芸人に紹介されたのが初対面だったはず。本格的に距離が縮まったのは、青森県八戸市のパフォーマンスイベントに参加する時だった。高畑君が実家の車で往復18時間を運転してくれた。彼は、即興コントグループ「シル」で活動している。インプロが好きで即興が上手い。八戸でじっくり話してみたら演劇も好きで詳しかった。それから、色々なイベントに参加してもらった。そして、高畑君は本業がwowwowの社員さんということもあり、映像撮影が得意と知り何回か配信を手伝ってもらい、コロナ禍にになり配信が必要という時に、その頃僕が運営していたチャラデという団体に入ってもらった。僕が周りの人間から信用を失ったりしても、彼はずっと僕を信じてついてきてくれる。高畑君には、面白い景色をたくさん見せてあげたい。配信技術が上がり、最近では「ニュービデシステム」という映像チームを組んで舞台などの映像を撮影している。高畑君は、長身で、常にひょうひょうとしていて雰囲気がある。東京のお笑いが好きで、どことなくシティ感を感じる。更に演劇も好きだから、型がしっかりしていて安定感があり、これから演者としてどう成長していくのかが1番楽しみかもしれない。
数年前に、神奈川かもめ演劇フェスティバルという演劇の大会に出場した。その時の打ち上げで仲良くなったのが土肥君だ。あまり覚えていないが、当時のエンニュイのメンバーで、打ち上げにいた人たちをイジリ倒していたらしい。良くない劇団だ(笑)それから、よくエンニュイを観に来てくれた。打ち上げの明るい感じとは違い、暗く俯いた感じだった。繊細な感じがして面白そうなやつだなと思った。それから数年経ち、去年のエンニュイの公演で受付を手伝ってくれることになり、初めて深く話した。チャラい感じと、繊細な感じ、表現者の感じ、などが混在していて、やっぱり面白いやつだなと再確認した。彼は、東京軟弱野菜という演劇ユニットを主宰していて、自身が脚本演出を手掛けている。以前、受付をやってもらっている時に、彼はクリエイターなので申し訳なかったということもあり、今年の7月の公演の演出助手についてもらった。なれてくると、演出についてなどアイデアを伝えてくれて、凄く創作がしやすかった。ワークショップなども手伝ってもらっていて、ワークショップ終わりでの感想をエンニュイのnoteに寄稿してもらっているのだが、この文章がまた凄く良い。自分の感じた感覚を言語化するのが上手だなと思った。今後、僕ではなく土肥君が脚本を書く時があってもいいと考えている。彼は人をリスペクトし気を遣うまなざしと、人を下に見るまなざしを同時に持っていて、その混在したものがこれからたくさんアウトプットされていくことが楽しみで仕方がない。
DMくれた人とお茶をして30分間お話するという企画を去年くらいにやっていた。コロナ禍ということもあり、誰かと話したいと思ったからだ。その企画に応募してくれて、一緒にお茶をしたのが二田さんとの出会いだった。初対面の印象は、真面目そうな子だなという感じ。話してみると、僕が脚本演出を手掛けた福島県のいわき総合高校の卒業公演を観て感動して連絡をくれたらしい。その卒業公演への感想と、どんな演劇が好きなのかという話に凄く共感した。演劇やっている人で同じような考えの人いるんだなと驚いた。その後、エンニュイの12ヶ月公演のオーディションワークショップに参加してくれて一緒に作品を作ることになった。他の人よりも良い意味で演劇演劇していなくて、他では見たことがない動きをしたと思ったら、学生演劇のような発声の芝居をしてみたり、かと思ったら映像的なナチュラルな演技をしてみたりと、掴みどころがなくて面白かった半面、なにかに縛られて自分の良さの出力の仕方が理解できていないのかなとも思った。去年の6月の公演のモノローグでなにかが爆発した。観に来ていた芸人仲間がみんな二田さんのことを褒めていた。芸歴20年越えの芸人たちが一人の俳優をほめている。どこから生まれたのか、どこからの文脈なのかわからない動きや切実さはそこに生きている感じがして、嘘を嫌う芸人には光って見えたのかもしれない。彼女は、映画やMVなどの映像系で活躍している。最近では『優しさのすべて』という映画で主演を務めた。二田さんも感覚の人だ。色々な人の感情、場所の記憶、蓄積された空間などを取り込むことができる。なににも染まっていないがゆえに直ぐになにかに取り込まれてしまう、彼女の真っすぐで危うい演技がこれからのエンニュイのカギになる気がする。
みんなどこか似ている。他人に気を遣うから、少し壁があるように見える人たちだ。でも、それによって失敗したりしてきた不器用な人たち。だから、僕らは仲良しでもない。信頼し合っているが、少しの壁はちゃんとある。なんていうんだろうか。ルパン一味とか、麦わら海賊団とか、湘北の5人みたいな感じがする。みんな気を遣うが、基本は自分のことしか考えていない。きっと、全員が集団に向いていていない。このメンバーが全開で自分を出せるのは舞台上と打ち上げ会場だけだ。
そんな新生エンニュイは、団体ではなく組合らしい。らしいというのは、これを考えたのがzzzpeakerだからだ。でも、なんかしっくりきた。そのせいで、僕は組長と呼ばれている。知らない人が聞いたら別の反社会的な団体を想像してしまいそうでこわい。
組合は、数人が協力して共同目的のために結成する団体の一種らしい。
かといって拘りはない。伝わりにくそうな時は劇団と言うだろう。伝わることが一番大切だから。そんな感じで、何事にもこだわることなく柔軟に活動していきたい。
このメンバーで最初の公演が先日終了した。
最初は、わかりやすく面白いものを目指して台本を書いていたが上手くいかなかった。このメンバーには普通の服は似合わなかった。どうしても、台本が書きあげられなくて、本番4日前くらいに当初考えていたものを全部やめて、1から台本を書きあげて完成させた。やっぱり、このメンバーに似合う服は、ヘンテコで歪で雑なように見えるけど、たまに繊細で美しい瞬間があるものだった。
僕は可能性に満ち溢れた公演だったと思う。粗削りだけど、たまにキラキラ輝いていて、見たことない景色をたくさん見れた。一発目の公演に相応しかった。
終演後、これからのエンニュイの公演の雰囲気が頭の中にバーっと広がった。今すごくワクワクしている。早く公演をしたくて仕方がない。
舞台に立つ4人がとにかくカッコよくてワクワクした。演出助手と制作をしてくれた土肥君も頼もしかったし、ドラマトゥルクと映像撮影をしてくれた青木君の存在も大きかった。誰が欠けても出来なかった公演だ。みんなで作った公演。こういう感覚は初めてかもしれない。
必要な意見は聞きつつ、でも自分の直感を信じて、ブレずに、なににも囚われずに面白いと思うことをやっていく。
見たことない景色が見たい。新しいことを諦めたくない。伝わらないことを恐れたくない。伝えることを諦めたくない。高尚なものに興味はないし、誠実さにも興味はない。ワガママに泥臭くありのままに理屈抜きに瞬間を捕まえたい。
当たり前にある、「普通」という偽りの中で物語から漏れてしまっている「違和感」を大切にしたい。自分の生活する中で身近な出来事は全て世界に繋がっている。演劇を使えばそれは宇宙までも行くことができる。歴史やトレンドに引っ張られずに、自分の中の言語化できない感覚を大切に、今身近に起きていることを捉え、出力していきたい。
エンニュイには、いわゆる生粋の演劇人がいません。
そこで演劇でないものを作る、ということではなく、遠回りでも車輪の再発明の様に演劇を作ることで新しい可能性を探っていきたいと思っています。色眼鏡で見られがちですが、それがいい加減なものになっていないことは、自分がいわき総合高校の作演出に選んでもらったことが少なからぬ証明になっていると思います。演劇外から来たメンバーだからこそできる柔軟な作品を作っています。
エンニュイは、ライブ感を大切に公演を行っています。再現性よりも、その場で起きる現象を求めています。最悪、台本も舞台もなにもなくても、我々の身体さえあれば、いつでもどこでもパフォーマンスができる団体でありたいです。
これから、何にも囚われずに活発に活動していきます。意味や理由は後付けで考えます。とにかく、常にその時の感覚を大切にします。
日々進化していくと思うので、追いかけてもらえると嬉しいです。
どこかでお会いしましょう!
メンバーのエンニュイへの意気込みコメントはこちら↓
告知
エンニュイ第0回公演
『babbling』の公演の配信のアーカイブが販売が本日までです!
12/10 23:59までご視聴可能です。
11/26 13:00-
https://twitcasting.tv/hase0616/shopcart/199913
11/26 18:00-
https://twitcasting.tv/hase0616/shopcart/199914
【脚本・演出】
長谷川優貴
【クリエイションメンバー】
市川フー
zzzpeaker
高畑陸
二田絢乃
以上エンニュイ
告知2
ワークショップが明日あります!
12月11日(日) STUDIO MATATU
①13:30〜16:00
https://tiget.net/events/218410
② 17:30〜20:00
https://tiget.net/events/218411
各回 参加費:2500 *見学のみ¥1,000
告知3
2022年12月20日
クレオパトラ20th anniversary performance
『as is』
会場: IZUMO GALLERY(東京都新宿区 喜久井町29-12)
東西線「早稲田駅」徒歩6分
大江戸線「牛込柳町駅」徒歩7分
※1階が整骨院の建物の地下です
¥3500
開場:19:00 開演:19:30
100分ライブ予定(アフタートークつき)
出演:クレオパトラ
ゲスト:zzzpeaker
台本:クレオパトラ/大桶純一
構成:長谷川優貴/中林優貴/くりちゃん
演出:長谷川優貴(クレオパトラ/エンニュイ)
予約受付中
予約サイト↓
https://tiget.net/events/217915
20周年単独公演をします。桑原の仕事の関係でど平日です。たった1回きり。席は20席程度。知り合いを誘ったりもしません。観たいと思ってくれた方が来てくれたらうれしいです。現在クレオパトラは、たまに気が向いたら単独公演をするだけのコンビです。売れたいとか、賞レースで結果を残したいとか、そういう欲は全くありません。だから、コントと漫才という枠組みを無視して、自分たちが面白いと思った表現をのびのびとやっています。独自のプレイスタイルができあがりつつあります。ソフトウェアではなくハードウェア作りを模索してきました。常に変化しています。クレオパトラは人生なんです。唯一無二の単独公演。そんな、一体何なのかわからないモノを目撃できることは人生の中で少ないと思います。何も化学調味料が入っていない無添加のお笑いをぜひ目撃してください。今できることだけをやります。背伸びせず、無理をせず、カッコつけず、只々ありのままに今の長谷川・桑原の等身大で舞台に立ちます。
告知4
12月25日
パフォーマンスLIVE
『あのひのあれこれ』
家劇場 北千住
13:30〜
過去のエピソードが重なり合いおこるあれこれ。
即興的なゲーム性をもった公演です。
市川フー
浦田すみれ
小林駿
zzzpeaker
高畑陸
中村理
二田絢乃
長谷川優貴
予約サイト↓
https://torioki.confetti-web.com/form/1903
Vlog
エンニュイYouTube
クレオパトラInstagram
https://www.instagram.com/clepatworks/
長谷川Instagram
https://www.instagram.com/hase_0616/
■クレオパトラオフィシャルサイト
クレオパトラ第12回単独公演(リモート)「密接なき接触」
クレオパトラconte LIVE#2『無駄な期待』
クレオパトラ第11回単独公演『散文的な景色、詩的な歩行』
クレオパトラ二人芝居『私ト彼』
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