帰りにキジを焼いて食べる「新桃太郎」の話でバイアスブレークが理解できた件。( #読書メモ SHIFT:イノベーションの作法 )
今週読んだ本のメモ。あとで自分で読み返す用です。
気軽に読むビジネス書としては、ちょっと値は張るし、いくつかすでに読んだことのある論文が混ざっていて買うのを一瞬躊躇したけど、まとまった形で体系的に、いつでもスマホで参照できる価値はプライスレスで、ホント買ってよかった。今週、むさぼり読んでいてもう2周目。
一旦、現段階の自分が強く刺激を受けた箇所のみ、メモとして残してあります。自分のレベルが上がればきっと違う場所に刺激を受けるようになるはず。メモは、ごくごく個人用になってしまっているので、本書のエッセンスを手っ取り早く知りたい方は、以下あたりの記事を参考にすると良いかも。
濱口秀司さん「イノベーションは誰もが起こせる」:非連続な変化をうみだす「SHIFT」の3つの基本活動 | SHIFT:イノベーションの作法 | ダイヤモンド・オンライン https://diamond.jp/articles/-/206593
濱口秀司さんが考える「“発想資本主義”という第四の時代に、日本人が勝てる理由」 | SHIFT:イノベーションの作法 | ダイヤモンド・オンライン https://diamond.jp/articles/-/206600
最も創造性が高い思考のモードは、論理と直感の間にある | マーケット感覚を身につけよう | ダイヤモンド・オンライン https://diamond.jp/articles/-/74287
濱口秀司が語る「バイアス壊しが重要な理由」 | Biz/Zine(ビズジン) https://bizzine.jp/article/detail/18
もちろん、本書を買って読むのがベストなのは言うまでも無いです。KINDLEのスマホアプリ入れて、いつでも参照できるようにスタンバイさせておきたい。
では、以下からメモになります。
イノベーションの定義とそのポイント
定義できないものはコントロールできない。そこで私は、イノベーションを少なくとも次の三条件を兼ね備えたものと定義している。
❶ 見たこと・聞いたことがない。
❷ 実行可能である。
❸ 議論を生む。
まず、個人的には「定義できないものはコントロールできない。」という一文にシビレますが、本題はそこではなく、
前述した ①「見たこと・聞いたことがない」というポイントである。この条件を満たすには、まず多くの人が持つ〝一般的な〟考え方を知り、その逆をいけばよい。この「多くの人の一般的な考え方」を、私は「バイアス」と呼んでいる。言わば脳の基本機能として蓄積されるようプログラムされている、先入観や既成概念とでもいえばよいだろう。
イノベーションは、「見たこと・聞いたことがない」という特徴があるので、その逆である、「見たこと・聞いたことがある」先入観や既成概念というバイアスを破壊すれば、イノベーション発想ができる、というのが(自分が現状理解しうる範囲での)本書のキモ。
イノベーション発想ができる作法「バイアスブレーク」
そして、その既成概念の破壊には、発想できる作法がある、というのが本書の最大の価値。
バイアスを破壊せよといっても、やみくもに壊せというわけではない。バイアスを構造的に認識することで、その空白地帯を見つけ出し、SHIFTにつながるイノベーション発想ができる「作法」がある。次の三つが、その基本プロトコルだ。
❶ バイアスを構造化(可視化) する。
❷ バイアスのパターンを壊す。
❸ 強制発想する。
この ①〜③ はプロトコルであって、プロセスではない。だからこそ、状況に応じてアレンジ可能だと理解してほしい。
イノベーション、というと自由な雰囲気でブレストしてると、アイデアが降ってくる、みたいな神聖なイメージがあったけど、構造化・可視化というロジカルな切り口から入る作法がある、というのは、一生使える考え方のひきだしになる。
バイアスを構造化・可視化し、パターンを破壊するところから生まれる。構造がわかるからこそ、クリエイティブに破壊できるのである。
帰りにキジを焼いて食べる「新桃太郎」
実は、この「バイアスブレーク」については、Webの記事などでこれまでも何度も目にしてて。だけど、概念はわかるもののしっかり腹落ちできた印象なかった、というのが、これまでの正直なところで。
だけども、自分の場合、本書の例題で、理解が深まった感があるので、ちょっと長いけど引用させていただきたい。
昔話の「桃太郎を破壊せよ」。 これがお題である。あなたなら、どのように考えるだろうか。
たとえば、「桃」から生まれずに「林」から生まれる?
あるいは、「川」から流れてこないで、「ロケット」で川上に打ち上げられる?
こうしたランダムなアイデア出しは楽しいが、イノベーティブな発想をするには、非効率だ。まずは、桃太郎にまつわるバイアスを可視化することから始めるべきである。
フレームワークの一例を挙げよう。
まず桃太郎は昔話の中でキジやサルと一緒に戦うヒーロー戦隊物語、すなわち「チーム」の物語だが、同じヒーロージャンルでも主人公が「単独」の場合があるので、これを横軸とする( 図表3「『桃太郎』のバイアスを構造化する」を参照)。
さらに、桃太郎は弱きを助け悪をくじく「勧善懲悪」の物語だが、最近のヒーロージャンルにはいかにも現代風に、主人公が善悪の狭間で苦悩する「グレー」な設定もあると聞くので、これを縦軸に取る。すると、桃太郎は四象限の左上に位置付けられる。このように構造化できればバイアスを破壊しやすくなるはずだ。
この例はビジネスとかけ離れて少々突飛かもしれないが、現状や課題を構造化する大切さは理解してもらえるのではないだろうか。構造のないものは破壊できない。このため、一つひとつのアイデアに着目するのではなく、その背景にあるバイアスを視覚化することが大切である。
たとえば、「新桃太郎」で「帰りにキジを焼いて食べる」といった従来のパターンを破壊するアイデアは、突如浮かび上がるのではなく、「複数戦隊モノは仲間を大事にする」「勧善懲悪の物語では主人公は悪事を働かない」というバイアス構造を明らかにし、その対概念を探った結果である。このバイアスブレークングの作法に則っていることが重要なのである。
ランダムにアイデアを発想するのではなく、バイアス構造を明らかにする、という視点を持つ、これがポイントだと。
一般に目の前にアイデアが出始めると、それを改善したり、よいアイデアにしようと組み合わせたりすることに没頭しがちである。しかし、私はアイデアを考えるのと同じぐらいバイアスの構造を見定めてモデルをつくることに時間を費やしている。
ちなみに本書では、さらに実践的な思考実験として、「新国立競技場の建設問題」の練習問題が紹介されていて、その回答と思考プロセスが鮮やかで鳥肌が立つ感じになります。こちらは長いので引用はしませんが、何度も読み返して反芻したい思考プロセスだなと思ってます。
「ソウルドアウト」のバイアスブレーク
ちょっと違うかも知れないけど、筆者の属する広告会社、ソウルドアウトも、手前味噌ながら、従来のバイアスを壊すことで、うまく行っているのかも知れないと思ったので一応メモ。
従来のバイアスとして「広告予算が大きい顧客は、収益額は大きいが、競合激しく求められるスキルも高い」、「広告予算が小さい顧客は、競合は緩やかで求められるスキルも低いが、収益額が小さい」というトレードオフという構造があった。
・広告予算:大ー小
・競合性:激ー緩
・求められるスキル:高ー低
この従来の関係を1つ反転させて、例えば、、
・広告予算:大
・競合性:緩
・求められるスキル:高
という状態を実現する方法を思いつくと問題が解決する。あんまり詳しく書くと、上場企業でもあるのでアレですが、1つの方法として、時間軸に注目することで、実現できていることとしては、顧客成長を構築することだったり、したりしなかったりするのかも知れません。(これくらいならIR資料に書いてあるからセーフかと。)
引用元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/6553/ir_material_for_fiscal_ym2/63931/00.pdf
SHIFT(イノベーション)を起こすことが正解とは言い切れない
本書は「イノベーションの作法」を紹介する本であり、近代のビジネスでは、SHIFT(イノベーション)により得られるベネフィットがリスクを上回るようになった、とは書かれているが、その一方で、イノベーションを起こすことだけが正解とは言い切れないと書かれている。
ここでもう一つ重要な視点がある。これらのSHIFTは人類全員が同時に起こしたわけではなく、ある特定の人間がそのSHIFTを起こし、残りの人間がそれをCOPY(模倣)、すなわちFOLLOWした(真似た) ということである。すなわち、人間というのはSHIFTを起こすかFOLLOWするかの二種類に大別されることになる。
フレームワークを持つと、そのフレームワークになんでも当てはめてみたくなるけど、COPYとFOLLOWの実行力で勝っているビジネスはたくさんあるので、そっちもおざなりにならないようにしないとな、と念の為メモしておきます。
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※今回は、6月23日(日)~6月29日(土)分の週報になります。
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