デンマークのインクルーシブ教育から学ぶ -障害の有無を超えた「共に生きる」場づくり-
デンマークの「ノーマライゼーション」という概念は、障害がある人もない人と同じように社会で暮らせることを目指す考え方で、その発祥の地として知られています。この理念を体現する場の一つとして注目されているのが、デンマーク第二の都市オーフス近郊にあるエグモント・ホイスコーレンです。この全寮制の学校では、障害のある学生とない学生が共に学び、生活を共にするユニークな取り組みが行われています。
この記事は2024年11月25日付日経新聞電子版「障害あっても共に学ぶ デンマークの包括的教育とは」をもとに執筆しています。
障害があっても「やりたい」を後押しする学校
エグモントでは、障害の有無に関わらず、学生が「自分の可能性を信じて挑戦する」環境が整っています。クライミングの授業では、車椅子の学生も教員や仲間のサポートを受けながら壁を登り、難病を抱える学生が北欧最高峰に登頂した例もあります。
また、障害のある学生が介助者を雇い、必要な助けを伝える経験を通して、社会での自立を準備します。このプロセスは、支援する側もされる側も互いに学び、成長する機会となっています。
日本人学生の挑戦
エグモントには日本人の留学生もおり、2024年春から留学している車椅子ユーザーの東亜海さんは、自らの障害を見つめ直し、他者との協力を学んでいます。一方、介助側として留学している日本人学生も、日本文化に根付く「迷惑をかけたくない」という意識と向き合い、新たな視点を得ています。
教育の多様性と柔軟性がもたらす未来
デンマークの教育制度は、障害者教育だけでなく、進学やキャリア選択においても多様性と柔軟性が特徴です。例えば、高校進学前に「第10学年」という選択肢を設けることで、生徒が自分のペースで学び直す時間を確保しています。
最後に
当社が提供している放課後等デイサービスは生活や学習に困難を抱えたり感じる子どもたちが募ってともに活動したり社会性を身につけたりする場です。この環境については、一部の外国機関からインクルーシブ教育から逸脱しているというような指摘を受けています。
一方で、エグモント・ホイスコーレンは、「やりたい」という意志を尊重し、障害の有無に関係なく、多様な背景を持つ人々が共に成長する場を提供しています。
エグモント・ホイスコーレンの取り組みは、日本の教育や福祉の未来を考える上で、重要な示唆を与えてくれていると感じます。