継続率99%のカスタマーサクセスを支える「CS Ops」の全容
SmartHRでカスタマーサクセスオペレーション(以下、CS Ops)をしているの長谷田(@TakaHaseda)です。
CS Opsについて「同じような悩みがある方と意見交換したい」、また「SmartHRのCS Opsについても知ってもらい」と思い、今までの取り組みや大事にしていることを書き出してみました。
個別の施策の内容ではなく、CS Opsの全容についてお伝えできればと思います。(個別の質問などありましたら @TakaHaseda までいただければ!)
CS Opsがやっていること・やってきたこと
私がSmartHRに入社したのは2019年の9月で、カスタマーサクセスグループにCS Opsユニットが誕生した直後で、まだチームとしても立ち上がりの時期でした。
一般的にCS Opsは期待される役割が幅広かったり、役割が曖昧な部分もあったりして、業務範囲が広くなりやすいと思います。
そのため、まずはチーム内での認識合わせから始めることにしました。
CSグループ全体のKGIとOpsに求められていることをもとに、CS Opsユニットで何をやるかを話し合い、その結果として以下の注力領域と業務を決定しました。
注力する3つの領域
・継続率の向上
・エクスパンション
・イネーブルメント
注力する4つの業務
・データの整備
・分析と可視化
・CS企画と施策実行
・オペレーション改善
お客様やCS組織のために、数多くのやるべきことがありますが、CS Opsとして力を入れたい業務を4つ選びました。(当然ながら、これ以外もやるのですが💪)
これらの3つの領域と4つの業務について簡単に説明しますね。
領域1:継続率の向上チャーンの防止
SaaSにおいての重要な指標の一つである、継続率。これをSmartHRでもカスタマーサクセスグループのKGIとして追っています。
継続率は、顧客を担当しているCSMだけが追う指標ではありません。CS Opsも同じカスタマーサクセスグループとして、この領域に取り組むことが必要と考えています。
領域2:エクスパンション
既存のお客様を担当するカスタマーサクセスにおいては、お客様の課題を継続的に解決していく必要があります。
そして、お客様の課題をもとに作られた新規のオプションや新規のプロダクトの提案や、それらの導入の土台を作ることはCSの役割の一つでもあります。
SmartHRでは、セールスグループ内のカスタマーセールスがエクスパンション金額の目標を持っていますが、CSにおいてもエクスパンションに向けた取り組みは非常に重要です。
エクスパンションにおいてはCSMのみならず、カスタマーセールスや営業サポート、マーケティング、PMMなど関係部署が多くなりますので、部署連携や業務プロセスの整備などにも力を入れる必要があります。
SmartHRのエクスパンションの取り組みについてはこちらの note も参照ください。
領域3:イネーブルメント
イネーブルメントも解釈の幅が広い言葉ですね。SmartHRのCS Opsでは、既存メンバーのスキル向上と新メンバーの立ち上がりに分けて考えました。
組織としての拡大フェーズかつ、リモートでの入社が続く状況なので、特に力を入れているのが新メンバーの立ち上がりです。
取り組みの一つとして「オンボーディングシート」を紹介させてください。
2020年の1月に「オンボーディングシート」という、入社後の3ヶ月間でキャッチアップすると良い事項をまとめたスプレッドシートの作成に取り掛かりました。
2月から本格的に運用を始めたのですが、その直後の4月からは新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン入社やリモートでの受け入れとなり、「オンボーディングシート」の存在に助けられました。
CS Opsでは新メンバーの入社の2ヶ月後に、オンボーディング体験を振り返るヒアリングを実施していて、「オンボーディングシート」をはじめ、「メンター制度」など複数の立ち上がりの仕組みをアップデートし続けています。
※ SmartHRのカスタマーサクセスグループにおいて、現在は中途採用のみに絞っていることもあり、一定のビジネススキルがある前提でイネーブルメントの設計をしています。
業務1:データの整備
アウトプットとしての分析やレポーティングを正しく意味のあるものにするには、正しいデータが必要です。
プロダクトの利用状況やコンテンツの閲覧状況のような定量的な情報だけでなく、お客様の定性的な情報も分析対象にすることもあります。
特に、CSMの活動から得られる情報は手入力されることも少なくないので、データの鮮度や信頼性が保たれるような業務オペレーションの設計や浸透も重要です。
また異常なデータ(例:重複データ)を見つけて原因を解消していくことも求められています。
業務2:分析と可視化
分析業務においては、分析したことで完了するのではなく、分析して分かったことを次の行動に繋げる必要があります。
分析結果から得られた示唆を次の行動に繋げられるように、「何が言えそうか」「どういう施策の切り口が考えられるか」などを一緒に共有するようにしています。
分析に使った各項目や要素については、チーム内での認識に齟齬が発生しないように定義を明確にする必要もあります。
また、日常的に確認が必要なデータについてはダッシュボードにして、CS Opsを介さずに最新情報が確認できるようにすることも、可視化の業務の一つです。
業務3:CS企画と施策実行
前述のような分析の結果として、さまざまなCSの企画を行い、施策を走らせることがあります。
CS Opsだけで進めるものもあれば、CSグループや他部署と連携して行うもの、CSMが顧客業務と並行しながら進める施策もあります。
言うまでもなく、施策の結果を出すためには実行が非常に重要です。
そのため、CS Opsでは、施策の実行を早めたり、関係者が多いプロジェクトでも遂行しやすくなるように施策実行にも磨きをかけようとしています。
必要に応じて施策やプロジェクトの旗振り役を担ったり、PMBOKなど必要なものをカスタマイズしてプロジェクトの推進や管理にも役立てています。
例えばPMBOKのプロジェクト憲章をもとにした、独自の「プロジェクト定義書」を作り、徐々に浸透し始めています。
業務4:オペレーションの改善
CS Opsに期待される役割を考えると、業務オペレーションの整備は中心的な役割になると思います。
新規に作成するオペレーションも重要ですが、既に存在するオペレーションの改善こそCS Opsの腕の見せ所だと思います。
特に、CSMがお客様に割ける時間を増やせるように、業務負荷を減らして生産性を上げることはカスタマーサクセスの組織としても重要です。
自動化や省略化などによって、組織内の業務負荷を減らしながらも、アウトプット(品質や早さなど)を向上させるのは大きな貢献だと思います。
SmartHRのCS Ops内で設計・実装するものが多いです。
一例としてQuipやChili Piperを使った、日程調整から議事録作成の自動化なども行っています。
オペレーションの改善をするうえで大事にしていることの一つが、組織への浸透・定着です。
作業が複雑になったり、意義が分かりにくいものは浸透しにくくなりますが、その逆で、 簡素で作業に迷いにくいものや、目的や意義が明確なオペレーションは浸透し、定着しやすくなります。
簡素だけど価値があり、組織に浸透するオペレーションを構築したいと思っています。
以上の3つの領域と4つの業務が、SmartHRのCS Opsが注力しているものでした。チームで話し合ってから1年以上経った現在でも、大切にしたいポイントには殆ど変わりがないので、ちょっとした自信を持って公開します😁
CS Opsが大事にしたいこと
ここからは、SmartHRのCS Opsとしてではなく、私 (@TakaHaseda) としての思いです。
オペレーション構築、データ分析、イネーブルメントなどなど、これらは依然として大事ですし、今後も大事していきます。
しかし、SmartHRのCS Opsは、カスタマーサクセスの部署に所属するものであり、カスタマーサクセス(顧客の成功)とは切り離せません。
常に業務の先に顧客の成功があることを意識しながら、お客さんに接しているCSMや、お客さんにコンテンツを届けているサクセスコミュニケーションのメンバーなどが、お客さんに向き合う時間を作ることを大事にしていきます。
そして、足元の業務と、中長期的な課題への布石を打つことのバランスを考えつつ、「長期的に考えて正しいもの」の方向を確認しながら、チームでカスタマーサクセスの土台を作り上げていきたいと思います。
お客様からの評価が高く、結果を出しているプロダクトや(概念としての)カスタマーサクセスを支え続ける存在であり続けることもCS Opsとして大事にしていきます。
SmartHRのCS Opsのこれから
私がSmartHRに入社してからも、お客様やSmartHRの社員(CSも)が増加しており、CSが担当するプロダクトや、九州支店や東海支店などの拠点も増えています。
関係者が増えて複雑になってくる状況の中で、CSの長期的な戦略を担うところに期待いただいてます。
一つ一つの業務が与える影響も大きくなってきていますが、慎重になりすぎず、小さく素早く始めていく姿勢で今後も取り組んでいきます。
We’re hiring!
まだまだやることは多いため、CS Opsがボトルネックになってはいけないと思っていますが、そのためには、一緒にさまざまな課題に取り組む仲間が必要です。
・カスタマーサクセス(オペレーション)
オペレーション設計・整備が主業務のポジションです
・カスタマーサクセス(データアナリスト)
カスタマーサクセスにおけるデータ分析やデータ整備が主業務のポジションです
その他のSmartHRのCS組織の職種についてはこちらのnoteをご覧ください
後書き
組織の成長やプロダクトのアップデートが頻繁な状況においては、カスタマーサクセスのオペレーションは常に組み替える必要が発生しますよね。
整備したオペレーションの賞味期限を少しでも伸ばせるように、オペレーション同士やプロセスは連携を複雑にしすぎないように、気を配ってます。
…これはまた別の話…。
CS Opsについて多くの方と意見交換したいなと思っていますので、ぜひお話ししましょう!
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