夜のスーパーで勘三郎と会った。
勘三郎せんべいが好きだった。
三〇代のはじめは、足繁く神楽坂へ行った。
その頃は、まだ飲食店がひしめくような街ではない。古くからある花柳界とその風情を残した商店の街で、路地裏をさまよい歩くのが楽しみだった。
毘沙門天の真向かいにある福屋さんは、地の人で、せいちゃんという店主とは、近くのバーでよく会った。
店の名物は手焼きの煎餅で、「勘三郎せんべい」。
十八代目中村勘三郎ではなく、十七代目の好物で堅焼き。醤油は二度漬けして、あえて焦がしたせんべいをよく買った。
年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。