【劇評320】人間の根源的な欲望をいかにみせるか。森田剛、三浦透子の『ロスメルスホルム』。
イプセンは、言葉による決闘を見るものだとよくわかった。
『ロスメルスホルム』(ヘンリック・イプセン作 ダンカン・マクミラン脚色 渡辺千鶴翻訳 栗山民也演出)は、暗く陰鬱な館の場面からはじまる。
ヨハネス・ロスメル(森田剛)は、地域を支配してきた名家ロスメルの末裔である。
下手側にしつらえられた壁一杯に、男系の一族の肖像画がところせましと飾られている。彼は、名門の生まれという特権とともに、家の流儀を守る責務に押し潰されようとしている。
年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。