この記事では、Googleビジネスプロフィール ゴールドプロダクトエキスパートである筆者が、GoogleビジネスプロフィールでChatGPTを活用する方法について解説します。
最近に受け取った微妙なGoogleクチコミ返信を紹介した後、3つのChatGPT活用テクニックを紹介します。
Googleクチコミ返信文のキーワードには、ランキング効果はない
先日、あるレストランから、新しいタイプの微妙すぎるGoogleクチコミ返信を受け取りました。
返信文に、書いたクチコミとは無関係のキーワード(「渋谷レストラン」「ナンバーワン」「東京レストラン口コミ高評価」「ペットと行けるレストラン」など)がちりばめられた残念な内容になっています。
残念ながら、「返信文のキーワードには、ランキング効果はない」と言われています。
つまり、無駄な工夫なだけでなく、せっかくのクチコミユーザーにも不快感を与えてしまっているわけです。
クチコミ返信では、ランキングへの意識以前に、「ユーザーに好感を持たれる」「クチコミ閲覧ユーザーに有益な情報を与える」返信を心がけましょう。
せっかくの美味しいお店なのに、こういう返信を受け取り、だいぶ嫌な気持ちになりました。このお店の今後が心配です。
どうしてこんな返信が作られたのか?背景を想像してみる
さて、最初は、「おかしなMEO対策業者と契約したのか?」と思いましたが、「ChatGPTを使ったAI返信では?」という指摘がありました。
たしかに、返信文の全体的な文章のおかしさ、細かい表現の丁寧さには、そういった雰囲気を感じます。
最近、Googleビジネスプロフィール・ローカルSEOツールでも、「AI(ChatGPT)が、返信文を考えます」的な機能が増えてきています。
もし、この返信がそういったAI機能を使っているなら、今後もこのようなレベルの低く、スパムまがいの返信が急増していく可能性があります。
話題性を重視するばかり、質の低いChatGPTやGoogleビジネスプロフィールの使い方を推奨するサービスやベンダーが増えるのは残念です。
クチコミ返信でのChatGPTの3つの活用例
ただし、返信案を考える上でChatGPTを使うことは多く、AIの利用自体はアリだと思っています。
「ChatGPTの活用」と聞くと「なんだか難しい(怪しい)プロンプトと有料アカウントが必要なんでしょ?」と思われがちです。正直、「テンプレートの文章を考える」だけなら、無料で使えるGPT-3の簡単な質問だけでも十分です。
https://chat.openai.com/
ChatGPTは、クチコミの肯定・否定のニュアンスを勝手に汲み取り、丁寧な返信文を作成してくれます。
できたテキストに、「もっと、こうして(例:短くして・フレンドリーな文章にして・解決策を書いて)」という指示を加えれば、修正してくれます。
しかし、それだけでは、どうしても「テンプレート・コピペ」の域を脱しません。返信しないよりはマシですが、せっかくのコミュニケーションの場。もっとビジネスの成功につながるような、有益なコミュニケーションを工夫したいところです。
そこで今回、3つほど、Googleビジネスプロフィールのオーナーが、クチコミ返信文を考える時に役立つChatGPTの使い方を紹介します。
一次案作成
課題分析・改善ヒント出し
トーンチェンジ
活用1:クチコミ返信の一次案作成
クチコミ返信文の最初の案を考えるのは、慣れている人でもなかなかおっくうです。
まして、それがネガティブなクチコミだと、「なんで、自分がこんなことやらなきゃいけないんだ…」とか「こんなことを書かれて落ち込む」となりやすいです。
しかし、ChatGPTに、いったんクチコミを受け止めてもらい、クチコミ返信文を考えてもらうこと、他者が介在することで、書かれたことや対応を少し客観的に考えられるようになります。
プロンプトは、凝ったものではなくて良いと思います。
私自身は、もう少し複雑に色々試していますが、店舗の方が試す分には単純な指示で十分だと思います。
試しに、こう相談してみます。
こう返ってきました。
正直、ちょっと長いですし、中身が薄いかと思いますので、これをもとに、調整していく必要があります。
それでも、「まったく、何も思い浮かばない…気が重い…」という方は、ここから試してみてください。
これだけでは、ただのコピペです。返信しないよりは良いですが、もっと具体的にクチコミの内容に向き合っていく必要があります。
「文章にするのは面倒だけど、返信したい内容は決まっている」という時には、こう聞いてみましょう。
例えば、こんなプロンプトになります。
すると、こんな回答が得られました。
なかなか良い感じですね。
しかし、「どう課題を分析したらいいかわからない」「方針や改善提案がイメージできない」ということもあるかと思います。
そこで、次の使い方です。
活用2:課題分析・改善のヒント出し
クチコミ対応で大事なのは、クチコミが書かれた内容に向き合うことです。特に、悪いクチコミには、「再発させないこと」「改善案を示すこと」でが必要です。
コピペでの返信文では、丁重に謝罪しても「言ってるだけ・コピペ」と受け止められがちです。課題を見極め、具体的な改善案をクチコミ返信でも提示できるとベストです。
「何も改善提案が浮かばない…」という人は、それにも、ChatGPTがヒントを出してくれます。
例えば、こんな簡単なプロンプトを使ってみます。
先ほどのクチコミを試しに入れてみます。
すると、このような回答が得られました。
店舗の業態を「1,000円カット」だと誤解しているようですが、スタッフの教育・品質管理体制の改善・顧客満足度調査・フィードバックボックスの設置・レビューサイトの評価の活用・カット技術のアドバイス・丁寧な対応などの改善案のアイデアがあがってきました。
こうしたアイデアの中から、すぐに実行できそうなことや投稿者に約束できることを採用して、返信文に盛り込んでいきましょう。こうした積み重ねは、クチコミだけでなく、結果的に店での体験自体を良くしていきます。
活用3:返信文のトーンチェンジ
1と2で具体的な返信内容は固まってきたと思います。
しかし、「まだ、しっくりこない」「店の雰囲気に合わない」「テンプレ感が出てしまう」「もっと毅然とした姿勢を示したい」「もっと柔らかい表現にしたい」などの不満が出てくるかと思います。
そんな時に有効なのが、「トーンチェンジ」です。例えば、こんなプロンプトです。
先ほどの返信文で試してみます。
ChatGPTの回答がこちらです。
今回は、「丁寧」と「厳格」としましたが、「ポジティブ」「ポップ」「ハイテンション」「わかりやすさ(ひらがなを多用)」などのトーンチェンジも有効です。店のトーンにあわせて、さまざまなトーンを提案してみてください。
さて、クチコミの内容によっては、「虚偽のクチコミなので、もっとキツめに毅然とした態度を示したい」時もあります。
「このクチコミは事実ではないので、もっとキツめの口調で書き換えて」などを加えて質問すると、より細かな案を出してくれます。
以下を追加リクエストしてみました。
続く回答はこちらです。
一部、おかしな表現は残っていますが、0から作るよりも、気持ちも手間も楽になるはずです。また、「自分で書いたクチコミ返信」を客観的に評価するのは難しい」ですが、「AIが書いたクチコミ返信」を客観的に評価するのはできるはずです。
逆に、「キツめに見えるので、マイルドな表現にしたい」という時にも使えます。
例えば、こんなプロンプトになります。
先ほどのキツい返信文をトーンチェンジしてもらいます。
すると、こんな返信文が出てきました。
ここから「もっとマイルドにしたい」「表現が固いので柔らかくしたい」など、そのまま質問を続けていけば、もっと好みの表現が育っていくと思います。
今回、簡単なプロンプト例を紹介しましたが、複雑なプロンプトを使わずとも、コミュニケーションを重ねていくことで、生成の精度は高まります。
「一発で、完璧な回答を引き出す」ではなく、「ヒントをもらう」「たくさんの案を出してもらう」のが、ChatGPTの活用のポイントになるので、気軽に雑にたくさん質問を投げてみるのをおすすめします。
ほかにも、新しいご活用例やアイデア、有効なプロンプトなどあれば、ぜひ教えてください。