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2024年のGoogleビジネスプロフィールの10大トピックス
Googleビジネスプロフィールのプラチナプロダクトエキスパートの長谷川です。毎週発行しているニュースレターで2024年にお伝えしてきたニュースから、特に注目すべきトピックスを選びました。
2024年Googleビジネスプロフィールの10大トピックス
メッセージ機能・サイト作成機能が終了
店名検索でSNS投稿が「ソーシャルメディアの最新情報」として表示されるように
Google ビジネスプロフィールの写真機能が改善アップデート
ビジネスプロフィールの停止が大急増
口コミのポリシー違反による制限のヘルプと再審査請求フォームが公開
Googleマップで不正な口コミ集めをしている店の報告フォームが公開
特典でのGoogleクチコミ獲得で、大森のクリニックが初の景品表示法の違反措置
強まるGoogleへの国内外の独占禁止法の圧力
生成AI搭載のローカル検索機能が次々登場
Googleビジネスプロフィールにも生成AI機能が次々導入
1. サイト作成機能・メッセージ機能が終了(3月・7月)
まずは2024年に廃止されたGoogleビジネスプロフィールの機能の紹介です。
・サイト作成機能の廃止(3月)
Googleビジネスプロフィールの情報をもとにウェブサイトを作る機能ですが、1月に終了の案内があり、3月から6月にかけて廃止されました。
「MEO(Googleビジネスプロフィール)があれば、公式サイトは不要!」という言説をたびたび見かけますが、公式ウェブサイトでの情報発信や仕組みはローカル検索のランキングや集客にポジティブな影響をもたらします。
まだウェブサイトがないビジネスの方は、公式サイトを作って、積極的な情報発信や最新情報の更新、ビジネスプロフィール内には書き切れない詳細情報、予約機能やFAQ、問い合わせページ等々、ローカルマーケティングの成果を上げるためのウェブサイトの工夫をこらしてみることをおすすめします。
・メッセージ(チャット)機能、7月いっぱいで終了
ビジネスオーナーとユーザーが、チャット形式でコミュニケーションを取れる機能がメッセージ機能でした。
2024年5月29日にこのチャット機能(メッセージ機能)が、「2024年7月31日に利用できなくなります」という発表がありました。
代わりにSMSやWeChatの情報を載せられる「チャット欄」が設けられましたが、結局日本では実装されていません。この機能は、海外の一部の国ではテスト実装が続いています。
2.店名検索でSNS投稿が「ソーシャルメディアの最新情報」として表示されるように(3月)
3月からGoogleビジネスプロフィールに連携したSNSの投稿が、店名でモバイル検索したときに「ソーシャルメディアの最新情報」として差し込まれるようになりました。
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当初はどれか一つのSNSしか表示されませんでしたが、2025年1月現在は複数のSNSの投稿が混ざって表示されるようになっています。
ただし、ユーザーがSNSの投稿の詳細を確認しようとすると、そのSNSを開く動作になります。ユーザー視点では、通常のGBP投稿より面倒な操作です。個人的には、SNS投稿とビジネスプロフィール投稿とは、狙いや内容をわけて活用するのがおすすめです。
3. 写真機能が改善アップデート(3月)
以前、写真はカルーセルで1件ずつ確認していくしかできませんでした。2024年3月からすべての写真を一覧で確認できるようになりました。
同じ写真の登録はポリシー違反になるので、こういった重複写真を検証しやすくなりましたね。あとは、足りていない種類の写真(例:店内写真がないなど)を確認しやすくなったものよかったです。
個人的には、2024年最もナイスなアップデートです。こういうのをもっと増やしてほしいですね。
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4. ビジネスプロフィールの停止が大急増
ある意味で、最も多くビジネスオーナーを悩ませた問題でした。発端は、2023年の年末からGoogleビジネスプロフィールの停止回復の仕組みが変わったことです。
それまで停止されたら、サポートに問い合わせて、問題箇所を修正・報告し回復してもらうのが一般的でした。それが回復申請専用フォーム(再審査請求ツール)に変わり、ビジネスオーナーがサポートを介さず、問題の特定・申請を行う仕組みに変わりました。
このシステムの導入当初は、ツール自体の不具合も多発し、ヘルプコミュニティにも大量の質問が寄せられていました。
それと並行して、Googleビジネスプロフィールの停止も大急増。おそらく停止の仕組みも以前と大きく変わったと思われ、ルールが厳格化され、自動審査で「疑わしいものは停止」というように変わった印象です。
停止の種類もいろいろあり、口コミも含めた不正操作からアカウント単位の一括停止、「オーナー確認後に未来の開業日を入れた」というような仕様の問題では?といえるような原因までありました。
現在、これらの多岐にわたるトラブルの原因と対処法をプロダクトエキスパートの今井氏をまとめてくれています。
2025年になっても、この増加傾向が変わっておらず、今後も減ることはないと思われます。
5. 口コミのポリシー違反による制限のヘルプと再審査請求フォームが公開(7月)
2024年7月下旬に、口コミのポリシー違反によるGoogleビジネスプロフィールの制限のヘルプページが公開されました。
ビジネスオーナーが虚偽のエンゲージメントに関するポリシーに違反していると判断された場合、違反しているクチコミの削除に加えて、Googleビジネスプロフィールにも制限が課されることがあります。
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今回、最初の一文にて「Google は、事業者に関する虚偽の、あるいは報酬に基づくクチコミと評価を重く受け止めています」とあることから、特に「虚偽の口コミと特典による口コミ獲得」に焦点が当てられていると考えられます。
これらのポリシー違反があったと判断された場合、3種類の制限が課せられるリスクがあります。
一定期間、ビジネス プロフィールで新しいクチコミや評価を受け取ることができなくなる
一定期間、ビジネス プロフィールの既存のクチコミや評価が非公開になる
虚偽のクチコミが削除されたことを消費者に知らせる警告がビジネス プロフィールに表示される
虚偽のクチコミが削除されたことを消費者に知らせる警告は、先行導入されたUK以外ではまだ確認できていませんので、引き続きウォッチを続けていきます。
6. Googleマップで不正な口コミ集めをしている店の報告フォームが公開(11月)
不正行為である「特典を使った口コミ集め」「レビューの強要(否定的なレビューの妨害・肯定的なレビューの誘導)」を証拠付きで報告できるようになりました。
これまで店名や住所などの不正行為を報告するフォームはありましたが、不正な口コミ集め行為を報告するフォームはありませんでした。
今後、ユーザーから、不正行為による口コミ集めをやっている店舗が報告を受けるリスクが格段に高まっていくこととなります。
※字が読み取れない画像や店名が入っていない案内、特典と引き換えということが書かれていない案内は証拠とはなりません。
現在、多くの店舗が特典による口コミ集めを行い、多くのツールが「レビューの強要」を疑われかねない機能を実装しています。 しかし、今回のフォーム実装によってリスクがかなり高まりました。「みんなやっているから大丈夫」ではなく、きちんとした手法で口コミ集めをしていただくことをおすすめします。
※注意点:フォーム自体は日本語対応済みですが、「フォームに関するヘルプがない」「ケースIDが発行されない」「リリースアナウンスがない」「ユーザーへのフォームの動線が限定的」であることから、まだテスト公開・限定的な利用の可能性も考えられます。
7. 特典でのGoogleクチコミ獲得で、大森のクリニックが初の景品表示法の違反措置(6月)
少し機能から離れたトピックスをいくつか紹介します。
2024年6月、消費者庁が、特典をつけて星5のGoogleマップの口コミを集めていたクリニックに対して、ステルスマーケティング告示の違反として措置命令を行いました。
消費者庁は、マチノマ大森内科クリニックを運営する医療法人社団祐真会に対し、Googleマップの口コミ投稿欄において、来院者が投稿した星5(★★★★★)の表示が、ステルスマーケティング告示に違反するものとして、措置命令を行いました。#ステマhttps://t.co/jIH1mL370a pic.twitter.com/PNckqfEXWf
— 消費者庁 (@caa_shohishacho) June 7, 2024
ステマ規制は過去に遡っても適用されるので、過去派手にやった記憶がある店舗は注意が必要ですね。
今回の措置により、Google以外の窓口として
店舗側のスパム(特典による口コミ集め)→消費者庁
ユーザー側のスパム(嫌がらせ口コミ)→裁判
という形で、違うアプローチが機能し始めたことなります。どちらも件数や時間がかかりますが、抑止力にはなりそうですね。
8. 強まるGoogleへの国内外の独占禁止法の圧力(3月・4月)
2024年3月、EUでデジタル市場法(DMA)の運用が開始されました。
EUのデジタル市場法(DMA)とは、EU域内で2024年3月に全面適用された法律で、デジタルサービスを提供する大手IT企業への規制を念頭にした法律。欧州連合域内市場に対して重大な影響力を有する大手IT企業を「ゲートキーパー」として指定して様々な義務を課すことで、公正な競争を確保することを目的とする。
Googleは、DMAで指定されている 6 つのゲートキーパーのうちの 1 つです。自社の製品やサービスを優遇しないように義務付けられています。そのため、2024年、EU圏ではDMAに基づいたさまざまなGoogle検索・Googleマップの取り組みが始まりました。
そのテストの一つが、EU地域のGoogleマップで地図リンクが削除されたことです。
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Google 検索結果の地図を表示してクリックしてルートや詳細情報にアクセスできないという苦情が多数寄せられています。 EU 地域では、地図をクリックすることが無効になり、Google 検索バーの地図リンクも削除されました。なぜ? DMA の変更に関連するヨーロッパの法律により、Google はこの変更を削除する必要がありました。
また、ホテル検索の一覧から地図機能を削除するテストなども行われました。
数週間前、Google は、ヨーロッパのデジタル市場法 (DMA) がホテルにどのような影響を与えるかを調べるために、ホテルの検索結果の変更をテストすると発表しました。そのテストは終了しましたが、結果はホテルにとって好ましくなかったと Google は述べています。Googleは、ヨーロッパのデジタル市場法(DMA)の変更をテストし、航空会社、ホテル運営会社、小規模小売業者の支援に努めたと同社は述べている。同社はその一環として、ホテル一覧から地図機能を削除することを特にテストした。
4月26日、日本においても、同様の巨大ITの独占是正の新法案が閣議決定されました。
米アップルや米グーグルを念頭に、スマートフォンのアプリ配信や決済システムで他社の参入を妨害することを禁止する。公正取引委員会が所管する同法を通じて、IT事業者の競争を促す。
巨大ITに対してあらかじめ複数の禁止事項を設ける。①アプリストアや決済システムで他社の参入を阻害する②検索サービスで自社のサイトなどを優先的に表示する③基本ソフト(OS)の運営を通じて知った他社のデータを自社アプリで活用するなどの行為を禁じる。
今後、ローカル検索でローカルパックやショッピング枠が表示されることや、Googleの口コミが表示されることが少なくなっていく可能性があります。
ただ、個人的には、表示枠を単純に減らすだけでなく、サードパーティ(Faceboook・Instagram・Yahoo!・ローカルサービス)のデータや枠が拡張表示されていくような気がします。「Googleビジネスプロフィールだけやっていればよい」というわけではなくなってくるはずです。
日本での法案はまだ具体化していないですし、DMAもまだ始まったばかりです。2025年は2024年以上に規制が厳しくなっていくことが予想されます。
9. 生成AI搭載のローカル検索機能が次々登場(8月〜)
生成AIを使ったローカル検索機能が次々と搭載されています。
まだ日本では実装されていないですが、複数回検索するのではなく、会話のような一度の質問(例:ボストンで最高のヨガまたはピラティス スタジオを見つけて、そのスタジオの紹介オファーとビーコン ヒルからの徒歩時間の詳細を教えて)で、店舗候補やマップが表示される機能もアメリカで実装されました。
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Googleマップ内の情報でも、アメリカでは店舗の説明やレビューの要約がAIによって生成され始めています。
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アメリカのGoogle のモバイル検索では、レストランの検索で、AI がカテゴリに応じて分類する検索結果を利用できるようにもなりました。
ローカルパックで「Organized with AI」(AIによって分類)という表示が出た上で、カテゴリで分類された店舗紹介がカルーセルで差し込まれています。
例えば、「日本食」の検索で、「おまかせ」「ラーメン店」「日本風カレー」「居酒屋」などのカテゴリが表示されるようです。
まだ日本ではごく一部の機能しか実装されていませんが、2025年には実装されるはずです。
私はこれによって、情報のソースの多様さがますます大事になってくると見ています。生成AIの情報源となるのは、口コミだけでなく、自社サイトの情報も含まれます。
口コミに書かれる内容はコントロールできないものですが、自社サイトの情報ならコントロールできます。いままで「レストラン」のような検索は、自店舗のサイトが食べログの上に出ることは極めて難しい状況でした。
生成AIによるローカル店舗のレコメンドやレビュー要約なども増えてくるかもしれないですね。自社サイトなどの情報をリッチにすることと、レビューを増やすことがさらに重要になりそうです。
10. Googleビジネスプロフィールにも生成AI機能が次々導入(2月〜)
最後に紹介するのは、Googleビジネスプロフィールの機能にも、生成AIの機能が増えてきた件です。
初めに生成AI機能が導入されたのは2月。英語圏でビジネス説明をAIが生成する機能が導入されました(日本ではいまだ未実装)。ボタン一つで説明を生成してくれます。店名やWebサイトに登録したURLから、所在地・提供サービス・店舗概要などを生成しているようです。
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11月には、メニュー画像を生成AIがメニュー化する機能なども実装されました。メニュー写真をもとにカテゴリまでかなり正確に分類してくれる機能です。複数ページのファイルでの生成にも対応し、生成したメニューは置換か追加か選べます。これはかなり良い機能ですね。
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一方で、ビジネスオーナーによる生成AIの活用という視点ではさまざまな問題も生まれ始めています。
口コミの返信で、「返信文のプロンプトごと」で書いてしまったというクリニックが、Xで話題になりました。
Googleの口コミへの対応で生成AIを使うのは悪いことではないですが、きちんとお客さんと向き合った工夫がおすすめします。
2025年も生成AI機能が多く登場していくことは間違いありません。ただ前提として、スパムやハックではなく、ユーザーに対して「有益な情報を提供する」視点を忘れないようにしたいものです。
終わりに
さて振り返ってみると、2024年は「停止の大急増」から始まり、「不正な口コミ集めの報告フォームの登場」で終わるという一年でした。
個人的には、ポジティブな機能やワクワクする機能の登場は少なく、Googleがスパム対策や社会的責任を強く問われていることの多い年だったように思えます。
2025年はますます生成AI機能の拡大が進む一方で、抱えている裁判や政府からの要請も激しくなっていくはずです。
2024年4月に配信したニュースレター限定コンテンツ「ローカルSEOの未来予測2024」では、以下の予想を立てていました。
・典型的ではないデータや操作は、スパムだとみなされやすいです。スパムの規模から考えると、精度の高い検出や対策というよりは、機械学習を駆使した大規模だが荒っぽいものだと思います。ビジネスオーナーが誤った操作をすることも、寛容ではなくなっていくでしょう。
・疑わしきは罰するを機械的に行い、復旧に対して、書類などの物理の証拠やファクトなどの手間がかかる作業を要求することで、スパムを行うコストを高めて、諦めさせるという方向性に向かっていくでしょう。
これは予想通り、さらに激しくなりました。
「ビジネスプロフィールのオーナーも、Googleマップユーザーに対して、詐欺や騙し・不満を与えないこと」が、重要です。そういった騙しは容易に検知され、仕組みとして対策されていきます。
マップユーザーからの信頼性の高いデータや学習が増え、信用に足るシグナル(評価指標)が増えてきたことに加えて、それを高度に解析・活用するための生成AIの発達が顕著になってきました。
自店舗の都合だけで考えずに、その情報を見たGoogleマップユーザーに役に立つか、楽しんでくれるかという視点が必要になってきます。
今後、様々な機能や口コミが増えていくなかで、ガイドラインも自然に変化していきます。しかし、「マップユーザーを詐欺や騙し、不便益を与えない」ことを念頭に置ければ、アップデートや変化に自然に対応できるようになっていくと思います。
より重要視されていくのは、リアルなユーザーからの評価です。口コミだったり、ユーザー行動だったりが、これまで以上に重視されていくのは間違いありません。
実際の私の仕事がまさにそうですが、「Googleビジネスプロフィールだけ」でできる施策がどんどんと限られてきています。店舗の方の協力だったり、SEO・SNSの取り組みが欠かせません。
私自身、以前良しとされてきたやり方が、今は逆効果になっているケースも最近でも直面しました。アップデートを図っていきながら、「管理画面でできる最適化」を飛び越えた視点とアイデアを大切にしていきたい、そんな2025年になりそうです。
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