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東西植物考

個人コレクションに大正10年の『萬葉集』があります。大正ロマンを感じさせるお洒落な装丁です。

有朋堂文庫『萬葉集』大正10年

この『萬葉集』有朋堂文庫の中の1つで、有朋堂文庫は、平安時代から江戸時代までの古典文学を網羅した全121巻の古典大全集です。もう少し詳しく解説すると本書は国文古典文学作品の集成で、大正初期の予約出版物でした。2期に分けて刊行され、初版が大正元年から4年までの4年間に渡って刊行されたそうですので、本書はそれ以降の版ということになります。

題字はどうやら魯山人が書いたらしいです。
天金です。

さて、中尾佐助が『万葉集』と『聖書』に登場する植物を比較しているのですが、『万葉集』の植物は花や外観の風情や季節を楽しむものが多く『聖書』では食用や衣料品になる栽培植物が多いのだそう。東西の文化の違いといった所でしょうか。

本書をパラパラめくると「山吹」「韓藍(ケイトウのこと)」が登場しています。
イザベラ・バード『日本奥地紀行』に書かれてある米沢平野で彼女が注目した植物は米、綿、とうもろこし、煙草、麻、藍、大豆、胡桃、水瓜、胡瓜、柿、杏、ザクロ、葡萄、無花果と食べ物や衣料になるものばかりです。訪れた時期は7月中旬だから紅花とかまだ咲いていた頃だと思いますが、やはり有用な植物に目がいったということでしょう。

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