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夢の終わり

デザインが素敵で手に入れた芝居の案内をご覧ください。

芝居案内四月興行1940年(昭和15年)4月

扇子の左端に「紀元二千六百年」と記載されています。昭和15年は神武天皇が即位してから2600年ということで国を挙げて盛大に祝いました。
「金鶏かがやく日本の栄えある光身に受けて今こそ歌えこの朝(あした)紀元は二千六百年」
このような祝い歌が歌われながら大祝典が11月10日に挙行されました。花電車やイルミネーションで装飾された市電が走り、提灯行列で華々しい戦前最大のお祭りであったそうです。
昭和12年から始まった日中戦争や世界大戦により国民の統制は厳しくなっていました。娯楽は昭和12年から洋画の輸入が禁止。翌年には「映画法」が成立し国家が製作会社に介入し、愛国心を強調する映画を作るよう指導を始めます。芝居も昭和13年から従来は7時間行っていたものを5時間以内にするよう通達します。昭和15年になると日本中のダンスホールが閉鎖されてしまいます。そんな鬱屈した日々の中での紀元二千六百年のお祭りでしたので人々は熱狂しました。この資料からはそのような華やかさが伝わってきます。
盛大に祝われた式典が終わると街頭に一斉に貼られたポスターにはこのようなことが書かれてありました。
「祝いは終わったさあ働こう」
太平洋戦争は昭和16年12月8日に始まります。
参考文献:B面昭和史 昭和史1926-1945 昭和ニュース事典Ⅳ

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