空への憧れ3
サン=テグジュペリ『人間の土地』に「空のいけにえ」と題した宮崎駿監督の解説が載っています。そこには
「空を飛びたいという人類の夢は、必らずしも平和なものではなく、当初から軍事目的と結びついていた」
と書かれています。気球の回でもご紹介しましたように気球の開発を進めたのは陸軍と海軍でした。今日の人とモノを安全で大量に輸送することが可能になったのは、空を飛ぶことに憧れた多くの若者達の犠牲の上に成り立っているということです。
風を起こす団扇に飛行機とはなかなかユニークです。飛行機は揚力を得るため主翼が2枚ある複葉機と呼ばれる飛行機です。
色が赤っぽい色に色づけされています。日本軍の練習機は目立つように橙色に塗られていたことから「赤とんぼ」と呼ばれていたといいます。もしかしたら描かれているのは昭和9年から生産された九三式中間練習機という複葉機かもしれません。
団扇には3機の飛行機が気持ちよさそうに空を飛んでいます。まだ空が自由で凶暴だった時代の一風景です。