浮腫について 〜メカニズム・病態・症状〜
浮腫は、よく臨床でよく見かける症状です。
浮腫について理解できると患者様の体の状態を予測しリスク管理にも役立ちます。
以外に、理解できていない浮腫について解説していきます。
浮腫とは
浮腫は、組織間液が組織間隙・胸腔・腹腔などに以上に貯留した状態です。局所性因子と全身性因子があり、その病態も局所性浮腫と全身性浮腫に分けられます。
発生メカニズム
浮腫の発生メカニズムは大きく5つに分けられます。
①毛細血管静水圧の上昇
腎機能や心機能が低下すると循環血漿量が増加し、毛細血管静水圧(血管内から血管外へ水分を押し出そうとする力)が上昇して、浮腫が生じます。
②血漿膠質浸透圧の低下
手術や全身感染症などの侵襲が加わると、毛細血管の透過性が亢進します。血漿膠質浸透圧(タンパク質により組織間の水分を血管内に引き寄せる力)が低下し、血液中の蛋白成分(主にアルブミン)が組織間に移動します。
そのため、組織間の水分を血管内に引き戻せず、水分が組織間に貯留してしまい浮腫が生じます。
③腎臓によるNa排泄機能の低下
腎機能が障害されると、腎臓でのNa排泄機能が低下して、血中のNa濃度と浸透圧が上昇します。そのため、細胞内から細胞外への水分の移動が起こり浮腫が生じます。
④循環血漿量の減少
循環血漿量が減少すると、循環血漿量を補おうと抗利尿ホルモンやアルドステロンが分泌され、水とNaの再吸収が促進されます。そのため血中のNa濃度が上昇し浮腫が発生します。
⑤リンパ系の閉塞
悪性腫脹やリンパ管の炎症によってリンパ管が閉塞されると、組織間からの水分の流出が妨げられ浮腫をきたします。
浮腫の病態
全身性浮腫は、心原性・腎性・肝性・薬剤性・特発性に分類されます。
局所性浮腫は、炎症性、静脈うっ滞によるもの、リンパ性の浮腫があります。
①心原性浮腫
心機能の低下によるうっ血性心不全の兆候として認められます。重力に影響を受けるため、下肢に現れることが多く、夕方から夜にかけて悪化するのが特徴です。
②腎性浮腫
腎機能低下によってNaが貯留して浮腫をきたします。また、急性腎炎やネフローゼ症候群のような腎疾患でも生じます。早期から顔面や上半身に浮腫を伴うのが特徴です。
③肝性浮腫
肝硬変などで肝機能障害を認めると、低蛋白血症が起こって浮腫が生じ腹水となります。
④その他
長期の栄養不良による低アルブミン血症や、薬剤作用による浮腫があります。
浮腫の症状
浮腫の発生部位は、上眼瞼や下肢などです。
浮腫を認めると足背や脛骨全面を指で押した時に圧痕が残ります。この圧痕は、組織間の水分貯留の有無、程度を知るための重要なサインとなります。
全身浮腫の場合、体重増加が重要なポイントとなります。短期間で急速に体重が増加する場合は、全身性浮腫を疑う必要があります。
長期臥床でも浮腫が起こる
長期臥床で筋肉の収縮が不十分になると、体液バランスに異常がなくても四肢に浮腫が生じることがあります。
身体の背面に起こるのが特徴です。
離床をする前には浮腫を認めている部位、その程度の推移。
水分バランス、アルブミン値などとあわせて評価しておきます。
今回、参考にした書籍はこちらです↓
実践!早期離床完全マニュアル: 新しい呼吸ケアの考え方 (Early Ambulation Mook 1)
病気がみえる vol.2 循環器
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今回の記事は以上になります。
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