突撃!岩戸の晩御飯!

※解釈不一致等あったらごめんなさい←
※チカゲ目線のとある一日の話



おかしい
なんで我が家にこんなに人がいるんだ

元々はアマネの友達2人がウチにご飯を食べに来ると聞いていた

世話になった2人だし
アマネがすごく嬉しそうに言うもんだから
俺まで嬉しくなって
姉さんも嬉しそうで
ちょっと張りきって多めにご飯は作っておいた

ただあいつらが沙汰詭弁師事務所の面々を連れてきたところから嫌な予感がし始めたんだ

俺は未だ人騒がしいのが苦手だ
(この前「"嫌い"って言わなくなったのが僕は嬉しいですよ」なんてカナタに言われたけれど)

だから今日も目立たないように端っこで食いながら見守ってようと思ったんだ

おい、カナタ
お前が来たら逃げられねぇじゃねぇか

写真を見せて貰ってたらしいマナコちゃんに俺の事を紹介するもんだからガンガン絡まれて、それを止めようとするトイキくんとの夫婦漫才みたいな喧嘩に巻き込まれ、更に外からそれを茶化すように野次を飛ばすカナタ

どんどん大きくなる台風に揉みくちゃにされる俺を見て外から微笑んでいるアマネ

違うんだよ
「お兄ちゃんが色んな人と楽しそうで嬉しい」
じゃないんだよ
助けてくれって
なあアマネ

あとおっさん。
所長ってことは保護者だろ?
なんで優雅にソファで茶をすすってんだ。

いや、なんかもてなさなきゃいけない気がして茶を出した俺も悪いのかもしれない。
でもなんで人の家でそんな優雅にできるんだ?

緊急時とはいえインターホンもなしに家に突撃してきた時からちょっと違和感はあったがあれか?
ぬらりひょんか何かなのか?

そんな台風を割くように鳴り響くインターホン

よかった!姉さんだ!
姉さんならこの場を収めてくれるはず!
そしてあのおっさんを叱ってくれるはず!

と思っていたが

そんな期待は儚く散ったのである

「2人のことも誘ったの、ほら、少しでも人が多い方が楽しいと思って」

と嬉しそうに言う姉さんの両隣にいるのは某チキンのバーレルを持たされた部下の方お2人
日暮さんと結城さんだったか

2人ともすっかり穏やかな顔になったなあ…
なんて思ったのも束の間
これはまた新たな台風が合体した瞬間だったんだ

そこからは記憶が曖昧なため箇条書きにする

・おっさんとラブコメみたいな喧嘩を始める姉さん(ぶっちゃけ親族のそういうのは目の前で広がるときつい)
・マナコちゃんの帽子に飛びついた日暮さん。その後トイキくんも混ざって大盛り上がり。(アマネが布教のターゲットにされてた。助けてやれなくてすまん。)
・アマネの得意料理のハンバーグを子供のような笑顔で颯爽とかっさらう日暮さん、怯えるアマネ、怒る他一同、謝る結城さん

台風はどんどん勢力を増していたが、なんとか抜け出した俺は端で小さくなっていた(アマネのハンバーグは美味かった)

もうヘトヘトだ

おかしい

なんでこんなことに

なんて考えて頭を抱えていると、見慣れた青い和服が近づいてきた

「チカゲさん、ちょっと夜風に当たりに行きませんか?」

「けっ…まぁたキザな言い方しやがって」

悪態を着いても笑われるような仲になったアイツはこういう時いつも気づいてくれる

心と裏腹な言葉を吐きつつ、連れ立って外に出た

「今日は空気が綺麗なので、星も綺麗に見えますね」

「そうだな…」

目の前にはあの日と似た夜空が広がっている

瞬く星と
ぽっかりと空いた穴のような月

手を伸ばせば
どこまでも沈んで落ちていけそうな
どこまでも深く抱きしめてくれそうな
苦しくて優しい夜空

あの日と違うのは

後ろの家からは騒がしくて楽しい音がしていて

となりにはアイツがいて

落ちそうでも引き止めてくれる手があって

こんな手でも掴んでくれる人がいて

会話なんてないし
触れ合うなんて気色悪いけど
隣の温もりは確信できていて

こんなんも悪くねぇかなって思えたのはお前のお陰で

小っ恥ずかしくて面と向かってなんて言えないけれど
言葉は大切だって教えてくれたのもお前だから

「カナタ…ありがとな。」

張り詰めた夜の空気の間を縫うように呟いた言葉は
後ろからの喧騒でかき消されて

「…?何か言いました?」

「いんや。なんにも。」

視界の端で動いた白と黒の何かに笑われたような気がして見やるがそこには何も無くて

「おにいちゃーーん!!」
「カナターー!!」

アマネとマナコちゃんに呼ばれる

「聞こえてるっての。」
「今戻るよ。」

2人で苦笑いしながら中に戻る

これから俺はどれだけの景色を
この手に
この胸に
心に
切り取れるのだろうか

「なあ、今度はどこ行く?」
「んー…そうですねぇ…あ!この前噂を聞いて気になったんですけど!…」

でもどんな景色でも居てくれるんだろ

千の景色を飛び越えて、彼方まで連れて行ってくれよ

なあ、"夢見人"さん。

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