『鄭和宝船』のコト①
ここを読んでくださっている方はご存じかと思いますが、弊社で『鄭和宝船』というボードゲームのクラウドファンディングを本日(9月30日)開始いたしまして。
せっかくですので、この『鄭和宝船』のアレコレをつづってみようと思ったのですが……気付くと開始2時間15分で100万円の目標に到達いたしまして。本当にありがたいですし、そうしたあれやこれやをアナウンスしたり、お礼を書き込んだりしているうちにすっかり時間が過ぎているという状況で、いまこのテキストを書かせていただいております。
「『鄭和宝船』のコト」と言うからには、企画の立ち上げなどから語るのがよい気もしますが、今日はやはり、タイムリーということでクラウドファンディングの話をしましょう。
しかしクラウドファンディング、昔の会社で何度か経験はしたのですが、基本的にはチーム戦で、わたしが前線に立つことはほとんどありませんでした。ですので今回初めて生の動きにさらされて、なんといいますか、ダイレクトに刺激を受けている感覚です。
正直いままで何度も商品を世の中に提供してきましたし、ゲームマーケットの責任者も10年ほど務めてきましたから、それなりに肝は座っている方だと思っているのですが、いや~、今回は久々に感情がダイレクトに揺さぶられています。
ポジティブな意見にも、ネガティブな意見にも、必要以上に心が動かされてしまう感じ。気持ちが若返った感じですね(笑)。
さて、序文はこのへんで。本題にいきましょう。
クラファンのゴールの話です。
今回100万円に設定させていただいたわけですが、100万円あれば、このゲームを100個作って儲けが出るのか。
答えは当然ノーです。
ではなぜ100万円をゴールにしたのか。
このへんを詳しく説明し始めると、「『鄭和宝船』のコト」というよりも、「クラウドファンディングについて」という話になるのでさらっと流しますが、「現在のクラウドファンディングは、資金調達のためというよりは、多分に広報宣伝の性格が強いため」100万円に設定してあるのです。
つまりまあ、馬鹿正直に「1000万円集まらないと儲けが出ないので企画が成立しません」などと言ってしまうと、初日で200万円集まっても、まだゴールの20%なわけで。
そうすると、バッカーの皆さんはどう思うでしょうか。「初日終わって20%か。こりゃ成功するかどうか怪しいぞ」となりますよね。
そしたら「成功するか怪しいから、しばらく様子を見よう」となり、気付くと不成功で企画が流れてしまう……ということが起こり得るわけです。
ではゴールを100万円にしていた場合はどうでしょう。同じ200万円でも、すでに企画は成功しており、達成率も200%です。商品が来ることは確定していますし、さらにお金が集まればストレッチゴールでどんどん内容が豪華になっていきます。
であれば周囲にも広めたくなるのが人情。バッカーさんが友人知人にも情報拡散してくださり、気付くと1200万円集まっていた――なんてことがザラにあるわけです。
これが100万円では儲けが出ないのに、ゴールを100万円に設定する理由です。
ご存じの方には、いまさらのお話であったかと思いますが。
これで終わったら、本当の「クラウドファンディングについて」でしかありません。「『鄭和宝船』のコト」と言うからには、『鄭和宝船』のコトをお話していきます。
まず、では本当の話、いくらに到達したら『鄭和宝船』は成功なのか。
あえて抽象的に「成功」という言い方をしますが、弊社としては、できれば1000万円には到達してほしいなと思っています。
ストレッチゴールで言えば、チップのパンチボードが厚くなるあたり。
ぶっちゃけ、見ている方の中には、「おいおい、高官シート、計画シート、個人シートってなんだよ。そんなのストレッチゴールでボードにするんじゃなくて、最初からボードにしておけよ。ケチくさいな」と思われる方も多いことでしょう。
正直、わたしでもそう思います。
そこをあえて今の形にしたのは、
「価格を1万円にするため」
です。
いや、実のところ、ずっと11,600円にするつもりでいたのです。1ドル145円換算で80ドル。そうでなければ無理だと。
当たり前ですが、赤字を出してまで商売するわけにはいきません。
日本円で考えると11,600円は高いですが、インフレ傾向にあるアメリカでは80ドルでもそれなりに妥当な金額です。
弊社が我慢して、利益を削る必要があるのか。
どこまでいってもマニア向けの商品。1万円が11,600円になっても、買う人は買うし、買わない人は買わないだろう。
そんな思いもさんざん頭の中を駆け巡りましたが……最終的に、やはりお求めやすいよう1万円(約70ドル)にしようと決断しました。
内容物を見ていただけたら、ある程度ご理解いただけるのではないかと思うのですが……実際のところ、1万円で出せる商品ではありません(笑)。
これを見てください!
パンチボード6枚、円柱コマ40個、船コマ34個、ミープル125個、キューブコマ100個。
……正気か?(笑)
ちなみに書いていませんが、メインボードのサイズは660mm×440mm。6つ折りです(笑)。
こんなもの、1万円で出せるわけがないんです(笑)。
それを出すカラクリのひとつが、「高官シート」「計画シート」「個人シート」というわけです。
このへん、弊社としても、シートでいいと思っているわけがありません。当然ボードにしたい。
ですがこのへんをボードにすると、コストも上がりますが、重量も上がります。重量が上がると、輸送時に破損する可能性も上がります。
箱が破損してしまえば売り物にならず、そのぶんはすべてメーカーの損害となります。
つまり「とにかく価格を1万円にしよう」「そのために、最初のプランは徹底的にコストを下げよう」という目的で、いまの商品内容とストレッチゴールを構築したわけです。
1000万円集まるということは、パッケージイラストの複製原画がどれくらい売れるかにもよりますが、900個程度はゲームが売れたということになるでしょう。
この『鄭和宝船』、一般販売用にプラス500個程度作る予定でいますので(生産的にキリのいい数にするので、ピッタリ500ということではない)、そうすると生産数は1400個程度。
1400個作れるなら、もろもろをボードにして、それらを入れても壊れる可能性の低い頑丈な箱にしても、1万円でなんとか利益は出そうだぞと、そういう計算をしたというわけです。
なんとか利益は出そうと書きましたが、1000万円集まらないと赤字というわけでもないので、そこは誤解なさらないよう(笑)。そこまでエグい身の切り方はしていません。さすがに。
それから一般販売用にプラス500ほど作ると書きましたが、一般販売商品の価格は安くても1.2万円程度にはなると思います。まあ、送料を入れれば大した差ではないのですが……。
そしてこの『鄭和宝船』、このボリュームですのでご理解いただけると思いますが、増産する可能性はほぼゼロです。
今回が最初で最後の生産になる可能性が極めて高いですので、興味のある方は、ぜひ確実に手に入るKickstarterでのご支援をよろしくお願いいたします。
https://www.kickstarter.com/projects/kariya/the-treasure-ship-of-zheng-he