自然妊娠できないという壁
付き合い始めたと同時にコロナ第一波による在宅ワークを余儀なくされた我々は、社会人になってからかつてない血の繋がらない他人との共同生活を経験することとなった。
こんなにも誰かと日々時間を共にする事は過去にも未来にもきっとない。この期間を苦痛に感じる夫婦やカップルが多いのは理解できる。逆も然りだ。
私は人生のパートナーを探し、できれば子供を持ちたい(一度は努力をしてみたい)。もしそれが叶わないなら、いわゆる"彼氏"という存在の固定たる伴侶はいらないとこの時期、非常に謎の強がり病を患っていたため、付き合って間もない時にその気持ちを打ち明けることにした。
なぜならば、私は20歳の時に一度堕胎を経験し、その後避妊をしていたにも関わらず1度の子宮外妊娠・1度の原因不明による卵管破裂を経験していて、卵管を両方失った究極の拗らせお姉さんへの道筋を作ってくれた不運児です。
"ダブルロスト"したのは北京駐在中の26歳。原因不明とは言え、現地の病院に搬送され有無言わず、お主の意思など聞く必要皆無状態で無常にカットをされたわけで、今思えば仕事をがむしゃらに頑張れたのも、その後デキ婚する事なく、拗らせ道を歩み始めた起源はここにあります。
ここで卵管の作用のおさらいです。
卵管とは、卵巣と子宮をつなぐパイプのような役割をもち、卵巣から腹腔内に排卵された卵子を捕まえて子宮へ輸送するとともに、卵子と精子が出会って受精する場でもあります。ここで出会った"二人"は卵管を通りふかふかベッドの子宮へと下降し、やがて着床される。これで"妊娠"ということになる。
卵管がないということは、受精卵がふかふかベッドに行くトンネルがないし、広大な銀河で彦星と織姫そもそも出会えない。悲しい事実ではあるが、どう頑張っても自然妊娠は100%不可能ということになる。
つまり、私は、体外受精もしくは顕微受精、代理母でしか自分のDNAを持つ子供を授かることができない。
ただポジティブに考えれば、HIV観点を除けば、彦星と織姫の待ち合わせ場所がないため、一切避妊の必要がない。
ちなみに、現代女性の未婚化、少子化、食生活、環境、社会進出などの複合的背景による原因不明の卵管閉鎖や癒着、子宮外妊娠が急増しているらしい。
普通に生きていて、人にこういった事情を伝えることはないのに、誰かと付き合う度にその先にもし結婚があるのであればこの事情を告白しなければいけない事実も私を恋愛にポジティブから遠ざけ、ずるずると安定をと前の彼と気づけば長い無駄な年月を過ごさせた原因でもあり、とても気は重いが、膿は早い所出しておいた方がいい。
私は、包み隠さずKに全てを打ち明けることにした。
これで逃げられたら、早めに分かって得したね。という考えをしようと。