全米暴動を「うがった見方」で眺める

暴動の発端は白人の警官が黒人男性を殺害したこと

5月25日、アメリカ・ミネアポリスで黒人男性が白人男性の警官に首を締め付けられ、黒人男性が死亡する事件が発生しました。

黒人男性が白人の警官に首を絞められ、殺されるまでの状況は動画で拡散されましたが、それを機にアメリカ国内では警官の行為に対する抗議デモが発生します。

その後、デモ参加者の行為はエスカレートして暴徒と化し、放火や投石、商品の略奪が相次ぎました。

共同通信の報道によると、抗議デモは5月31日までに全米50の都市で発生しており、25以上の都市で夜間外出禁止令が発令され、14州以上で州兵を動員する騒ぎへと発展しました。

上記の一連の流れは「ミネアポリス暴動」と呼ばれています。

このミネアポリス暴動を客観的な視点で眺めてみると、警官の行為に対する抗議デモは理解できるのですが、抗議デモでとどまることなく、暴動にまで発展してしまうのが理解できません。傷つけ合って何の得があるのか?

暴動を起こしてしまうことの弊害は、何も悪さをしていない一般の人が暴動に巻き込まれてケガをしてしまうことです。

以下のツイートはアメリカ・ダラスでの様子ですが、店舗のオーナーと見られる人が大勢の暴徒らに踏みつけられ、蹴られ、石を投げつけられて瀕死の状態にあることを伝えています。

いったい、店舗のオーナーは何をしたというのでしょう?

ミネアポリスの黒人男性に対して白人の警官が行った行為は許されるべきものではありませんが、デモに乗じて店舗のオーナーを襲撃する行為は立派な犯罪行為です。

暴徒らの奇行はこれだけにとどまらず、全米のあちこちで放火を起こしたり、略奪を起こしたりしています。

なぜ、暴徒らはやりたい放題の行為に走ってしまうのでしょうか。

デモの原因は、社会に対する不満の爆発

デモだけにとどまらず暴動に発展してしまうのは、結局のところ社会に対する不満が爆発したためと考えられます。

デモでは、暴行、略奪、放火などが行われましたが、これらは怒りのエネルギー、つまり「不満」が爆発するほどたまってなければ行えない行為です。

アメリカでは3月中旬、新型コロナウイルスの拡大によって非常事態宣言が出されましたが、それ以降、5月末時点までに失業保険を申請した人の数は4000万人を超えました。

実にアメリカの労働者の4人に1人が失業保険を申請した形となりますが、社会に対する不安も、結果として暴動を後押ししてしまいました。

ミネアポリス暴動に端を発した全米での暴動について、火の燃え上がり方に例えるなら、「不満」という火種がもともとあり、「黒人男性が白人警官に殺された」という着火剤によって、「暴動」という形で爆発してしまったといえそうです。

ミネアポリス暴動は「仕込み」?

暴動と言えば、群衆の怒りが一気に爆発して起きているもの、というイメージが強いですが、暴動を起こす人たちがいて、それにつられる形でまわりの人たちも暴動に加担してしまうこともあるようです。

以下にトランプ大統領のツイートを紹介しますが、トランプ大統領は、暴動を起こしているのは地元民ではなく、よそ者だと述べています。

さらに、トランプ大統領は抗議デモは「プロ組織によるもの」と発言し、単に騒ぎを大きくしているだけだと述べています。

ミネアポリス暴動が「仕込み」であるということは想像の域を出ませんが、もし「仕込み」であるなら、暴動に参加した人たちは単に踊らされたことになってしまいます。

「踊る阿呆(あほう)に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」とばかりに、我も我もと暴動に加わってしまうのは、端(はた)から見ていると「なんだかなぁ」と感じてしまうのは私だけではないはずです。

まとめ

今の時代、物事を表面だけから眺めるのではなく、うがった見方をすることで、思わぬ発見にたどり着くことがあります。

「どうしてこんなことが起きているんだ?」というように、トラブルが起きている背景を探り、「このトラブルの仕掛け人は誰なんだろう?」というように、ある意味ひねくれた物の見方をすることで「なぁーんだ」という結論にたどり着くことも。

今年に入ってからは、新型コロナウイルスを代表として、心の底から動揺してしまうような出来事が続いています。

しかし、そんなときこそ、冷静かつ客観的な視点、そしてうがった見方で物事の本質を見抜くスキルが求められます。そんなスキルを身につければ、混迷の時代であっても、身のまわりの出来事に振り回されずに生きていけるはずです。

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はるぞらの令和観察
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