誇張表現を鵜呑みにするな!
1月30日、Twitterのトレンドワードに「東京オリンピック中止」が表示されました。トレンドワードの元となった記事は以下です ↓
東京オリンピック中止か、新型肺炎対策でIOCとWHOが協議
https://www.excite.co.jp/news/article/Buzzap_61217/
exciteニュースに掲載された記事で、見出しだけ見るといかにも東京オリンピックが中止になりそうな印象です。なお、このニュースの元記事は時事ドットコムニュースに掲載されたもので、記事の内容は以下の通りです。
【ベルリン時事】国際オリンピック委員会(IOC)は、東京五輪での新型コロナウイルスによる肺炎対策をめぐり、世界保健機関(WHO)と連絡を取って協議している。DPA通信が29日、報じた。
IOCはDPA通信の問い合わせに対し「安全に大会を開催するための感染症対策だ。東京五輪の計画の重要な要素となる」と回答した。
引用:時事ドットコムニュース 2020年1月30日付
上記の記事の通り、東京オリンピックが中止になるとは記事の本文中には一言も触れられていません。書かれている内容は「新型肺炎対策のため、IOCがWHOと協議している」ということだけです。
ちなみに、時事ドットコムニュースの見出しは、
「WHOとIOC協議 東京五輪の新型肺炎対策」
となっています。
参考:時事ドットコムニュース
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020012901075&g=int
もっとも、ニュースの見出しが「WHOとIOC協議 東京五輪の新型肺炎対策」だけであれば、東京オリンピックの中止を連想する人は少なかったはずです。
しかし、記事の見出しに「東京オリンピック中止か」と書かれていれば、東京オリンピックの中止が確定ではないにせよ、世論としては「新型肺炎がヤバいときに、東京オリンピックの開催なんてヤバい!」という流れをつくってしまいかねません。
なお、1月30日の時点において新型肺炎の死者数は中国国内で170人、感染者数は7711人に増えており、感染者数は加速度的に増えている状況です。
そのような状況を踏まえれば、東京オリンピックは新型肺炎が原因で中止に追い込まれる可能性も否定はできませんが、1月30日時点ではあくまでも新型肺炎対策について協議しているだけです。
「東京オリンピック中止」という表現は、いわばパワーワードのようなものであるため、東京オリンピックの中止が決まらない限り「東京オリンピック中止」という表現は使うべきではないと考えます。
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また、誇張表現に関連して、以下のツイートも見つけました。
上記のツイートに対し、福岡市の高島宗一郎市長は「災害時同様、必要以上に不安をあおる情報に注意しましょう」と忠告しています。
なお、博多港にクルーズ船が入港したの1月25日のことで、同日に報じられたものです。
参考:
テレ朝NEWS
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000174591.html
Yahoo!NEWS(九州朝日放送)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200125-13597336-kbcv-l40
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人間は、不安な気持ちに陥っているときほど、不安に感じてしまう情報に飛びついてしまう傾向があります。なぜなら、不安が感じられる情報ほどインパクトが強く、印象に残りやすいからです。
不安を感じやすいときこそ、客観性の高い情報を集めて、冷静な判断を下すことが重要となります。
感情に流されていると、不安をあおるような情報をみて「危険が迫っている!」と考えてしまいがちですが、冷静な視点を持っていれば、不安をあおるような情報をみても「本当か?」感じて裏をとることができるため、良い意味でうがった視点が持てます。
今年に入ってからショッキングなニュースが相次いでいますが、こんな今こそ誇張表現に振り回されることなく、客観的な視点、冷静な判断で物事を眺めることが必要です。