多様性を認め合い切磋琢磨するリーグワン選手たち

 ラグビーリーグワンは開幕からはや三ヶ月近くを経過した。フィールドで躍動する世界の超一流選手から目が離せない。というのも、彼らはわれわれリーグワンチームのユニフォームを着て、その妙技を惜しみなく発揮してくれているからだ。これぞ、日本ラグビーのレベル向上と人気定着の証しと言えよう。
 中でもデクラーク選手。プレイの美技もさることながら、衝撃的だったのはその呼ばれ方。客席では、特にご婦人たちに「デク」「デクちゃん」などと呼ばれていた。ワールドカップ優勝チームのスクラムハーフが近所の兄ちゃんのように呼ばれるなんて。ファンに愛されていることこの上ない。
 リーチ・マイケル選手は高校から札幌に留学。そのまま日本社会に溶け込み、2019年日本開催のワールドカップでは主将まで務めた。ただ、残念なことに、日本代表は生粋の日本人でなければおかしいと囁かれることがあった。リーチ選手も例外ではなかった。
 五郎丸歩選手の2015ワールドカップ戦記によれば、選手たちにもこの点、葛藤があったようだ。どう克服したのか、できたのか。ラグビー固有のプレースタイルも良い作用をもたらしたようだ。
 デクラークのような小さい選手であろうとも、大男の突進をタックルして食い止めないといけない。生身の体と体のぶつかり合い、そこには手加減は一切ない。国籍、人種、信条、身長差、、、全ての違いを振り捨てて、チームの勝利のために、一緒に肩を組み相手のスクラムを無心で押し返す。そこには人としての仲間意識以外、何一つ入り込む余地はない、と選手たちは悟ったのだ。
 今日もまた、多様な背景を持つ選手たちが戦っている姿をスタジアムに観にいこう。

令和六年三月九日



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