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「生成AIに関心のある方のためのトーク&交流会 〜活用事例編〜」に参加して考えた

生成AI時代におけるエンジニアの課題感

「生成AIに置き換えられないエンジニア」をどのように育てていくかという課題について考えたいのと、他の人が生成AIをどのように活用しているかを知ることが目的でした。

私が先頭に立ってやったこのPawsWalkの開発では、生成AIを使って開発を爆速化する事ができたのですが、一緒に開発した方が自分の想定を遥かに超えた生成AIの使い方をしてたので、私は育成と生成AIの使い方が今とてもホットな領域になっています。

この方は私が当時漠然と考えていた「単にコード量を稼ぐためのアシスト役」で生成AIを使うのではなく、自分を成長させるツールとして活用していて、それによる成長は本当に目を見張るものがありましたし今もどんどん成長しています。まさに「士別れて三日なれば刮目して相待すべし」です。

ただ、その様子を観察してみて、「全員がそうはなれんやろ」とも思うし、年長者として可能な限りそうなれる若手を増やしたいとも思ってます。今、そうなるための言語化にもがいているところです。

参加してみて

勉強会には、相談会のような時間が設けられており、質問をさせていただく機会がありました。その中で、1on1支援のSaaSが既に存在することを知り、オンラインコミュニケーションの改善に役立つ可能性を感じました。これ、後述する「ケア」できる組織になるために重要だと思うので、どんどん取り入れていきたいと思います。

また、子供用家具のECサイトにおけるChatGPTの活用事例についても話がありました。具体的には、ChatGPTによって業務の一部を効率化した点と、さらに今後どのように活かしていくべきかという点に触れ、私は「ベロシティ」と「アジリティ」の違いについて深く考えさせられました。

これは、最近聴いている「ザッソウラジオ」で学んだ「ケア(Care)」と「キュア(Cure)」、そして「ベロシティ」と「アジリティ」といった概念に基づいています。

ベロシティとアジリティの再考

生成AIはコードの自動生成やプロトタイピングを迅速に行うことで、生産速度(ベロシティ)を向上させるには非常に効果的です。しかし、生成AIを活用する時に「コード量」や「外形品質を満たしているだけ」のようなベロシティ的な項目だけを目的にすると、簡単に生成AIに置換されるエンジニアになってしまうはずです。

アジリティを高めるためのアプローチ

今、重要だと考えているのは、「アジリティ」(変化に柔軟に対応し、その瞬間に必要な価値を迅速に提供する能力)を高める方向性で生成AIを活用する意識を常に持つことです。

これ、例えばスポーツで考えた時にマラソンとサッカーの違いのように自分は捉えています。マラソンはスポーツとしては価値がありますが、移動手段として見たときには機械による代替で遥かに早く現地に到達することが可能なのはわかっていただけると思います。一方、サッカーではベロシティで測りにくい要素があり、100mやマラソンで速い選手を集めても強いチームにはなりません。常に周囲を注意深く観察でき、最敵手を打てるための様々な能力が備わっていて、ベストタイミングで行動できるというのがアジリティが高いという事と捉えています。

生成AIは現状は基本的にベロシティを高めるためのツールですが、その使い方次第ではアジリティを育むことも可能です。生成AIが出力するコードをそのまま利用するのではなく、深く理解し、自分の仮説を試して改良していくことで、アジリティを身につけることができます。

ケアとキュアの視点を持つ重要性

また、「ケア」と「キュア」という視点も非常に重要です。ベロシティを重視する姿勢では、表面的な問題解決に集中しがちで、問題が発生した際にその都度修正する「キュア」のアプローチに頼りがちです。

しかし、これからはシステム全体を俯瞰し、長期的に変化に適応しやすい設計を常に考え続ける「ケア」の姿勢が求められます。生成AIを用いて効率的にコードを生成できるからこそ、そのコードがどのように維持され、進化していくべきかを考える必要があります。このような視点を持つことで、システム全体の健全性を維持し、将来の変化にも柔軟に対応できる基盤を築くことが可能です。

以上のように「アジリティ」と「ケア」の観点をもって学ぶことが、生成AIにリプレースされないエンジニアを育てる時に大事なのではないかと今考えています。

エフェクチュエーションのアプローチを活用した学び

先日、私が司会を担当したアクティブブックダイアローグで取り上げた本が、エフェクチュエーションに関するものでした。このアプローチはそういったリプレースされないエンジニアの学びにも役立つと感じました。

例えば、「手中の鳥の原則」では、今手元にあるリソースを最大限に活用して新しい学びを得ることが強調されていますし、「クレイジーキルトの原則」では、他のエンジニアや生成AIと協力して、新たな価値を共に創り出す姿勢が求められています。「アジリティ」と「ケア」の観点に更に「エフェクチュエーション」を加えることで不確実な中でも自己成長できるエンジニアを育てることができそうです。

生成AIを知的パートナーとする重要性

生成AIは確かに多くのプロセスを加速し、生産性(ベロシティ)を向上させる優れたツールです。しかし、本当に重要なのは、生成AIを活用して「アジリティ」をどう育むかです。そのためには、基礎を繰り返し学び、深め、共通するパターンを見つけ出し、自分の中で知識を整理し応用していくプロセスが必要です。このプロセスを通じて生成AIと共に成長することが、今後のエンジニアにとって非常に重要だと考えています。

学びを深めるための振り返りと言語化の重要性

学びの過程では、基礎をしっかりと築くことが欠かせません。そのためには、多くの経験を積むことが求められます。最初から何が重要であるかを理解することは難しく、試行錯誤を通じてその本質を発見する必要があります。この「試す」経験を重ねることで、次第にパターンが見えてきて、それが「質」へと転換されていきます。

生成AIが提供するアウトプットや提案を活用する際も、それをそのまま使うのではなく、自分で手を動かし、検証し、改良し、自分のものとして昇華させる必要があります。このプロセスこそが、アジリティを高め、より強いエンジニアに成長するための道だと感じています。

協力と共創によるアジリティの強化

さらに、生成AIを使って学びを深めるには、単に量をこなすだけでなく、周囲との協力や共創も非常に大切です。「クレイジーキルトの原則」にあるように、他のエンジニアと協力して価値を共に創り出すことで、自分一人では気づけなかった新たな視点や学びが得られます。

生成AIを活用して迅速にプロトタイプを作成し、それをチームメンバーと共有して議論することで、新しいアイデアが生まれることもあります。こうした協力と共創のプロセスが、個人のアジリティをさらに強化し、より柔軟で創造的なエンジニアリングを実現する助けとなります。

なんか見えてきた気がする

最終的に、生成AIの時代において本当に重要なのは、生成AIを単なるツールとして見るのではなく、知的なパートナーとして活用することです。生成AIを用いて得た結果を深く理解し、量をこなすことで質に転換していく。このプロセスを通じて、私たちは効率の向上にとどまらず、変化に対応できるエンジニアリングの姿勢を築いていけるんじゃないでしょうか。

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/pdf/n161000c.pdf

生成AIと共に成長し続ける(コンヴィヴィアルな関係になる)ことで、私たちはより大きな価値を生み出し続けることができると信じています。


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松浦 春選
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