ボケジャコ日記
僕は千葉木更津で小さな居酒屋をやっている
増税から客足は減りそこにきてコロナという未だ勝手無い打撃に更に客足は遠のき店の他にも収入になるべき宅配便などをやっていたある日姉の和美から電話がかかってきた
「お前今なにしてるの?」
「何って配達仕事してるけど」
「店は?」
「休み休みだなコロナでどうにもならん」
「いいバイトあるけどする?」
「金になるならやるよ」で上島さんに電話するよう言われすぐに電話をした。
この上島さんとは姉の幼馴染でおれも子供の頃から知ってる人である
「あっマー君?和美から聞いた?」
「お久しぶりですカズ姉さんバイトって?」
「ああやってくれる?」
「どんな感じの?」
「海に入って小さいエビみたいなの取るんだよ」
なにそれ面白そうじゃない話に食いつくおれ
「ええなにそれやるやる」
「初めての人でも大体15000円ぐらい取るよ慣れてくると2万から3万になるよ」
「めっちゃいいじゃんやるやる」
とどんな仕事内容かも聞かずに海でエビみたいなの取って3万でこのバイトを決めた。
用意するものは胴長靴という胸まで防水になるオーバーオールみたいなのと肩口まである防水の手袋である。
「あと今の時期だと夜だから頭につけるライトね」
「夜入るって船とかじゃ無いんだ」
「船まで乗らないよ歩いていくから」
「…へぇ〜」
「とりあえずうちの子供達と一緒に行ってみて」
「ああ子供達もやってるんだ」
「うん私もなんでこんな事になったかわからないけど叔父さんがずっとやっててね最近やるようになったんだよだからみんな初心者だから」
「なるほどね…これ密漁とかじゃないよね?」
「うん大丈夫だよ叔父さんが大丈夫って言ってたし」
この時嫌な予感がしたのを今でも覚えてる
この叔父さんがとてつもなく曲者であったのだがそれは終盤に出てくる
「そんで何なのこのエビみたいなのって?」
「うーんエビというかジャコ?」
「ジャコ?」
「そう私もよく知らないんだけどね関西ではボケジャコって言うやつみたい」
「聞いた事ないなボケジャコねぇ」
そうこうしてオレは未知の世界ボケジャコ漁のバイトをやることになった。ボケジャコとは関西地方では有名なチヌ餌でああチヌとは黒鯛の事で普通のエサより高価だがヒット商品である事そしてもう関西ではあまり取れなくなって関東の方で取った餌を関西の問屋が買う仕組みになっておりいずれ関東からもいなくなるだろうな釣り餌である事を知った。ボケともバケとも呼ばれてるそうだ
とにかくオレは期待と不安を胸に漁に出る事になった。
続く