デ・ブライネのキックの秘訣を探求する【Online seminar】
サニトレサロンにてキックの徹底解説をしていく第一弾として東大ア式蹴球部の田所フィジカルコーチをお招きし、デ・ブライネのキックの秘訣を徹底探求します。
ご興味のある方々の参加をお待ちしております。
テーマ:デ・ブライネのキックの秘訣を探求する
日時:6月12日 20:00〜21:30
料金:1000円(note購入)
ゲスト:東大ア式蹴球部フィジカルコーチ 田所剛之
効率的な運動制御とは。デ・ブライネのキック徹底解剖。を基にキックの原理原則、そのトレーニング方法について私と田所で徹底議論します。
主催:サニトレサロン
右足一振りで試合を決めるデ・ブライネ。(この試合は負けちゃったけど)
今季はプレミアリーグで29試合10ゴール16アシストを記録しており、アシストランキングでは2位のT.A.アーノルドとは4つの差を付けて首位を独走しています。
彼のこの好成績を支えているのはキックの上手さであると言っても納得していただけると思います。
今回はそんな彼のキックについて考えていきたいと思います。
キックとは
まず、前提としてキックとは何かについて改めて考えてみましょう。
そんなものボールを蹴ること以外にないだろという声が聞こえてきそうですが、敢えて違った見方をしてみます。
僕は、キック=足とボールの衝突と考えています。そう言われてみれば受け入れられないということはないと思います。
なぜこのように考えるかというと、物体の衝突後の運動を決めるのは衝突の瞬間の物体の位置関係と速度であるという事実を強調するためです。これをキックに置き換えると、蹴られたボールの軌道はボールにインパクトする瞬間の足のスピード、足を当てる角度によってのみ決まると言うことができます。
極端に言ってしまえば、ボールにインパクトする瞬間の蹴り足の動きが適切であればそれまでの過程はどうでも良いということになります。よって、キックのフォームに正解はありません。
ただ、世界のトップの選手のキックを見ているとある程度共通している部分があり、それが適切なキックのフォームはどのようなものかという問いに対する一つの解答であると考えることができるので、ここでは僕が考えるその答えを提示してみたいと思います。
キックの種類と運動制御について
(少し難しくなってしまったので最後の段落だけ読んでもらうのでも大丈夫です)
キックについて語られる時、インサイドキック、アウトサイドキック、インステップキック・・・などとインパクトの部位によって分類されることが多いと思います。
分類すること自体は特に問題ないのですが、運動制御の観点から考えるとそれぞれを別個の技術として捉えてしまうのはあまり良くないかもしれません。
人の運動制御は、まず運動の意図を定め、その意図を実現するように身体の各部位が半ば自動的に(無意識的に)動いて実際の運動が遂行されるといった形を取ります。(意図 -行動モデルと呼ばれます)
これをキックで考えると、この軌道でボールを蹴ろうという意図の下、身体が自動的に制御されてキック動作が遂行されるということになります。試合中の例で言うと、近くの味方にパスをする際に、この距離だったらインサイドキックでこうやって蹴ろうとなどとは考えず、そこにパスをすることしか考えていないはずです。もしも、自分のキックの蹴り方に過剰に意識を向けた場合は自動的な制御が阻害され、パフォーマンスが下がる可能性が考えられます。(インターナルフォーカスで説明可能です)
さらに自動的な運動制御について考えてみましょう。
もしも、インサイドキック、アウトサイドキック、インステップキックの運動制御のシステムがすべて完全に異なるものだとしたらどうなるでしょうか。
この場合、意図した軌道にボールを乗せるためにどのキックを用いるかという判断が1段階増えることになってしまいます。この判断を意識的、無意識的どちらで行うとしても運動制御の効率は落ちてしまうと考えられます。
一方で、それぞれのキックの運動制御の様式が同様であった場合、自動的な制御は急激に容易になるはずです。
以上より、良いキックを実現するためにはボールをある軌道に乗せるという意図のみによって引き出されるような運動制御の仕組みが要請されると言えます。
少し話が複雑になってしまったので簡単にまとめると、試合中はここに蹴ろうということしか考えられないから、ここに蹴ろうという意図だけで勝手に適切なキックが選択される運動制御のシステムが必要で、そのためにはいろんな種類のキックを似たように制御できた方が良いということです。
キックの要素
ここからはキック動作の制御について具体的に考えていきます。
ここでは、キック動作のポイントを
・蹴り脚の振り方
・軸足の置き方
・蹴り足の角度
の3つとしてそれぞれ考えていきたいと思います。
ここからはデ・ブライネのプレーをベースに考えていきます。
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