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意思決定は錯覚である。フットボールの意思決定論。


刻々と変化するフィールドにおいて、私たちの意思決定(decision making)プロセスは極めて環境依存的である。

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フットボールの意思決定は自由とされるが果たしてほんとに自由なのだろうか。認知、判断、実行フェイズのいつ意思決定しているのか。意識的なのか、無意識的なのか。フットボールにおける意思決定プロセスについて紐解いていきたい。


自分の意思で決意してプレーしていると感じるのは錯覚である。

すべてのプレーの始発点は無意識であり、意識化も脳内の無意識的プロセスの一つである。これは現代の神経学では支持を得ている論説である。人間の意識のプロセスは一定の見解は得られていないが、科学的根拠を基にトレーニング指導を行っていくべきである。本稿ではこれらの意識・無意識の関係性について基礎研究をベースに紹介する。

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意思決定は意識的なのか、無意識的なのか

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認知プロセスは世に広まりつつあるが、表面的なものが多い。それは専門家の知見があまりにも少ないためであると感じている。欧州の監督が他分野の専門家を必要としているのは、専門的な知見をリアルタイムで収集する必要性を感じているからではないかと考える。

私たちがプレーする際の意思決定は意識的なのか、無意識的なのか。フットボールのトレーニングは意識的に状況を判断し、実行するものが多いが、科学的根拠はあるのか、ないのか。

意思決定は無意識かつ自動的にされるプロセスと、思考を用いて意識的にコントロールされるプロセスがある。

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無意識かつ自動化プロセス
思考による意識的プロセス

私たちが意思決定する際には2つのシステムが混在している。前者は自動的に高速で働き、自分自身がコントロールしている意識はないものを指し、後者は思考を循環させながら意識を集中させながら結論を導いていくシステムを指している。

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意思決定は意思を決める意識の働きを指しているが、簡単に言えば選択肢の中からその時々の価値を見積もり、その価値が相対的に高い方を選択する。例えば、スーパーのリンゴを選択する際は色や形、大きさなど相対的に価値の高いものを選択する。それは、美味しい・長持ちするなどのポジティブ要素と腐っている、不味そうなどのネガティブ要素を吟味して選択している。フットボールにおいての意思決定はこれほど単純ではないが、基本的に価値の高い方を選択するとされている。その価値の見積もり方法や、意思決定プロセスに関わる要素を解説していく。

現代のフットボールシーンにおいて最も価値の高い選手は常にフィールドでも注目を浴びる。これこそ、価値の見積もりを無意識的にしているシーンなのかもしれない。

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意思決定の研究において非常に有名な研究で、被験者に2枚の異性の写真をみせ、どちらの写真が魅力的か判断させる課題を提示した。

ほとんどの被験者は、最終的な判断をする前に結果的に選択する写真を見ていることがその眼球運動から示された。要するに、判断の約0.5秒前にはどちらを選択するか決断していたわけである。しかし、被験者は自己の眼球運動の移動については意識していない。彼らはこの結果から、意思決定は無意識的な決定が先で、意識的な判断はその結果を受けているに過ぎないことを示唆した。

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