モノローグエッセイ「お友だちはできましたか?」
道を歩いていたら、前を歩くパパさんと小さな娘さんの会話が聴こえてきて、パパさんが
「お友だちはできた?」
と小さな娘さんに質問していた。
「お友だちはできた?」なんて、ここ数十年聞かれることもほとんどない質問だったので、妙に粒だって私の耳には入ってきた。同時に、同じ質問をされた時に私は嘘を答えた記憶が蘇ってきた。
中高から都内の女子校に通うことになった私。
中学2年の下校途中に、ばったり小学校1年生の時の担任の先生に再会したことがあった。その先生は途中で違う小学校へ異動されていたので、本当に久しぶりの再会だった。お久しぶりです、お元気でしたか?、制服かわいいね、と言った会話をする中で、
その先生から
「新しいお友だちはできましたか?」
と聴かれた。
うっ、となりながら、「はい」と嘘をついた。
「中学1年の時に仲良くなった友だちと色々あって手のひら返されてハブにされて今は絶賛保健室登校不良生徒です✌️」なんて、とても言えなかった。
その瞬間を今でも鮮明に覚えている。
思春期の少女は色んなものにぶち当たりながらもしたたかに生きてゆく術を身につけ、今に至る。
「お友だちはできましたか?」
おかげさまで、今この質問をされたら、「はい」と嘘をつかずに答えられる。
あとがき
それに加えて、「一人でいる幸福も見つけられた」という新たな回答も持つことが出来たことは、思春期の私には伝えたい。