今週は「期待」でよろしく
他人に期待をしなければ、人間関係はうんと楽になると色々なところで聞く。しかし、それは簡単にできることではない。
細かい部分で、たくさん期待しているように思う。
例えば、相手から話しかけてくれないだろうか、とか、望んだ通りの関係性にならないだろうか、とか。思っていたものと違う結果になった時、初めて自分が期待していたことに気づく。自分が行動しているうちは、そこに期待が伴っているとは思わない。そして、何か別の理由をつけて行動していることが多いだろう。そういったことはよくある。
『嫌われる勇気』という本がある。一時話題になったので、知っている人も多いだろう。この本ではアドラーの心理学をもとに、青年と哲学者の対話形式で話が進む。
ここに「原因論」と「目的論」という言葉が出てくる。この2つは、人の行動心理について論じている。この本にはアドラーはフロイトの原因論を否定し、新たに目的論を提唱したとある。
原因論とは、過去の出来事が現状を作っているという考え方だ。目的論はそれとは全く違い、人は何かの目的があり今の現状を作っているという考え方だ。つまり、目的と原因のどちらが先に来るか、という話である。
原因論の方がしっくり来る人が多いだろう。世の中は、原因論で物事を考え進めているからだ。私も、初めて目的論を知った時はあまりのわからなさに苛立ちを覚えた。しかし、今ではどちらの意見にも賛成である。
では、期待はしない方がいいと思っている私の「目的」には何があるだろうか。
すぐに思いついたものは「期待を裏切られた時に自分が傷つくことが嫌なのではないか?」ということだ。それまでに、期待をして失敗したことも数多くあるため、期待はしたくないのだと考えた。
だが、目的はあっても、それを達成するには至っていない。おそらく、今の現状に満足しているのだ。人は大きなメリットがなければ、変化より現状維持を好む生き物だと思う。私は今のところ、傷つく可能性があっても現状に満足しているのだろう。
来週は「満足」でよろしく。
23.10.03 南
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