『スカイガールズ』コミカライズの真相を知り、考えさせられた話
◆スカイガールズ
2007年7月~12月に放送されていたアニメ『スカイガールズ』(略称スカガ)を知っている人はそれほど多くないかもしれない。なにせ今から16年前のアニメだ。あと同クールの『School Days』が話題をかっさらっていたし。
現在アニメが放送中の『アリス・ギア・アイギス』のキャラクターデザインを務める島田フミカネ先生の出世作と言えるかもしれない。その翌年にアニメが放送開始された『ストライクウィッチーズ』(略称ストパン)の先輩にあたる作品とも言えるだろうか。
「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」というものすごく声に出し辛い日本語を筆頭としたストパンと比べると、本作は地味な印象は否めなくはないし、そこまで長くメディア展開はされなかった。ぼくも当時全話見たわけじゃないし、全然多くを語れないのだが、MELLのOP『Virgin's high!』は今でも聴くくらい好きだ。
と思ったら、2020年にパチで新機種が出たらしい。もはやパチンコから知った人が多いような気がするが、そういうのは本作に限らないしなあ。
◆特級呪物の漫画版
本題。
今は無き月刊マガジンZという雑誌でコミカライズが連載されていた。
特撮系やゲームのコミカライズが多く、現在は月刊少年マガジンにて連載中の『仮面ライダーSPIRITS』の原点とも言える雑誌でもある。
そんなスカイガールズのコミカライズは、まあ…特級呪物だよなあ…
画像を一度ネットで見かけた人はいるかもしれないし、いないかもしれないので、みなさまのために念のためはいじゃあ
うん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
うん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
当時の反応はこんな感じ。
それはもう非難轟轟だったし、『フカイガールズ』という蔑称が与えられていたのは今でも無駄に鮮明に記憶に残っている。いくらなんでもあんまりな蔑称だろとは思うが、こういうのを従来のファンに向けるのは決して喜ばしいものじゃないからな…
つーか、有名なカラーページがよく語られているけど、本編のモノクロページも久々に見たら作画がヤシガニっててびっくりした。担当編集これでGOサイン送ったの?マジで??
◆13年後の真実
ああああ~~~~~~~~~~~ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!
なんというかこちらが本当に申し訳ないですはい当時は若く鬼の如くブッ叩いて申し訳ございませんでしたはい。はい………
この記事は2020年末頃にアップされたようで、2年数ヶ月遅れて知ったことになるのだが、某所にてこの記事を見つけて16年越しの伏線回収を味わった気分になっていた。
というわけで、クッソ今更感があるけど今回雑感。
こういう失敗談?は必ずしも知れるわけではないし、真相は作者や編集部のみぞ知るままで終わるケースもあるのだが、こうした暴露話を聞くと………同情せざるを得ないなあ。
要約すると、このコミカライズを担当していた大関詠嗣氏は当時なかなか連載が取れず、美少女キャラが描けないと自覚していたのに、どういうわけかコミカライズのプレゼンが通ってしまったという話だ。
2年前、ジャンプで打ち切られたしまぶーの『BUILD KING』を彷彿とさせられるな。あれもしまぶー自身が面白さの自信がないまま連載が通ってしまったことを単行本で語っていたからだ。当時(2020年)のジャンプはアレな出来事があったので、その余波として急遽連載枠が必要となったのかもしれないが。
大関氏は最初は断ろうとするも止められず、美少女キャラではなく整備士をメインに出そうとするも編集長にボツにされる。後者はスカイガールズの需要を考えればわからなくはない話だ。
じゃあ編集部はなんでこの作者に任せたの??と疑問でしかない。当時のマガジンZ編集部は作品のニーズに沿った作者を起用できなかったとか、そのへん深い闇事情でもあったのだろうか?2年後には休刊したしなあ。
今まで打ち切りだと勘違いしていたのだが、正しくは短期連載だと判明した。短期連載とは経験を積むのに丁度良い機会でもある。
けれどもこれは、無理難題を押し付けられた作家の使い捨てに見えちまうなあ…もっと言うなら粗製濫造だよ。ひとつ企画を通してダメだったら終わり。ファンや作者にとって一体なんのためになるというのだろうか?
つーか、「編集部からもお叱りの声が多数」ってなんだそりゃ?
アニメサイドから怒られたならまだ分かる。ブランドに傷をつけてしまうようなものだからだ。大関氏に非がないわけではないのだが(なんかこんな書き方はエラソーだな)、これにGOサインを送った編集部にも責任はあるのではないだろうか?当時がどうだったか知る由もないのだが、ぼくには放任しているように見えてしまうのだが。
もう16年前と大昔の出来事にグダグダ言うのは骸に語り掛けるも同然だし、今は存在しない雑誌の編集部を愚弄するのも大変しょうもない話だと自覚している。
が、こういうWin-Winにならない話は反面教師として知られるべきである。まず風化すべきではないだろう。
◆その後
でもでもですねえ、単行本の表紙はちゃんとしてて良いんですよ!
当時本屋でこの単行本を見かけたときは思わずたまげたわけですよ!
単行本から手に取った人からすれば表紙詐欺だろうけどさあ!
それは、初期はヘタクソだったけど終盤は神作画な漫画の完全版のようなものと見れば良いと思うの。
大関氏は現在も漫画家を続けているようだ。
なんだかんだで筆を折らずに10年以上漫画家活動を続けているのは立派だと思います。今最強ジャンプで遊戯王ゴーラッシュ描いているすぎたんもだけど、続けることって大切だよね。
で、読ませていただきました。
サムネだけ見ると女性キャラの顔は正直すげえ微妙だな…と思ったけど、いざ読んでみたらアクションシーンは迫力あるし、読みやすいし(視線誘導ができている)、特に1話の見開きのケツの描き込みが良かったし、ちゃんと読める作品になっている。女性キャラの顔だけはホントイマイチだけれど、微妙なりに頑張って描き込もうという意思は伝わってきたんですよマジのガチで。
◆余談
ここから余談だが、連載ネームを練っている中で雑誌が廃刊してしまったのも悲痛な話である。ボンボンの『ロボ・ラボ』って企画の絵、スゲー良いじゃないっすか!そりゃあ結果順位2位も納得っすよ!
スカガが放送されていた2007年、月刊少年ファングやコミックボンボンが廃刊されたのは今でも鮮明に記憶に残っている。なつかしいなあ。まず月刊少年ファングだなんて知っている人全然いないと思うが。むしろ知っている人を探す方がむつかしいのだが。知っている人います~?
ぼくだよ!!!!!!!!!!
月刊少年ファングは創刊号表紙の謎ポエムが最高に厄いのだが、後に完全版も出た『少女奇談まこら』は名作だからみんなも読もう。
もうひとつ、大関氏の話(20話)で印象的だったのは、担当編集からの「ハガレンやりましょう、ハガレン!」というお言葉だった。
そういうこと言っちゃう人マジでいるんだなあ…
別にヒット作のパッチワークをやるなとは言わない。影響を受けた作品を自作から読み取れることは「この作者は〇〇が好きなんだな!」と親近感が湧いてくるし、作家の色・人となりが知れるので、ぼくは全然余裕で許容している。つーかリスペクトマジ大事。
でも「ハガレンやりましょう、ハガレン!」って言い方はただ便乗したいようにしか見えないなあ…
その話から、サンデー編集部が「ワンピースを描いてください」と要求していた、マジなのかネタなのか分からん逸話があったのを久々に思い出してしまった。たぶんその担当編集は漫画への情熱はないTDN原稿受取係だろうから左遷させられればいいと思います。
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