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団体のお客様

北海道内外からの観光ツアー以外に、企業のプチ旅行だったりバス会社の地元の方たちの懇親会だったり、いろんなツアーがありました。そんな会社の旅行でもガイドが同乗してたまだ景気のいい頃の話しです。そしていろいろと自由でした。

新人さん?

私が仕事を始めた時の「お姉さん」について勉強してた時。いつものように私はステップに立ってお姉さんの案内を聴いてました。詳細は忘れてしまったけど、年齢層も幅広く皆さんが仲の良い会社の旅行でのこと。

バスは温泉街へ向かっている道中、車内ではお姉さんのいつもの楽しい会話が。
「~この運転手さんは年季入って見えると思いますが、実はまだ新人さんなんです!ピチピチなんですよー」
っと相変わらず運転手さんをいじるお姉さん。お客さん、わははー!っとひと笑い。

団体様は個々の観光ツアーのお客様と違って車内が盛り上がりやすいです。
そのお姉さんの話を聞いた若いお客様が何か言いました。車内が盛り上がってて声がよく聞き取れなかったお姉さんは前の方に座ってた別の方に聞きました。

「ごめんなさい、あの人の声が聞き取れなくて。今なんて…あらやだ、この人も新人さん??」

??思わず振り返って見てみるとどう見ても年配の方。そしてちょっと怖い感じの…やすききよしのやすしみたいな感じの方です。お、お姉さんそんな事言って大丈夫なの…??って思いましたが車内は爆笑です。
そして続けて「あら、この人タイプだわぁ!」
さらに大爆笑の車内。新人といじられた方は渋く苦笑いしてる。

たぶん、いえ間違いなく社内では偉い方の人なんでしょう。そんな方がいじられている…。
でもそれを聞いた同じ会社の方が笑っているってことは、本当に皆さんが仲が良い会社なんだろうなぁって。
完全にお酒飲んでるような盛り上がりで車内はわいわいと楽しそう。(お客様だけじゃなくお姉さんも飲んでるの?ってくらい。笑)

これは真似できない…お姉さんじゃないと出来ない接客だと思いました。
団体様のツアーの時は真面目な案内ももちろんしますが、こういった砕けた話も車内での空気を盛り上げるために必須でした。
(ちなみに今思うと本当にお姉さんのタイプの方だったな、と思います)


<早春の富良野より十勝岳連峰>

おねえちゃん

道北(稚内方面)へとバスを走らせている途中、案内をしているとその都度返事をしてくれるお兄さんがいました。当時の私と同じくらいの年齢…という記憶があるので20代前半くらいかな。

一方的に話し続けるよりは反応が返ってくると嬉しいんですが、そのお兄さんはどうも違う。
質問というかひたすら私に話しかける。ずっと。
「それうちの地元だと○○なんだよ!」とか
「ガイドさんは△△なの?」とか。
地元の事を教えてもらったりしてはその方とだけ話してるわけにいかないので、他のお客様に「そうなんですかー??」って話を振ってみたり。
嬉しいけどなんだろなーと思いながら話してると

「次のトイレはどこ?(ソワソワ)」

ああ、トイレ我慢してたんですね(笑)気を紛らわすためにたくさん話してたのかな(笑)
そうこうしているうちにトイレ休憩の場所に到着。
降車時にお兄さんと仲の良いグループの人たちが言いました。

「ガイドさんあいつのおねえちゃんにそっくりなんだよ。よく似てる」

ああ、そうなんですかー!笑
突っかかっているわけではなく慕ってもらっていたんですね、それなら…と安心した次第。
トイレから戻り全員が揃ったところで出発。
すぐマイクで全員に報告です。
「私がこの方のおねえさんにソックリなんだそうですー」
そうすると車内の他の皆さんからあたたかい微笑みをいただきました。
その様子から、多分普段から弟キャラ的にみんなに見守られている方なんだろうなあ、って感じ。

一人一人と距離が近くなりやすいのは団体さまならでは、です。
(そういえば昔から「知り合いに似てる」とよく言われるタイプです。平均的な日本人顔なんです)


<小樽 手宮公園より>

なんか面白く話してくれよ!

この日は地元の漁師さんの団体さま。
言葉はキツイけど陽気でサバサバしててがははっ!と豪快に笑う人が多い。男も女も。
そして気さくな方が多いので話しやすいんですが当時私はまだ新人で緊張しながらマイクを握っていました。

朝お客様と合流してさあ出発!案内を…とマイクを持って立つと
正面に見える後部座席の中央にでっかいまな板と思しきものが見える。
「???」っと思っていたらなんとそこで魚を捌き出した。えええ。

朝獲ってきたばかりなんだろうなぁ。新鮮でいいなぁ…じゃなく
運転手さんにこそっと報告したらちょうどミラーで確認したところらしく
運転手さんも渋い顔してる。が、「まぁ仕方ないな…」
これは今日は降車後の掃除が大変そうだ。と覚悟を決めて案内を開始。
もちろんすぐお酒も振舞われてみんなご機嫌です。
こちらは新人なので一生懸命案内をしていたその時、一番後ろに座って魚を捌いたりしていたおじさまが言いました。

「ガイドさんよ!真面目な話しばっかでもつまんねえ!次に(車窓に)見えるもの、なんか面白く話してくれよ!」

声が大きいので一番後ろからもよく届く(笑
え…。でも面白くって言われてもどうしたらいいんだろう、なにを言えば…!
っと焦りながら外を見た時目に入ってきたものは

「あ、お墓…」

思わずマイクでつぶやきました。
一番前にいた添乗員さん爆笑です。お腹抱えながらメガネずれてますけど大丈夫ですかってくらい。車内も爆笑です。
いや笑わせようとしたわけじゃないんです。どうしたらいいかわからなくて焦ってたんですが…
それまで真面目に話していたのでギャップ的に余計おかしかったんだと思います。
結果おじさまも皆んなも爆笑してたのでおっけーですね!(笑
そーゆうのだよ!それでいいよ!!ってお墨付きをもらい、団体さまの時の砕けた話も大事なのね、っと勉強した新人の日でした。


メロンメロンメロン(函館朝市)

一度ツアーで案内したお客様の会社の前を別の日に通りかかった時、外へ出てきて手を振ってくれた事がありました。(ちょうどバスは信号待ちで止まっていました)

バスを覚えててくれたんですね。同じバスでも乗務員が違うことはもちろんありますが、たまたま私が乗っていたのでお客様が気付いて挨拶してくれました。そのお客様のツアーの時に楽しい旅が出来たと思ってもらえたんだな、ととっても嬉しかったです。


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