見出し画像

「迷いましたか?」 レビュー三冊

人生に迷ってしまった時、何を探していたのか分からなくなった時、もしアドバイスやお告げがもらえたら……

リンク三冊は全て短編集で各本、各話の主人公達はそれぞれ悩みを抱えてます。その悩みに対して『鎌倉うずまき案内所』ではアンモナイト所長が、『お探し物は図書室まで』では司書のさゆりさんが、『猫のお告げは樹の下で』ではタイトル通り猫のミクジが、それぞれアドバイスなり、本を選んでくれたり、お告げなりをくれるのです。それらは、こうすればいいよという導きや答えではありません。本人達にも意味の分からない言葉でしかなく、彼ら、彼女らが自分達の手で道を切り開いて進んだ結果、意味が分かるようになっています。
頑張った人は報われてほしい。現実には難しいけど、フィクションならそうなってもいいじゃないですか。主人公達の姿を通して自分も励まされているような、頑張ろうって思えるような、そういう心が温まる物語集でした。
この言葉、深いなって思えるセリフにも出会えます。
タイトルに入れた「迷いましたか?」は『鎌倉うずまき案内所』の迷える主人公達に最初にかけられる言葉です。

いい小説だと思うのですが、意外と読むのに時間がかかりました。フィクションの世界にいる間はいいのです。でも本を閉じて現実に戻ると、かなりもやもやする本でもあったからです。
もはや何に迷っているのか、何を探しているのかも分からなくなっている人、どんなに手を尽くしてもきっかけすらつかめない、出口のないトンネルで彷徨っている人なら、こんなにすらすら系統立って自分の状況を説明などできないのではないだろうか。まぁそうしないと小説として読みにくいので仕方ないのですけど。
人は理解されたいと思う反面、簡単に理解されてたまるかとも思うのではないだろうか。自分で自分が理解できているか怪しいのに、初めて会って、あなたには〇〇ですと言われて、素直に受け入れられるだろうか。少なくとも僕はあなたになぜ分かるのかと反発するだろうし、そもそもいきなり自分語りなどしないだろう。そんなことを思いました。
気楽に読めばいい小説にこういう感想はどうかとも思うのですが、一度本を閉じれば、もう一度開くのに気が重かったです。再読はしないかな。
あくまで僕の感想と聞いていただければと思います。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集