The Beatles 『Now and Then』
誰にでも好きな歌、大切にしている歌があり、アーティストがいると思う。
僕の場合は高校一年の時から聴いているビートルズがそう。以来40年近くともにあった。もちろん他にもいい曲はあるし、アーティストもいる。僕は主に洋楽を聴いてきたけど、多くは何年かをともに過ごしただけで色褪せていった。今でも聴かないことはないけど、人生の大半をともにしてきたのはビートルズだったと思う。
苦しい時、悲しい時、つらい時、幸せも喜びも、歌が支えとなり色どりを添える。歌に限ったことではないけど、そういうことってあると思う。僕の場合はそれがビートルズだったということ。
ジョンが亡くなって40年以上が経ち、ジョージが亡くなってからでも20年以上の月日が流れた。現在ポール81歳、リンゴ83歳。
『Now and Then』は最後のビートルズの曲という。正しくは『Free as a bird』や『Real Love』と同時期、94年にアンソロジー向けに制作していた曲。ビートルズの新曲というよりビートルズ名義の最後の曲といったところか。曲自体は海賊盤みたいなものが動画サイトに以前から上がっていたし、知られてはいた。
『Free as a bird』や『Real Love』を聴いた時、なんかジョンが気の毒になった。いかにもデモテープな声だったから。『Now and Then』は、AIの進歩ってすごいねぇ。雑音が取り除かれて、ジョンの声がクリアになってた。ただ94年当時乗り気でなく、制作を下りたジョージのギターは完成されておらず、当然ながら精彩を欠いてしまっている。『Free as a bird』のギターソロが素晴らしいだけに、ビートルズの新曲と言ってしまうとジョージが気の毒にもなる。
それでもメンバー二人を欠き、解散して半世紀以上が経つのに、まだこういう曲が出る。完成度ではない。聴いていると今の自分やこれまでのことなどいろいろ重なってきたけど、生きていれば、またいいこともある。そう思わせてくれたことは間違いない。ありがとう、と言いたい。
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