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マックにいたJKから現代のJK界の恐ろしさを知る

ある日の午後、埼玉県のマックで首をぽきぽき鳴らしながら足を組み、白いロンTを着ている男性を見たことがあるだろうか。


その男性がLサイズのポテトと一杯の水を己のテーブルに携えていたなら、それは間違いなくである。


その日の僕は完全なフリーで、ぶっちゃけ暇だった。なので午前中は試験勉強を完遂させるべくマックに三時間居座り続け、午後は記事を書くために別のマックにまた三時間滞在し無事マックで投稿まで成し遂げた。



その日一日の何割かは確実にマックで占められていたのである。


ともあれ僕はマックで水を『ズズゥォォォォォォ‼』とすすりながら作業をしていたのだが、その時僕の隣の席には二人のJKが存在していた。鎮座していたといってもいい。嘘だ、鎮まってはいなかった、超うるさかった。



僕は基本イヤホンで音楽を聴いたりしながら作業をしているのだが、その日は違った。

今のJKが普段どんな話をしているのか、何を話題にしているのか気になり始め突如として直前までつけていたイヤホンを取りJKの話に聞き入り始めた。平たく言えば盗聴である。



でも僕は輝かしき10代の時を女子なしで過ごし切った男である。残念ながら己の欲望に打ち勝つことは出来なかった。


彼女らの話は終始ツイッターに関することだった。友人がプリクラの写真を上げてたらそれをもう片方のJKにスマホを見せつけ、それとは別の友人らしきツイッターのアカウントのフォロワーが増えてるのを確認したらまたもう一人のJKに見せつける。


そんなことをしていた。


そんな感じだ。


ていうかよく見たらそれしかしてない。




もうお互いにスマホを見せ合う事しかしてない。口では色んなことをしゃべりながら、動作は一貫し続けている。うつむいてスマホをいじっている姿と、画面を相手にかざしている姿しか僕の目には見えてなかった。


いったい何をそんなに発表することがあるのか。そんなに彼女たちの友達はプリクラを取りまくっているのだろうか。別にいいではないか。

友人のフォロワーが増えたのがそんなに嫌なのか。別にいいではないか。おめでとうは言っちゃダメなのか。逆にどのくらい増えたのか純粋に気になるくらいだ。

もう初めの時点でよくわからなかったが、それでもJK達の中では確固たる理論があるらしく、二人はマシンガントークを繰り出し続けている。


私B専だから、なんであの子彼氏できないの、最近プリクラ盛ってない、可愛くなった、整形疑惑ある、部活恋愛、クズ先輩がクズ、ねえ聞いて、ねえ見て、ねえ話して、
ねえ、ねえ、ねぇ、、、、、、、、、、、、………………………。





怖い。


なんなのだその話題の数は。
もはやホラーだ。『ねえ』を聞きすぎて貞子かと思ったくらいである。よくもそんな次から次へと色んなネタが出てくるものだ。彼女たちのツイッターにはどれほどの情報量が収められているのか。もはや情報屋じゃないのか。

だとしたらとんでもない話である。その超絶的な情報収集能力はどうやって培うことができるのだろうか。今のJKの世界はそういった能力に長けていないと生き残っていけないのか。


なんてことだ。


戦場、まるで戦場だ。


JK同士の間では常に目に見えない、情報の戦争が行われているということか。


まさに兵士。


彼女たちは訓練され熟練した兵士なのだ。


しかも彼女たちは相手側から言われた『この子可愛くない?』『このツイートうざくない?』等といった意見となる言葉を絶対に否定したりしない。


全て受け入れている。


『それな!』やら『確かにぃ~~~~』と言いながら、攻撃という名のすべての意見をロクな防御もせずに受け流し、ひたすらに自分の攻撃を放ち続ける。攻撃が最大の防御だということを理解している者たちによる仁義なき戦いなのだ。

ここまでくると一周回って潔いとも言える。


彼女らの間では常に大量の情報が飛び交っている。その中にプライバシーといったものは一切ない。まさに拡散。SNSだけでは決してない。現実でもしっかりとその概念は存在しているということを彼女らは確かに証明していた。



そしてそのような驚愕の事実の中で、僕が彼女たちの話を聞いて特に印象に残った事が一つある。



それは彼女達の間にはまるで秘密はないという事である。


いや、あるにはある。あるのだ。おそらく。自分の秘密は。


彼女達にないのは他人の話を秘密にする事だ。


遮るものなど一切ないかのように右から左に前から後ろに秘密を流し続ける。


天性の言いたがりなのだ。


「え、ちょっと聞いて!絶対言わないでよ⁉私も聞いた話なんだけどこれ絶対秘密なんだから!」





え、

なんて?


いや、言ってるやないか。

君が言っちゃってる。

言っちゃってるよ。


と端から聞いてる人は普通なるだろう。ていうか僕はなった。え?ってなった。



相手に秘密を強制しておきながら、自分は思いっきり秘密をひけらかしている。言った瞬間に自分には秘密が守れていないと思いっきり白日の下に晒しているようなものだ。



その事実に気づいた瞬間僕は戦慄した。

彼女たちJKの恐るべき点は情報収集能力だけではないと。




情報拡散能力も同じくらい高かったのだ。




集める力と、

拡げる力。

二つの相反する力が同じ力をもってして一人の人間の中に渦巻いている。



これがJK。

これが女子高生という存在。



収集+拡散=JK

これが真理なのだ。



この二つは今JKの中ではうまく組み合わさってシナジーを起こしている。

確かにそこらへんでJK魔女による戦争は日常的に起きている。だがダメージを負う分、そのおかげでお互いに情報をもらっているとも言える。

デメリットがある分、メリットも大きい。そういう点を踏まえると、今のJK界は差し引きプラスになっているのではないか。そう考えることもできる。


しかし、

しかしだ。

この二つが組み合うのではなく、ぶつかってしまった時。いったい何が起こってしまうのか。それがJKならぬ僕にはわからない。だが確実に大きなことは起こる。

まさしくJKの世界のあらゆる常識を変えてしまいかねない、そんなことが。




起こる。




なんか話が逸れた。修正。

「そういえばあの子に絶対秘密にしてっていわれたんだけどぉ~~~~~~」


これは禁句だ。

彼女達の『絶対言わないでよ⁉』はまさに裏切りにして始まりの発言。この言葉が放たれた途端、全ての秘密はただの事実へと変化され、形骸化する。まさに魔術だ。魔女なのだ。

そんな魔女たちが日常的に起こす戦争にして論争。

この戦争における勝敗は、情報の収集と拡散を一手に担う彼女達からすればもはや自分の情報という名のカード、手数の量で勝負がきまると言っていい。


話題などある意味関係ない。相手がどう思っていても全然関係ない。わからなくても別に良い。


とにかく己の気になった事実や秘密を『ねえねえねえねえねえねえねえねえねえええええええ‼』と出すだけ出す。それが上回ったものが勝利する側となるのだ。

まさに殴り合いのチキンレース。防御無視の絶対戦争。お互いにダメージなど決して顧みることのない圧倒的な我慢強さを持った猛者たちの戦い。




このようなことを日頃から行っているJK。もはや男子高校生など太刀打ちなどできるはずがない。


農民が兵士に勝てないのと同じ原理。

女子が戦っている間、男子が考えていることなどセックスか荒野行動がせいぜいだろう。



そんなやつらに負ける条理などJKにはどこにもない。

このままではいずれ時代は変わる。


男尊女卑が叫ばれるこのご時世。


JK達は水面下でこのようにして力をつけている。


数年後にはこの言葉は逆になっていてもおかしくないのだ。

なら男子達はどうするべきなのか。今からこの強敵たちを相手にどう立ち向かうべきなのか。




もちろん。戦うしかない。


さあ


この世すべての男子達よ、

ゲームで戦争しても自分が強くなることなどない。

今こそJKに続き我々も戦いに参加するのだ。




まだ、


まだ間に合うかもしれない。

将来嫁の尻に敷かれる人生を送りたくないなら戦うべきだ。

荒野ではなく、現実で戦おう。




今こそ、



立ち上がる時だ。









あー疲れた。

あ、今サイゼです。

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