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#084 「メランコリック」

銭湯が好き。少なくとも月に5回くらいは行く。
お風呂が大きくて、熱くて、素っ裸で談笑しているおばちゃんとかの雰囲気も好きだし、風呂上がりに帰る夜道も、そのまま布団に滑り込んで眠れる感じも。
裸の人を見ていると、人間て色々な形をしているんだなーと思う。

でだ。そういう私の銭湯への気持ちは全く関係無く、舞台としての銭湯って凄く良いんじゃないか。と気付いた。
めちゃくちゃ身近で日常のものでもあるにも関わらず、凄く非日常的な、特別な場所に見える。水場であって、火力があって、人が裸で沢山居て、生活で、街で、歴史がある。場としてのレンジがめちゃくちゃ広い。
そして、圧倒的に画が良いんだよなー。浴室の突然の天井の高さとか、湯気とか、脱衣場の板張りとか、併設されたコインランドリーとか。昼と夜の表情の違いも最高。銭湯強い。
銭湯そのものをテーマにしたものではなくて、そこが銭湯である。という映画が好きなのだと思う。ぱっと思いついた映画だと、「やわらかい生活」「湯を沸かすほどの熱い愛」あたり。

で、本作も凄く良い銭湯舞台映画だった。
登場人物がみんな絶妙にズレていて、絶妙な嫌悪感が発生するんだけど、物語が進むに連れて、彼ら全体に対する愛着が湧いてくる。
どれだけ日常から外れた様に見えても、そこを生きる人にとってはそれは安定した日常で、みんな服脱いでお湯に浸かったらフラットだし、文字通り洗い流してまた明日って生きているだけだもの。
どんなことも起こり得るのだから、戻ってくることだって出来るよね。と思った。