069修道士は沈黙する

#069「修道士は沈黙する」

言語の持つ音のイメージって、映画のイメージの多くを占めるのでは。と思う。とは言え、せいぜい英語かフランス語、ドイツ語の映画しか観たこと無いなと。で、開催中のEU Filmdaysに、是非行きたい!
スウェーデン語やクロアチア語やスロヴェニア語を映画で浴びてみたい!
という訳で、平日の合間を縫って行ってきました。

国際会議に何故か招待される修道士。議会の理事が晩餐会の後に修道士を部屋に呼び出し、翌朝死体となって発見される。
議会のメンバーは、その夜理事が彼に何を話したのかを聞き出そうとするが、告解の内容は話すことは出来ないと修道士は語らず、エコノミスト達は疑心暗鬼になり、議会は徐々に混乱していく。

映画自体はフランス映画だったのだけれど、国際会議という舞台なので、英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語の飛び交う、多言語映画だった。
密室会話劇なので、台詞の量が膨大でとても舞台的。宗教・政治・経済観が中心なので、とても難しかった。でも、映像はコミカルな部分があって、不思議な雰囲気。
犬に付けられた名前や、壁に掛かった絵など、「あー、きっとこれに意味があるんだろうなー(分からん)」と何度も思った。
自分たち議会が、世界経済の重要な決定をしているという傲りを、多分に皮肉っていて、ギリシャの経済危機を思い出させた。映画の公開が2015年なのが、大いに頷ける。
修道士が自ら行動するっていうことは殆ど無いのだけれど、僅かに与えるものの温かさがとても良かった。

異なる文化圏の視線から別の世界を覗き込むという映画の体験が新しかった。会期中に、もう一本くらい行けたら良いなぁ。