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#072「スポットライト 世紀のスクープ」
神父の子供への性的虐待事件を追う新聞記者たちの話。事実に基づいた、ほとんどドキュメンタリーの様な内容。
実直で、過度なサスペンス的演出に頼らず、とても骨太で、めちゃくちゃ格好良い作品。
キリスト教徒における教会や神父の存在というものが、きっと私には根本的に分かっていないのだろうけれど、親からの虐待以上の裏切りなのではと想像される。
そして、これだけの少年少女の被害者が居たにもかかわらず、長年隠蔽されてきたということがどういうことかと。
身体的な虐待以上に、沢山の子供たちの精神が壊されてしまった。これは取り戻せない。本当に許されないこと。実際に、映画の中に出てくる告発者の一人は、その後大人になった後も薬物などに依存してしまい、若くして亡くなられている。
映画的なことで言えば、真実を追ってぐわーっと集中していく様な描写がとても好きなのだけれど、その中でチーム一人一人の眼差しや、心を痛めたり、思いやったりするやりとりの中で、信頼関係を感じられるところが凄く良かった。それぞれのキャラクターのバックグラウンドを説明してしまう様な野暮なところが無くて、とにかく関係性を丁寧に描いているので、誰かに感情移入するのではなくて、チームの中に居る様な立ち位置で連帯感を味わえる。
声を上げることの出来ない人の声になれることが、メディアの価値だと思う。虐待を受けてきた子供たちの弁護士にもぐっとくる。彼はじっと、日々子供たちに寄り添って、彼らを待って居たのだ。事件が告発されたからと言って、何かが解決したわけではない。沢山の被害者の気持ちを少しでも救える方法があれば。と願う。
仕事に誇りを持てるってやっぱり素敵なことだし、一人では辿り着けないところへ踏み込んで行けるのも、やはりチームだからだと思う。