*016 楽園の条件
楽園が作りたかった。
自分にとって、一緒に働く(には限らないけれど)人にとって気持ちよく力を発揮できる場所であり、十分に集中して想像して、思いついたことを臆せず試せて、ゴールに向かって没頭出来る様な場所。
それぞれ違うことをしていても、一緒の空間に居て、その姿が互いの励みになる。
それが、私にとっての楽園のイメージ。
振り返ってみると、楽園と言える様な瞬間は確かにあった。
その現場に参加した人たちが皆、限られた時間とリソースでベストを尽くし、集中力高く仕上げていく。その中に居る間は、走っているのに時間が止まっている様にも感じられた。あれは、私にとって楽園だったな。
でも、永続的に存在する楽園という場所は作れなかった。
深夜に一人で楽園に行くことは出来ても、それを他者と共有することは難しかった。私がそれを共有したいと思っていたことさえ、きっと誰も知らなかっただろうと思う。上手く伝えられなかったから。今思えば、もっと伝えてみようとすれば良かったのかも。
ずっと自力で楽園を作ろうとしてきたけれど、これからは、誰かに「倣う」ということに注力して、もっと誰かの為に働いてみたいと思っている。
目の前の人の楽園がどういうものであるかを、知りたい。どういう場であれば、その人が最大のパフォーマンスを発揮できるのかを考えたい。誰かが作ろうとする楽園の形成に、真っ直ぐ貢献したい。
あー、そうだったのか。楽園て、そうやって作られるのか。
私が楽園の一端を見た時、現場に居たあの人たちが、私が作ろうとしたものを疑わずに力を貸してくれていたのだ。
それならば、私もそうしよう。