
#028「ナイトクローラー」
絶対越えてはいけないラインを、躊躇わずに、え?なんで?というノリで越えてくる人の怖さ。でも、確かにこの世界には受け容れ難いことをする人が居るし、そういう状況もある。様々な形で、至る処に。
見よう見まねでフリーのパパラッチになった主人公が、刺激的な映像を求めて手段を選ばず、ひたすらエスカレートしていく。という見え方なのだけれど、ふと思い返すと、あれれ?この人は最初から全くぶれずにこうだったじゃないか。と、思い当たって、絶望。
自尊心が高く、人に使われるのを嫌い、自分はいつか成功すると思っているけれど、下積みを経ていないため何の仕事にも就いていない。
「勤勉で、志は高く粘り強い人間だ。成長出来る仕事を探している。」と、自分を売り込むシーンが、もう、なんとも言えない気持ち悪さ。と言うか、あるよね、こういう考え方は沢山。そこら中に。
強いフラストレーションの渦だけが、感じられる。でも、その渦が、何と言うかどうしようもなく強い負の螺旋を描いていますよ!という感じ。
仕事とか成果とか、報酬とか絡んでくると、徐々に麻痺して、踏み込んで加速していって、事故になるまで気付かない。という感じは、ちょっと分かる。
それにしても、リミッターが外れ過ぎていて、1ミリも寄り添えない。と言うか、最初からベタ踏みだし。刺激だけを求めて映像を買う、プロデューサーの「貴方って最高」感も、心底気持ち悪い。
一方で、彼の私生活の描写が静的過ぎて、もう新手の躁鬱なのかと。
オープニングの映像の恰好良さが、また嫌な感じで、最高で、最低。