#086 「ダーク・ウォーターズ」
仕事のクライアントに映画好きな女性が居て、現場終わりの帰り際に「あれ観ました?」とか、「これ良かったですよ」とか話すことがあって楽しい。
私は「スポットライト #072」が本当に大好きで、何回観たか分からない殿堂入り作品になっていて、そのことを覚えていてくれ、勧めてくれた。
お陰で久しぶりに劇場で映画を観ることが出来た。
マーク・ラファロ作品はとにかく実直で骨太。そこか最高に格好良いんだけど。けど、今回は孤立奮闘過ぎてしんどかった(実際そうなんだけど)。
本作は、テフロン工場による土壌汚染を告発し、たった一人の弁護士が巨大企業を訴えていく。
テフロンで儲けているデュポン社からは徹底的に妨害されるし、いざ公開されたデータは意図的に何十年もの膨大なものだったし、健康被害にあっている村人を1日でも早く救いたいのに、とにかく分析に時間がかかってなかなか訴訟が進められないし。
真実への道のりはいつだって果てしなく遠くて、近道はない。
所属している弁護士事務所も、なんとか応援はしてくれているけれど、訴訟に至るまでに何年も掛かっていて、もうちょっとこれ以上は。。みたいな感じ出してくる。確かに、自分の給料稼げていないし。
追い詰められて自分も倒れるし。
ずっと過酷で、誰も救われていなくて、余りに大変過ぎて、もうフィクションであってくれと思うくらいしんどい。現実って本当に苦しい。
でも、そんな現実は変えなくては。だっておかしいし。
「現実」っていうなんか硬くて重たいコンクリートブロックみたいなもので、鈍く殴られる映画。
本当のことを証明出来るのはデュポン社だけなんだけど、「自分達のせいで村の人たちを病気にしました。ごめんなさい。」ってすぐに認めたりする訳なくて(しなさいよ!)。
そういう意味で、内部リークとかってそこをショートカットできる唯一の方法なのかも。
現実ではまだ裁判が続いていて、弁護士は今もあの渦中を走っているのかと思うと気が遠くなる。でも、あー、なるほど。孤立奮闘していた彼を、この作品が援護しているんだな。異国の地でも、ここに一人目撃しましたよ。