044私の男

#044「私の男」

私は熊切監督が好きです。

で、平日仕事が終わってから、ダッシュで劇場に観に行った記憶。
かなりパンチのある設定とお話なのに、俳優のエネルギーが渦巻いていて内容が入ってこなかった。とにかく、観客も含めて二階堂ふみに喰われた。と、思った。あの瞬間のあの年齢の、あの生々しい二階堂ふみでなければならなかった。彼女の全てが映っていて、二階堂ふみのドキュメンタリーでも観た様な気がして、3日後にも観に行った気がする。でも、良く覚えていない。
2回目の感想が希薄なのは、しびれを切らして直後に手っ取り早く原作を読んでしまったから。

本当は、愛情を分類することなんて出来ないし、本当は人と人の関係に名前なんて付けられない。親子、夫婦、友達、家族。と言った時点で、全ての人が違うものを思い浮かべるし、異なった感情が取り憑く。当事者間であっても、感覚的には共有出来ていない。かも知れない。
そこを信じるのが愛かも知れないけれど、私は、愛情と信頼は比例・反比例の関係ではなくて、対極のもので、別々に持つべきものだと思っている。
いつか無くなるものが、今はそこにある。と、いうだけで。

愛情も憎悪も出所は同じで、執着したり傷つけたりが標準インストールな状態だから、出来るだけ、理想だけでも平淡であれたら。とか思うけど、甘いんだろうな。
綺麗で、何の悩みも無い様な美しい水面の底に、どれだけの沼があるのかと。