#034「ウォールフラワー」
あの時が、あの時でしかなかった様に、今は今しかないんだなー。と、桜を見る都度思うのだけれど、その感覚がより鋭く入ってくるのは歳かしら。
嫌な出来事や辛いことも、同じくらいかけがえのない、今だけのものに思えて、駄目な自分も叶わないことも、なんだかとても貴重な気がして、今ある全てを味わいたい。と思う。
車から眺める景色がどんどん過ぎて行く様に、日が傾いて影が刻々と伸びる様に、日々は流れ去ってしまう。あー、行かないで。と思う様な瞬間も、惜しげも無くじゃんじゃん。
学園ドラマをあまり観てこなかったせいか、休み時間の何気ない会話とか、気になる子を目で追って、図書館で一緒に勉強したり、友達と喧嘩したり気まずくなったり。とにかくそういう全部が愛おしい。
自分の体験と違っていたとしても、10代の世界は常にそういう空気に包まれていたし、それは大人になった今には絶対的に無いもので、でも、思い出せるものだなぁと思った。
それから、映画の中に出てくるハイスクールの、最後の授業の最後の時間をみんなでカウントダウンで迎えて、廊下で両手を挙げて、終わったー!と、達成感をあらわに盛り上がるシーンが凄く良かった。学校というところが一つの大きなチャレンジで、クラスメイトと一緒に3年間を乗り越えた。という認識なんだな。それは、日本の学校には無い感覚で、とても羨ましい光景。
海外の卒業式で、なんかよく分からない帽子を投げて、終わった後に夜通しパーティーをする文化が、理解出来た。
頑張って、乗り越えて、きちんと終える。ということの真っ直ぐで、正当な感じ。登場人物が、今そこにしか無いと思える生命力でキラキラしていた。