「『森林を活かす自治体戦略』の著者と考える 市町村森林行政のこれから」セミナー(日本林業調査会)


 日本林業調査会が主催する、この長いタイトルのセミナーに参加しました。

 2021年3月に刊行された本の著者が集まったセミナーで、冒頭で編者の柿澤先生が「参加しているみなさんほとんどが読まれたかと思いますが・・・」と言われていましたが、私は実は未読です(汗)。


 セミナー全体は90分強で登壇者が6人と欲張りコースの印象。でも、本の良さや著者の雰囲気は伝わってきました。
 特に登壇者の一人の鈴木春彦さんのコメントがとてもよくて、「それぞれの著者がどんな視点で書いているのか」をわかりやすく説明してくれて、この本読んでみたいなと思わせる内容でした。

 平成30年度(2019年度)から始まった森林環境譲与税や森林経営管理制度によって、市町村森林行政が大きく変化していると感じるのは私も同じです。
 私が前に所属していた事務所の管内には、観光と兼務している職員が2名林業担当として配置されているだけ、という市町がありました。その自治体に、確かに大きな額ではないのですが、「森林環境譲与税」として毎年まとまった額が入ってくることになったのは大変なことだと思います。行政はお金が入ってこればなんらかの形で使わなければならないですし、経営管理制度についても対応していかなければならないのに、担当職員は急には増えません。さらに専門職員でもないので担当者の苦労は絶えないと思います。

 セミナーの中でもそのあたりは何名かの著者の方が指摘されて、「自治体の人口、森林面積で政策は変わる」というのも大きく頷いていました。結論的には、このセミナー(多分この本を読んでも)の中には「答え」はなく、事例を参考にしながら「やってみるしかない」という話だったと思います。

 ただその中でも、市町村行政の方向性として、「森林の公益性の担保はしなければならない」という基軸は示されましたし、登壇者の中村幹広さんがおっしゃってた「市町村森林行政と言っても、市民自治」という言葉に集約されているのだと思いました。

  私も友人とフォレスターの議論をするときは、「地域の困りごとを聞いて回る人が森林・林業のプロであること」がフォレスターの理想像ではないかと話しています。「地域課題」は森林・林業だけではなく多岐にわたっています。そして個人的には森林・林業分野が一番の困りごとである確率はけっこう低いと思っているので、福祉や医療を中心とした地域での暮らしやすさを実現していく中で、市町村森林行政も関わってくるのかなと考えています。そこを県の専門職がヘルプする、というのが理想かなと思ったり。。(言うは易しなんですが…)
 そしてやっぱりそれは、色んな事例を勉強しつつ、実践を重ねていくしかないのかなと思いました。
  

  というわけで、本を買って事例収集にはげみます〜。買って読んだらまた書きます。

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