元気なゴリラ、金魚とチューリップ
午前4時を過ぎたが、眠れない。
正月、夜更かしや昼寝をしていたせいで、体内時計が狂ってしまった。
恐らくこの苦しい気持ちは、自律神経が乱れているのと、長い夜のせいで生まれているのだろう。
大きく深呼吸して、水を飲む。
無理矢理目をつむり、次に目を開けると7時28分だった。
案の定、起きたら気持ちがスッキリしていた。
シャワーを浴びて、支度をし外へ出ると、
マンションの5階から大きな朝が広がっていた。
踊り場から見える室外機や電線を眺めて、少し明るい気持ちになる。
昔からつらいことは沢山あったけれど、
いつも何とかなってきたし、今もこうして、おだやかな気持ちで生きている。
きっと未来は明るくて、色々なことが上手くいき、幸せは途切れながらも続くのだろう。
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最近、セロトニンという言葉をよく耳にする。
幸せホルモンなどとも呼ばれ、神経の安定に深く関わる脳内物質だそうだ。
日光を浴びたり、運動をしたり、バナナを食べたりすると生成されるらしい。
"生きづらさを減らしていく"
これが最近の私のテーマだ。
生きづらさを減らしていくぞ!!と意気込み、友人らと海へ向かった。
行きしな、車の中で憂うつな気持ちについて話をした。
「そういえば、バナナにはセロトニンが含まれているから、食べると鬱っぽい気持ちが少なくなるらしいよ」
友人に話しかける。
「あぁ、だからゴリラってみんな元気なのか」
彼は真顔で言った。
私は、こいつとこれからもずっと仲良くしていたいなと思った。
車は、着々と海へ近づいていた。
ふと窓の外に目をやると、田んぼと田舎道に太陽が反射して、キラキラ、キラキラとうるさいくらいに輝いていた。
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昔、先輩から言われた言葉を、最近よく思い出す。
「例えば金魚とチューリップは同じところにいたらどちらかが息が出来なくなっちゃうし、どんなに惹かれあっていても難しいこともあるんだと思う」
分かっているのに、どうしても、
どうしても…。
私は仄暗い水の中から、チューリップが咲くあたたかく美しい地上へ這い出て、息をする方法を探してしまうのだ。
しかし、今はあまり深く考えずに生きていようと思う。
また夜になったら、少し苦しくなって、そのことについて考えてしまうかもしれないけれど…。
明日も早起きをして、運動をしよう。
毎日少しずつできることを増やして、生きづらさを減らして。
休みの日には、出来るだけたくさんの楽しい思い出を作ろう。
そして、バナナを食べよう。
ゴリラたちのように、元気に生きていくために。