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一期一会の旅 1368段のこんぴらさん参り


#わたしの旅行記

羽田空港を飛び立ち、わずか1時間20分で香川県の高松空港に到着。
今まで1度も足を踏み入れたことがなかった四国への母娘旅の始まりだ。

「一生に一度はこんぴらさん」と言われているという金刀比羅宮へ参拝するために早朝便で来た私達は、先ず腹ごしらえをするために参道入り口からすぐの「宗家 金毘羅饂飩 狸屋」で本場の讃岐うどんを堪能した。

シンプルに生醤油うどんが最高!

いよいよ1368段先の奥社目指して意気揚々と出発!


ひとしきり登った365段のところにある大門では、宮内での商いを特別に許されている「五人百姓」いう飴売りのおばさんがいる。
前を通ると小さく割った飴をくれた。昔食べたべっこう飴を思い出す。かすかに柚子のような爽やかな風味がついていて美味しい。
おばさんと帰りにお土産の飴を買う約束をして、もらった飴で糖分補給しながらまた1段1段踏みしめて進む。

時よりそよ吹く風が気持ちよくて、またどこか神聖な空気を感じながら不思議と心身が高揚してくるのを感じる。

後ろから来た人に抜かされたり、追いついたりしながら上へ登っていくにつれて、見ず知らずの参拝者の人達ともどこか一体感のようなものが芽生える。
追い越す際には「頑張りましょう!」と自然に声をかけあったり、参拝を終えて石段を下ってくる人からは「もう少しですよ、頑張って下さい」と励ましの言葉をかけてもらったりするので、ハアハアと息を上げながらも笑顔で進むことができた。

私達と同じくらいのペースで進んでいた中年のご夫婦は、途中から奥様の荷物を全部ご主人が持ってあげて、辛そうな奥様を終始労いながら登っている姿が印象的だった。

木々に囲まれ、静けさと厳かさの中を鳥のさえずりに耳を澄ましながら無心で登る。

だいぶ息も上がり、「まだまだ先は長いわ〜」と意気消沈しそうなところで、なんと、なんと、資生堂パーラーの看板が見えるではないか!ちょうど500段のところにそびえ立つ
森の中のおしゃれな洋館は、カフェ・レストラン「神椿」だった。
入り口に掲げられた色鮮やかなフルーツプァフェの写真に私達は吸い込まれるように中へ入った。
案内されたテラス席では、すぐ目の前に次々と鳥たちがやって来ては歌を奏でる。
その美しい歌声と鳥たちの愛らしい様に見とれていると、お参りを忘れてこのままずっとここで休んでいたい気持ちになる。

鳥さん達との休憩タイムにホッコリ☕️


注文した甘味が疲れた体に浸透して心も体もエネルギー補給を終え充電完了。

会計時にふと店内を見渡すと、先程のご夫婦も
ビワのパフェを食べながらゆったりと休憩していた。

私達はすっかり元気を取り戻し、もうひと踏ん張りとまた登り始める。

娘は私のペースに合わせてゆっくり登ってくれる。
私の辛そうな表情を見て「休む?無理しないでいいよ。」と声をかけてくれるが、まだまだ娘のお荷物になるまいと私は必死に重い足を上げラストの急な石段「御前四段坂」を歯を食いしばって登り切り、ようやく785段の御本宮へ着いた。

本宮拝殿  

海抜251mから望む景色は圧巻で、参拝を果たせた喜びで胸が弾んだ。

やればできる!

ここでは、こんぴらさんのお守りで有名な「幸福の黄色いお守り」を多くの人が購入していた。
病気や災いから守ってくれるといわれているのだそうだ。

私達が訪れた時はこの先の奥社まで行く人の姿は僅かだった。
私達は奥社まで行くと決めていたので少し休んでからさらに約1キロ、583段の石段をまた登る。

正直なところ、私はこの時点で足がガクガクでかなりの疲労感があったが、もう二度と来る機会はないかもしれないと考えたら奥社まで行かないと絶対に後悔すると思い、自分を奮い立たせ前進あるのみ。

奥社への道は木々がうっそうとして神秘的

ひと気もほとんどなく益々静まり返った石段は、1人だったらちょっと寂しくなってくじけてしまいそうだ。

途中で下ってきた1人の女性と目が合ったので、
「まだ結構ありますか〜?」と思わず尋ねると
「あと10分位ですよ。ここまで来たのだからもう少し頑張って下さいね!」と優しく励ましてくれた。

私達のすぐ後ろからは杖を持った70代位のお爺さんが登ってきた。

お爺さんの足取りは随分としっかりしていて
私達とほとんど同じペースで登っている。

何となく不思議な目に見えないパワーを身体全体に感じながら、最後の力を振り絞りとうとう厳魂神社(いづたまじんじゃ)、俗称奥社にたどり着いた。

1368段を見事登り切った達成感と幸福感に包まれて途中で諦めなくて良かったと心底思う。

真っ赤な社殿の奥社

こちらは金刀比羅本教の教祖である厳魂彦命が祭られているのだそうだ。

岩壁に張り付く天狗面も幻想的で見入ってしまう。

天狗岩

ゆっくりとお辞儀をして手を合わせ丁寧に参拝する。
健康でいられることと、娘とお参りできたことへの感謝の気持ちでいっぱいだった。

ここ奥社でしかいただけないお守りを購入していると先程のお爺さんもやって来た。

御本宮までは奥さまと一緒に登ってきたのだが、奥様をそこに待たせて一人で登ってきたのだと私達に話してくれた。
来られなかった奥さまの分とお守りを二つ購入したお爺さんは、満足気でとても嬉しそうだった。
奥さまに見せる写真を記念に撮って欲しいと頼まれたのでもちろん喜んで撮って差し上げた。
奥さまへの愛情が話の節々に感じられるステキなお爺さんだったので、私達も温かい気持ちにさせてもらいより幸せな気持ちになった。

奥社まで来ないと手にすることが出来ない
有難いお守りを購入

カフェで休憩されていたご夫婦も少し遅れて到着していた。


奥様が私と娘の二人の写真を撮って下さると言うので遠慮なくお願いすると、
「娘さんはお母さんにそっくりね!」とケラケラ笑った。

お返しに今度は仲良しご夫婦のツーショットを娘がパチリ。
照れくさそうに歯にかむご主人とニコニコ顔の奥さま。
ご夫婦は2度目の参拝なのだそうで、また来れたことが感慨深いとしみじみ話してくれた。

奥社を参拝する人達とはまるで同士のようで、
自然と言葉を交わすことができた。
初めて会った人と写真を撮り合ったり、お喋りしたりとこんな和やかな気持ちの参拝には、
ここでしか出会えない特別なご縁を感じる。

人の温かさや愛情深い二組のご夫婦との触れ合いにとても清々しい気持ちで参拝ができたことは旅の良い思い出にもなった。
これも神様のお導きと感謝する。


「一期一会」だ。

下りは一見 楽なようだが、脚力を使うのでそれなりにきつい。
だが、登りに比べればテンポ良く進んだ。

飴売りのおばさんから飴を買うのも忘れない。
小さな小槌が付いていてとても可愛いのでお土産にちょうど良い。


その日の宿は近くの「琴三閣」という温泉旅館を予約していたのだが、これも大正解。

疲れた体には温泉はたまらないし、繁華街へ繰り出す元気は全く残ってないのでそのまま豪華な夕食がいただけるのも良い。

香川初日大満足の旅に乾杯!

地酒もいただきながら懐石料理を美味しく全部食べ終えても、やはり香川うどんは外せない。
セルフサービスでうどんが用意されていたので最後にひとすすりしてご馳走様。


空港に「うどん県へようこそ」と看板が掲げられていて旅のテンションが上がった私達だったが、お参り前に食べた狸屋のうどんもモチモチで美味しかったし、どの店も小さいサイズからリーズナブルな値段で食べられるので色々な店で食べ比べができてとても楽しい。
この旅行でも私達は5件のお店で讃岐うどんの食べ比べを楽しんだ。
普段は蕎麦派の私だが、本場の讃岐うどんにすっかりハマってしまい、今もこうして思い出すと香川県へすぐにでも飛んで行きたくなる。


食事を終えて心身ともに満たされた私達は、
その後はすぐにベッドに倒れこみ朝まで爆睡した。

翌朝は足が筋肉痛だったが、私達の旅はまだ続く。


私達は高松駅へ向かい島巡りへ。
フェリーで小豆島と直島へ渡った。
特に直島での美術館巡りが印象深く心に残っているので、この事も伝えたいし、高松市のすご〜くお気に入りの居酒屋も発掘して2夜連続で行った店の話もある。
おまけに瀬戸大橋を渡り岡山県倉敷市の美観地区も行ってきた。

楽しみが盛りだくさんの香川県旅行だったが、
先ずは「こんぴらさん参り」編でした。

羽田空港からひとっ飛びなので、思い立ったら是非!足腰が丈夫なうちに一生に一度はこんぴらさんへ!
私達世代の夫婦旅にもgood


実は今回の母娘旅は、JALの「どこかにマイル」を利用しての旅で、選ばれたのが「高松空港」だったために計画したものだった。
どこの空港か決まるまでのドキドキワクワクを味わうのも楽しかったし、初めての地での素敵な体験や出会いに沢山の感動があった。

旅っていいな^ ^






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