女子プロ依存
試合後の売店。しのせ愛梨紗さんの列に、等間隔に咲いたパンジーみたいにファンが並んでいる。次は自分の番。前のお客さんを見送って彼女はこちらを向いた。
「どうも、はるれいです」
「知ってるよー」何を今さらと肩をすくめていつもの笑顔。
似た背格好のパンジー中高年を判別するのはAIでも難しい。だから一応名乗る。認知してもらえるのは幸せだ。
はるれいさん♡
ばななこんなもんなん? ^_^
次もでる―————‼
2024.7.20 #prhot ありさ（サイン）
購入したポートレートに一言コメント＆サインを入れてもらって
ワンショット撮影して自分の番は終わり。
試合を観て、写真を撮り、選手と話して、浮わついた心持ちで帰路へ。それがまあ楽しくて、週末の度にプロレス観戦に向かうようになった。
女子プロ依存のはじまりである。
得も言われぬ充足感。試合後も載せた写真にイイネが躍る。頭は女子プロレスでいっぱい。また観たい撮りたい。週末が待ち遠しい。
選手主催のイベントにも参加。
わしの依存度はまだ軽い方。
もっと依存度MAXなファンは大勢いる。
例えば、しのせ愛梨紗推しK さん。
最初わしは愛梨紗さんが良い選手だと思えなかった（すまん）。迫力もオーラも感じられない。でもKさんは彼女に宿る光を見ていた。休業中も再デビュー後も全力応援。彼女は伸びて、今や気迫とアイドルの笑顔を兼ね備えたちあふるレスラーになった。その成長を見越していたような達観たるや。彼女とプロレスに情熱を捧げ続ける漢。依存度AAA
例えば、海乃月雫推しAさん。
わしは彼女の才覚に惹かれて、売店やクラファン協賛で応援していたのだけれど、彼の熱量はレェベルが違う。いっとき彼女が海辺に映る月のように揺らいだときも、迷わず一途に彼女想いの投稿を続けていた。勝ち負けではないんだけれど、負けたと思ったしその情動が美しかった。依存度AAA
例えばゆづき推しTさん。
彼のゆづきさんへの係わりは「推し」という括りでは収まらない。noteで彼女自身の機微と自分の想いを滑らかに綴る。その描写力はゆづきさん本人に ”ゆづき考察系プオタ” と称される程。ゆづきさんの感情を自分に重ね合わせて喜んだり落ち込んだりする姿が羨ましくもある。依存度AAA
この３名に共通しているのは、選手とプロレスを心から愛しているところ。一方的な鬼推しではなく、選手からの信頼もある素敵な関係性だと思う。
先日わしは、アイスリボンとhotシュシュのダブルヘッダー観戦を見送った。台風の進行が不鮮明だったこともあり、家でのやるべきことを優先した。選手たちに会いたかったけれど仕方ない。
結局その日は、よく寝て、草を刈り、部屋を片付け、料理をして、猫を撫でて、地面師たちを一気見して、DAZNでサッカー観戦した。めちゃ楽しい。プロレスから離れた週末も悪くない。むしろ良い。そもそも、世の中に面白いコンテンツはたくさんあるわけで。「毎週プロレス観戦で埼玉や東京に遠征して、お金と時間を使って何だったのか」と急にプロレスに萎えてきた。
自分は勝手に女子プロ沼に沈んで、そこが至高の湯舟だと思い込んで、何か満たされた気分になっていただけなのだ・・・だけなのだ・・・
軽症の内に女子プロ依存に気づけて良かった。
一旦プロレスから離れて、本来の自分を取り戻そ・・・待って。
今週のアイスの第1試合、紫雷美央 vs しのせ愛梨紗だと。見逃せないじゃん。えっ、ガンプロに海乃さん参戦？行くしかない。
女子プロ依存から抜けられん（嬉しそうに）