シェア
耀綺 夜空(かがやきよぞら)
2019年12月3日 00:19
女子大学の校門を出ると、どんよりした空の下、川田レイは駅の方へ向かった。冷たい風が吹き、楓の葉がカラカラと音をたてながら道の端に舞っている。ほんの少し傾斜の下り坂を歩いていると、少し道がカーブしたとことに壁一面にライブの予定やグループ名とチケット代が書かれて貼られている。ロッジ風の建物のライブハウスの横をレイは通る。 気にはなっているが、店には入ったことがない。小心もののレイが一人で
2019年12月11日 01:37
結局二人は本を買わず、店を出た。「先生、早いお帰りなんですね」「そうなんだよ、今日はテストだったろ、僕の受持ちは、今日は早く終わったんだ」「先生、何番乗り場へ?」「僕は4番乗り場だよ」「川田さんも、もう帰るの?」「はい、帰ってテスト勉強しないと」「私も先生と一緒の4番乗り場です」藤岡准教授が、エスカレーターで上がって行くとレイはその後ろにたった。
2019年12月16日 00:18
車が行き交う道路を挟んで商店街が並んでいる。電車に乗る前はどんよりしていたのに、ここに着くと晴れ間が広がっていた。平日だというのに人通りが多い。 やはり京都ということもあってこの時期紅葉を楽しむ観光客で賑わっている。人を避けながら商店街に沿うように歩いた。時々藤岡准教授は、レイを気にかけるように後ろを振り返る。 レイは人にぶつかりそうになるたびに藤岡准教授の腕をつかんだ。風があるが、歩いてい
2019年12月30日 03:00
蕎麦屋を出ると、冷たい風にレイは肩をすくめた。相変わらず多くの観光客が歩いている。 藤岡准教授とレイは、八坂神社に向かった。