転んでも日記⑩
※この記事は、6月末に下書きをし、7月下旬に加筆・修正したものです。
めちゃくちゃスタスタ歩けるようになった。
怪我してること知ってる人には「普通すぎてびっくりした」って言われる。
階段の下り以外はもう、日常生活ほぼオールグリーン。
だけど、あと2ヶ月は装具着けてねって言われた。
長ぇ〜〜〜〜〜〜〜!!!(大の字)
ある程度覚悟はしてたけど。長い。
運動も、ジャンプは禁止。
これには結構落ち込んだ。半日くらい。
でも家に帰って今日から始めるように指導されたリハビリをやってたらなんだか元気が出てきた。
リハビリは確実に進んでて、片足立ちだってできるようになったし、小走りもできるし、可動域もかなり広くなってきた。
生後間もない赤ちゃんくらいのスピードで、日々できるようになることが増えてる!
怪我ってのは「完治!今日から100%動いていいよ!」っていう治り方じゃなくて、じわじわじわじわ、グラデーションなものだから、体と会話しながら「付き合っていく」っていうスタンスを取っていた方がきっと気楽なんだなということがやっとわかった。
いやわかってはいたんだけど、自分の実感としてちゃんと受け止められた感じ。
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先日久々に父に会った。
父方の親戚がやっている和食屋でお昼を食べる。親族大集合する際には必ずそこと決まっている。
この記事を読んでもらうと分かるのだけど、わたしは父方の親族とはだいぶ長いこと疎遠で、大人になってからいろいろ様々あって縁が復活し、親しくさせてもらっている。
なので、足を怪我したこともみんな知っていた。
父以外は。
「距離が近い人に大事なことを言わない」
これは私の悪癖の一つだ。
理由は自分でももはやよくわからないけど、心配をかけたくないとか、かっこ悪いところを見せたくないとか、意地とかプライドとか色々あるんだと思う。
父にも、わざわざ変に心配させたくなかったので怪我のことは一言も言っていなかった。親戚一同にも「父には内緒で」とお願いしていたのだが、だいぶ普通に歩けるようになったし、軽い捻挫ですってことにすればいいか。と思って久々に会うことにしてみた。
ー店に入って10分。
詳しい内容は伏せるが、なんと父が「そこそこの大手術」からの「中手術」をしていたことが、店の女将(父から見ると弟嫁)との会話の中で明かされる。
さっきまで、父にどう足のことをごまかそうかと必死に考えていた私、パニック。
そして察するのである。
ー血だ。
紛れもなく「血は争えない」を我々親子は体現している。
娘(私)は足首の靭帯を切ったことを。
父はそこそこの大手術をしていたことを。
一番濃く血を分けた相手には一言も報告せず、親戚にだけ言っていた。
この後、私は私で大けがをしていたことをあっさりぺろりと暴露され、お天道様の元に父子二人の「方便」が丸裸にされてしまった。せめてパンツだけは。
この店の店長(父から見て甥っ子、私から見ていとこ)が苦笑しながら話す。
「いや〜、親子揃って俺に口止めするんだもん。板挟みで困ったて〜。けど、今日二人で来るって聞いたから、ちょうどいいやと思ってね」
パンツまで剥ぎ取られてしまった。
すまん店長。つまらん父子の意地っ張り頂上決戦に巻き込んでしまって本当に申し訳ない。そして何とも粋なフォローに頭が上がらない。
江戸っ子ですかあなたは。火事と喧嘩は江戸の華ですか。
当の本人たち、つまりは我々親子は、大事なことを目の前で又聞きさせてしまったという負い目と、「コイツなんで黙ってやがった?」という怒りがないまぜになった複雑怪奇な感情を持ちつつ、お互いのここ数ヶ月をぽつりぽつりと報告し合った。
たぶん、今日ここに来ていなかったらいつまでもお互いに事実を知るきっかけがなかったかもしれない。
他人から見たら、親不孝とか、常識はずれとか、思われるかもしれない。
けれどこれが私たち親子の距離感であり、スタンスなのだ。たぶんそれはこれからも変わらない。だってずっとこうやってやってきたから。
けれど、今後は私が少し大人になって、父にもっとくだらない近況を聞かせたいと思う事件だった。
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別れ際に父が「ユリ・ゲラーのスプーンをモチーフにしたネックレス」をくれた。
もう一度言います。
「ユリ・ゲラーのスプーンをモチーフにしたネックレス」
です。
そうですあの超能力の第一人者でエスパータイプのポケモンのモデルにもなったと言われる、ユリ・ゲラーです。
父はアクセサリーが好きでよく買ってくる。
自身も普段から身につけているし、人にもあげたがる。
ギンギラのチェーンネックレスとかではなく、革紐に木のトップ系のやつ。八十路を前にしてオラついてはいない。
主に旅行先で見つけた民芸品や、新聞広告に入ってくる少しキナ臭…ええと、ピュアな心の人がターゲットのややスピリチュアルな商品など。
(流石に、「これを買ったら人生変わりました!」系には手を出していないので安心して欲しい)
そこまで信心深くはないのだが、「ややスピ」に弱いのである。
自分が撮ったお地蔵さんの写真を、「財布に入れると金運アップだぞ」と言って予備も含め3枚渡してくる父である。
ユリ・ゲラーにシンパシーを感じても何ら不思議ではない。
今までもらってきたアクセサリーも含め、お世辞にもセンスがいいとは言えないので、基本的には引き出しにしまいっぱなしになっている。
ごめんお父さん。身には付けないかも。
けど、心にはいつも飾ってますよ。
では。
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