meiyo ONE-MAN LIVE in TOKYO「POP IDEA 」でわたしが受け取ったもの
12月11日、会社を早めに抜けて向かったのは渋谷WWW。meiyo ワンマンLIVE「POP IDEA TOKYO」を観るためである。
先に公式からのセトリを出してしまおう。
ライブに行くと身長事情により人の中に埋もれがちな自分が客観的に確認できた。ステージから見て真ん中の位置、座標で言えばx=5,y=3といったところか(わからない)。
それはそうとして、meiyoさんのライブに行くのは初。ワンマンライブがあると知った9月頃の自分、チケットをオフィシャル先行で購入していた。
meiyoさんも以前からKANちゃんのファンだと公言しているアーティストのひとりであり、ついにベストアルバム「IDEAS Ⅲ」にライナーノーツを寄稿するまでになった。あのライナーノーツもいろいろやりすぎだった(褒めてる)(分かる人はわかる)。
私が彼の存在を知って、やがてApple Musicのプレイリスト入りしてガンガン聴くようになるまでに時間はかからなかった。知ったきっかけは、もちろんKANちゃんだ。以前meiyoさんが「サンクトペテルブルク」を歌う動画をXで見て、まるであつらえた曲であるかのように歌いこなしている様子に心を掴まれた。
そしてついに今回のワンマンライブで初めて歌う姿を生で観た。始まりのアナウンスから最後のアナウンスまで、端から端までスキのない「meiyoらしいギミック」が面白く、ポップな楽曲が立て続けに歌われた中、KANちゃんの「IDEA」(「IDEASⅢ」に収録)をカバーした。彼の甘く、少しクセのある歌声はじんわりと私の心に馴染むのだ。なんでだろう。
カバーを歌うだけでなく「KANイズム」が随所に差し込まれていたライブでもあった。先ごろ発売されたばかりのライブBD『25歳』で「ほっぺたにオリオン」を演奏する際に繰り広げられた、ちょっとした演出が今回のライブでほぼ再現されていたことを、当日会場で出会ったストキン!(※KANちゃんの熱心なファンのこと)さんに教えてもらった。ちなみに私はまだ『25歳』を再生できずにいるのだけど、もし観ていたあとだったらどうなってたのか。
アンコールの後に新曲を披露、そして恒例の「全曲つなげ」も演奏されてしっかり「二段階でのお別れ」を実行し、最後に『あとがき』を歌って締めるところまでKANイズムを発揮させてライブは終わった。
セルフカバーも含まれたセトリ全体、どれも生で聞きたかった曲ばかりで、特に『あとがき』を聞けたことが嬉しかった。そう、私はすでに、meiyoさんの数々の楽曲が好きになっているのに、その中にさらに別の星で活躍している(のに、様子が見えない)KANちゃんへの思いが継ぎ足されているときたら、なんという宝物をプレゼントされたのだろうという気持ちになった。
ストキンは皆、どこで何をしても見てもいつも、全部KANちゃんに結びついてしまっている。
そんな状態で観た今回のライブは「KANイズム」を受け継いでいることがわかるから、私の心が癒やされてるのは間違いない。それと同時に、meiyoというアーティストのその部分だけを評価するべきではないという思いも湧いており、面影を追い求めて本人を見ていないような自分にちょっとした罪悪感を持ってしまっている。
しかし、それよりもずっと前から実績を重ねてきている人だ。例えばさまざまなアーティストに楽曲提供していることもそのひとつ。アルバム『POP SOS』などを聞けばわかるが、明るくて飛び跳ねたくなるような、それでいて隠しているものをそっと見せるような歌詞とメロディの数々は「この人に楽曲制作をお願いしてみたい」というモチベーションが湧くのは当然だと思わせる出来だ。だから私ひとりが感じる小さな罪悪感など、実際どうということはないのである。
MCではこんなことを話していた(正確に覚えているわけではないのでざっくり)。
今日この日のために学校や仕事の都合をつけて集まってきた。その人達の前でこうしてライブが出来たことが当たり前ではないこと。今あるものがいつまでもあるわけではないこと。好きなものを好きと言い続けること。
MCを聞いていて、今日までの数年間、meiyoさんもどこかで「喪失」を味わってきたのかもしれない、と思った。KANちゃんが他の星に行ったことを受け止めるしかなかったのがそのひとつで、こう言うのはおこがましいのだけど、その点は私達と同じでもある。
そんな精神的な共通点を勝手に感じつつ、もっとmeiyoさんの持つ魅力を見つめていきたいという気持ちになったのがこの夜のワンマンライブだった。
要は「来年の今頃はさらに売れっ子になっちゃうから、今のうちに距離の近いライブをもっと味わったるわ!」ということだ。ここまで2000文字くらい書いているが、ひとまとめにするとそんなところ。
KANちゃんを好きになったのは35年ほど前だった(愛勝つのタイミングで知ったので)のに、空白期間があって再び聞くようになったものの、ライブにとうとう行けなかった。それが私の人生の中で大きな後悔になっていて、35年分の空白をなんとかして埋めようとする日々を過ごしている。もうそんな後悔はしたくないから、好きになったものは好きだと言って、行動し続けていきたいのだ。生きるなら楽しいほうへ、ココロ、オドルほうで。