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『デジタル激弱な作家ですが、Kindle出版できるでしょうか?』~2、決意に至るまでのドラマチックなきっかけ編

 こんにちは、野村美月です。

 さて、きっかけ編です。
 2023年の暮れ、『ものがたり洋菓子店 月と私』の2巻の作業が一通り終了して一息ついていたころ。
 プロの作家さんが、版権の切れたご自身の小説をKindleで販売されている様子がTwitterで流れてきました。
 表紙もご自分で作成されていて、それがとてもセンスがよくて素敵なのです。

 こんなことができるんだ……。

 見入ってしまいました。
 私も、昔の作品をこんなふうに配信してみたいかも……。

 このとき私の頭に浮かんでいたのは、野村美月としてデビューする前に別名義で執筆していたころの作品でした。

 こちらで少し語っております(途中から有料です)。

 正直、私にとっては黒歴史で、生涯封印するつもりでおりました。
 けれど少女小説のガイドブックで、嬉しくて泣いてしまうような紹介文を書いていただけたことで、また読んでもらえたら……という気持ちが芽生えていました。
 とはいっても当時出版した本はどれもとっくに絶版になっていて、ガイドに取り上げていただいた効果か、Amazonやメルカリで販売されている古本にはとんでもない値段がついています。

 え! ごまん、えん……? 

 目を疑いました。
 とても気軽に手に取れる値段ではありませんよね。
 でも、版権を引き取って自分でKindle販売すれば、適正なお値段で気軽に読んでもらえる……。
 そのためには私の過去の筆名を明かさなければなりません。
 そもそもデジタル弱々の私が、Kindle出版などという大それたことができるでしょうか?
 ちょっとやりかたを調べただけで頭がくらくらしてしまい、あ、これ……ダメ、無理……と早々に諦めモードです。
 そんなふうにKindle自主販売に憧れつつ、多分、実現することはないだろうと思っておりました。

 それが早春のある日、1通のメールが届きました。
 少女小説ガイドのライターさまからです。
 少女小説ガイドの第2弾を出すので、可能であれば以前のペンネームの時のことをインタビューさせていただけませんか? とのこと。

 それはもう、迷いました。
 最初のデビューについて、おおやけに語るつもりは一生ありませんでした。
 インタビュー自体も苦手で、特にインタビューで話した内容をウィキペディアに記載されるのが本当に恥ずかしくて……。
 インタビューの依頼にしても、ウィキペディアの編集にしても、大変ありがたいことだと思います。
 ご親切に編集していただいて、大変感謝しております。
 けど、自分のプロフィールや、インタビューで話したことや、ツイッターでのその場かぎりのつぶやきが編集されてネットに残り続けるのって、恥ずかしくありませんか? しかも私とはまったく別のかたのお写真まで貼りつけてあったりして(※ボーダーのお洋服のかたは私ではありません。そもそもお写真自体、公共の場に貼りつけるのはご容赦ください)。
 私はベッドでお布団をひきかぶって、枕に顔を突っ伏して、じたばたしてしまうほど恥ずかしいです。

 ひっそり生きたい性分なので、自分のウィキペディアがあること自体がたまらなく恥ずかしいし、インタビューであの話はするんじゃなかった、ツイッターでつぶやく前に、これはこの場かぎりのことでウィキペディアには転載しないでくださいと一言添えるべきだったと、後悔しまくりです。

 作品について語っていただくのは、どんなときも嬉しいものですが、作者のことはできればあの……そっと見守ってくださると助かります。

 そんな全力で引っ込みじあんな私が、なぜ過去のペンネーム作品についてインタビューを受けたのか。
 このインタビューで過去作品について公開してしまえば、Kindleで絶版した作品を自主販売できるのではと思いついたからです。
 書籍のご担当者さまのご苗字が『天野さん』だったことも、背中を押してくれました。
 “文学少女”の遠子先輩と同じ苗字です。
 これは良いご縁なのではと、気持ちが『インタビューを受ける』に、ぐっと傾きました。 

 こうしてインタビューを受けること、昔のペンネームについて話すこと、を決めた私は、Kindleの自主販売に向けて歩みはじめたのです。

 インタビューが掲載される本が出る前に、過去の作品をKindleで販売しよう!

 本の発売に合わせて、私の昔の作品です、読んでくださいと告知しよう! 

 そう胸を高鳴らせたのでした。

 では、具体的に何をしたのか?
 どんな困難が待ち受けていたのか?
 3へ続きます!

 そして、『少女小説ガイド』第2弾は、10月2日発売です!

 丹地陽子さんのイラストが素敵ですよ〜! 第1弾が青空で第2弾が夜空なのエモすぎませんか?
 私もインタビューで『ここだけのお話』をあれこれ語っておりますので、ぜひお手にとってみてくださいね。