横文字の得手不得手
最初の壁
突然の辞令で社内のIT部門に放り込まれたことが私の業界デビューだった。
ド文系の私は基礎知識などあるはずもなく、毎日頭にはてなを3つくらい浮かべながら仕事をしていた。
特に最初の壁は、横文字の専門用語の多さ。打合せをしても今の分からない言葉が飛び交う。
まだ英単語であれば何となく意味を類推できたが、特にアルファベットの略語(APIだのASPだの)が出てくるともうついていけない。分からない言葉は必死でメモして、後で調べる、という生活をずっと続けてきた。
あれから何年も経ち、今では流石にそこまで素人ではないが、当時は毎日外国に来ているような感覚に陥っていた。
最初からそういう世界に親しんでいる人は何ともないのだろうが、私みたいに別にITに関わるなんてこれっぽっちも思っていない人は、横文字を見るだけでやる気を失ってしまうだろう
横文字のメリット
横文字の専門用語の意味が大体わかり、私自身も自然と使うようになってからふと思った。
これは必須だし便利だなと。
まず業界の共通認識として使われているワードなので、意味がわからないと先ほどの私のように会話に置いていかれて、仕事にならないということ。
そして、ある仕組みを一言で説明してしまっているので、意味がわかるととても楽だということ。
例えばバッチ処理と一言言えば意味が通じるが、これを知らない人に伝えようとすると、以下のような回答になる。
複数のプログラムからなる作業において、あらかじめ一連の手順を登録しておき、まとめて連続的に実行する方式。 または、一定期間や一定量ごとにデータをまとめて一括して処理する方式(IT用語辞典e-Wordsから引用)
流石に会話や設計書で書くには長すぎる。一言バッチ処理といえば、上記のような意味が自然と伝わる。
これが横文字を使う最大のメリットだろう。
横文字のデメリット
上の例でも述べたとおり、意味を知っている人には大変便利な道具だが、あまり詳しくない人には逆効果となる場合がある。
特に話し相手がITに疎いが、何らかの決定権を持つ相手(取引先の社長とか)だった場合は控えるべきだろう。
確かにそういう言葉を使えば、短く纏められるので説明資料は字数も少なくとてもシンプルになる。
私はシンプルな資料こそ至高と考えているが、相手に伝わらないと当然何の価値もないので、やはり時と場合を選ぶ。
特に年配の方が相手だとそういう横文字が苦手な人も多いため、特に気を遣った方が良いだろう。
今どき横文字が使えないと厳しい時代
横文字のメリット・デメリットを述べてみたが、やはり意味を知っている、そして場をわきまえて使いこなせる人になったほうがよい。
それはITとは縁遠い人も例外ではないと思う。
働き方改革の流れで、業務効率化を求められ、簡単なツールを自作したり、それを強要させられている人もいる。RPAなどはその最たる例だろう。
さあ上司にツールをつくれと言われたからネットで調べてみよう、と思っても、専門用語が並んでいて、しかも横文字まみれで意味不明、ではやっていけない時代が来るかもしれない。
またシステム投資がますます重要性を増してきていて、以下参考サイトにもある通り、今後も増加していく見込みだ。
参考:ITR 国内IT投資動向調査報告書2019 https://www.itr.co.jp/report/itinvestment/S19000100.html
上記のことから、会社のマネジメント層もある程度のIT知識がなければ、自分の会社の投資について正しい判断が出来ないのではないか。
少し前に7payに対する不正アクセスが問題になったが、記者会見に臨んだ社長があまりにもITに疎く、ネット上で話題になった。
セキュリティの穴を突かれた問題であり、社会的な信頼を損ねてしまう大きな話だが、ITに疎いだけで余計に罪深い印象を与えてしまった。
私はたまたまIT業界に放り込まれたので良かったが、そうでない人も少しはITをかじっておいたほうが良いかもしれない。
まずはそのきっかけとして、横文字の意味を勉強するのも面白いかもしれない。