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【チェンマイ旅日記】渡航前日
気づけば、ほほえみの国、タイへの渡航が明日へと迫っている。
緊張と不安がとめどなく押し寄せる。何せ海外へ行くのは約8年ぶり。そして友人と行くとはいっても到着するチェンマイでの合流になるため、生まれてはじめての、1人海外飛行機。
「何か忘れたら現地で買えばいい。パスポートとお金さえ忘れなければなんとかなる。」
そんなことを散々自分に言い聞かせて、溢れかえる荷物と期待をスーツケースにぎゅうぎゅうに詰め込んでパッキングが無事完了した。
とりあえずやっとここで私は少しほほえんで、タイにちょっと近づけた気がして家を出た。
明日は早朝便のため、今日は出発予定の福岡空港近くに前泊だ。
余裕をもって博多駅に到着して、激混みの喫煙所で一服。平日の昼間だからなのか異様に混んでいた。喫煙者の肩身もせまくなったものだ。けど私は地味に数少なくなった駅とか空港にある室内喫煙所で、いまやマイノリティになってしまった珍しい喫煙者たちにぎゅうぎゅうに取り囲まれて吸うたばこがだいぶ好きなのである。
一服を終えて、空港やトランジットの待ち時間を有意義に利用するための本でも買おうかと博多駅の本屋にぶらりと立ち寄る。たくさんの話題の著が並べられている中で、1つの本に目が止まった。
おそらく、私が今一番読んではいけない本だ。咄嗟にそう思った。これから自分とか、ある気がして、探そうとしているところなのに。
そんなことを思ったところで、そういえば家にあった積読の一冊を荷物に入れていたことを突如思い出して本屋を出た。荷物を詰め込みすぎてすっかり忘れていた。
そのまま私は地下鉄に乗って、行ったことのない空港の下見をしようと、はじめて福岡空港国際線に向かった。
地方空港とはいえ、広い。
ただコンパクトにまとまっていたので、出発ロビーはすぐにわかった。
ありがたいことに出発ロビーの隅に、座れるソファのある喫煙所が設置されていた。
最高だ。
場所はだいたい把握できたので、あとは事前に換金をしておくことにする。
こちらも出発ロビーの隅にあったSBI銀行の換金所で、タイバーツに両替した。
レートは4.7。もちろんお得感を考えて現地で両替する手もあったけれど、トランジットも不安だし、入国時にはどうやら1万バーツくらいは持っていないといけないらしい。
もしかしたら損しているのかもしれないけれど、仕方ない。
それに、私にはいまいちその損とかお得とかいう感覚がわからない。
1バーツ4.7円と1バーツ4.5円。
どっちがレートがいいのかとか、どっちで両替したほうがどのくらいお得になるのかとか、聞かれても、正直わからない。ちょっと頭に神経を巡らせては何度も諦めてきた。
そのことがずっと恥ずかしくて隠してきていたけれど、意外にも私と同じような数字嫌い&音痴の仲間を見つけたときはうれしかったのを覚えている。
それに、世の中には知らない方が幸せなこともたくさんある。
私は外貨両替をそのひとつとして、わざとレートが良い悪いを真剣に考えないようにしている。その方が、損した気分にならないからだ。
換金したお金たちがこちら。
描かれているのは国王のラーマ10世らしい。
日本の新札(渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎)と違って、コンプリートしてるし、王様だし、王様がとても讃えられている気がして、通貨からも日本との違いがよくわかった。
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それにしても、どうしてこんなにも海外の紙幣ってこんなにもいい紙の匂いがするのだろか。
日本の紙幣では何も感じないのに。
とりあえず旅の準備は整った。
明日に備えて今日は早めに眠ることにする。